猫の肉球の構造
表皮
猫の肉球の一番外側の部分で、主に角質細胞から成っており、角質層が厚く重なり合う構造をしています。
真皮
猫の肉球の構造は層のようになっており、外側から表皮、その次が真皮になります。真皮は主にコラーゲンから構成されています。
皮下組織
猫の肉球の表皮や真皮のさらに内側は主に脂肪から構成された皮下組織です。
猫の肉球の役割
音を立てずに歩く
猫の肉球には消音効果があり、あまり音を立てずに歩くことができるのです。音を立てないで歩くことは、狩りをする猫にとって獲物に近づく際に必要不可欠です。
衝撃を吸収する
猫は高い場所に登りますが、そこから飛び降りた際に肉球はクッションとなって衝撃を吸収します。
滑り止め
猫の肉球には、よく見ると小さなくぼみがたくさんあります。このくぼみには汗腺があり、少量ですが汗をかくことができます。この汗はマーキングにも使われますが、猫の肉球の滑り止めの役割も果たします。猫の汗腺は、主に肉球と鼻周辺に存在しています。
感触で判断する
猫の肉球は、物に触れて判断するという役割も担っています。地面に触れてみて歩いても大丈夫か、物に触れてみて危険ではないかなどを判断しているのです。
猫の肉球の名称
猫の肉球といっても、部位によって名称が違うのをご存知でしょうか。猫の肉球というと、イラストなどでよく見る、丸みを帯びた三角の上にならんだ四つの小さな丸というイメージですよね。
この大きい三角の部分を掌球(しょうきゅう)といいます。小さな四つの丸は指球(しきゅう)です。手のひらと指という感覚で、漢字もそのままあてがわれていますね。
さらに、前足にのみ狼爪(ろうそう)と呼ばれる小さな爪と、少し離れた位置に手根球(しゅこんきゅう)という肉球があります。
猫の肉球に関する病気
外傷
猫の肉球は猫同士のケンカ、とがった物を踏んだなどで怪我をすることがあります。血が出ていないか、腫れていないかなど時々チェックしてあげましょう。怪我をしている場合は流水で洗い消毒をしますが、外傷が大きかったり、出血が多い時は獣医さんで診てもらって下さいね。
肉球皮膚炎(形質細胞性足皮膚炎)
猫の肉球も皮膚炎になることがあります。症状としては、肉球の腫れや潰瘍化、場合によっては化膿を伴うこともあります。また、炎症がひどいと痛みを伴いますので歩行異常が出ることもあります。
肉球皮膚炎の原因は不明とされていますが、ステロイドが反応するので免疫介在性の疾患であると考えられています。また、近年ではドキシサイクリンという抗生物質が有効であるという報告もあります。
軽症の場合は自然に治ることもあるようですが、重症では外科処置が必要な場合もあるので一度、動物病院で診てもらいましょう。
猫の肉球と犬の肉球の違い
猫の肉球と犬の肉球は同じように見えますが、構造がまったく違います。
犬の肉球は寒冷地に適した構造
触ってみるとわかりますが猫の肉球がなめらかなのに対して、犬の肉球はザラザラとした感触です。これは、犬の肉球が表皮乳頭で覆われているためで、冷たい地面に直接触れる面積を少なくする役目があります。
犬の肉球は、表皮乳頭と動静脈吻合という構造をしていますが、寒冷地での凍傷や低体温症を防ぐ構造になっています。犬の祖先であるハイイロオオカミが寒い地域で暮らしていたのに対し、猫の祖先であるリビアヤマネコは砂漠で暮らしていました。
そのため、犬の方が寒さに強い肉球の構造になったのですね。
猫の肉球にはいろんな色がある
猫の肉球はイラストなどではピンク色に描かれることが多いですが、実はそれ以外にも様々あります。
ピンク色の他に、乳白色や小豆色、黒色などが代表的ですね。中にはピンク色の肉球の一部分が黒かったりその反対の場合など、またまだらのこともありますよ。基本的に黒猫など、毛色が濃い猫が肉球の色も濃くなる傾向にあるようです。
猫の肉球のケアの方法
プニプニとした触り心地で癒される猫の肉球ですが、柔らかいのは室内飼いの猫に限ったことで、外によく出る猫は硬い地面を歩くため肉球が硬くなってしまいます。
保湿
あまり硬くなった肉球は、肉球本来の役割を果たしにくくなりますので、ケアをしてあげましょう。また、室内飼いの猫でも乾燥すると人間と同じように荒れた状態になることがあります。
そういった場合には猫用の保湿クリームを塗り、マッサージをしてケアしてあげましょう。猫の肉球マッサージは、優しく揉んだり、押すだけで大丈夫です。ただし、猫がマッサージに慣れておらず嫌がって暴れる場合には無理をしないで下さい。少しずつ慣らしていってあげましょう。
肉球の毛のカット
また、猫の肉球周りの毛が大きく伸びていると、フローリングで滑りやすくなるなどの肉球の本来の役割を果たせなくなります。肉球周りの毛は、カットして整えておきましょう。
まとめ
猫の肉球は、層のような構造になっており、色々な役割を持っています。肉球とひとことで呼んでしまいがちですが、詳しくみていくと指球や掌球などそれぞれに名前があるのです。猫の肉球にも怪我や病気が起こることがあるので、日頃から肉球のケアを兼ねて傷や腫れの有無などをチェックしてあげて下さいね。