1.猫まんま
「猫まんま」と呼ばれるのは、炊いたご飯に味噌汁や鰹節、しょうゆなどをかけた状態のものです。1970年代頃までは日本にまだペットフードが存在していなかったため、人間のごはんの余り物を猫のごはんとして与えていました。
炭水化物メインのごはんのリスク
世界的に見ても、猫のごはんとしてお米を主食にしていたのは珍しいと言われています。パスタ大国イタリアでは、猫にもパスタを与えてきた歴史がありますが、猫は完全肉食の動物なのでお米やパスタ等の炭水化物をメインにしたごはんは不向きと言えます。
お米はアレルゲンになりにくい食材で猫にとっての毒性もないため、猫は炊いたお米を食べても大丈夫です。しかし、そもそも猫の身体は炭水化物の消化を苦手としていますので、お米をはじめとする炭水化物メインの食事では消化不良を起こしたり、タンパク質不足だったりして栄養失調になってしまう恐れがあります。
泌尿器系の病気や中毒の危険も
猫まんまには味噌汁を使用することが多いのですが、人間用の味噌汁やしょうゆの塩分濃度は猫に濃すぎてしまいます。猫は腎臓病や尿路結石などの泌尿器系の病気を起こしやすいので、塩分過多の状態が続くとリスクも高まります。
そして、味噌汁にはネギやタマネギなど、猫が食べてはいけない食材を使用することも多いため、人間用の味噌汁をかけた猫まんまは猫には不向きです。猫は鰹節に目がないのですが、鰹節の食べ過ぎもミネラル過多になりやすく、結石ができやすくなるため注意が必要です。
なぜ昔は猫まんまで大丈夫だったの?
なぜ昔の猫たちが「猫まんま」で大丈夫だったのかという理由として、昔の猫たちは外と室内を自由に行き来する飼い方が普通であったためと考えられます。おうちで猫まんまをもらって、足りない分はネズミや鳥などを捕食して補っていたためではないかと考えられます。
しかし、昔より今の猫の寿命が格段に長くなっているのは、動物の医療技術の向上に加えてペットフードの品質向上が理由であると考えられます。人間用の猫まんまよりも、やはり猫用のごはんを与えた方が安心です。
2.子猫用を成猫に与える
子猫用と成猫用の違い
子猫の成長スピードはとても速く、身体を大きくするために多くのエネルギーが必要です。しかし子猫は胃が小さいので、効率良くエネルギーを摂取できるように子猫用のフードはカロリーが高めに設定されています。
子猫だけではなく妊娠後期や授乳中の母猫もエネルギーが必要なので、成猫であっても母猫に子猫用を与えることもあります。また、高齢の猫で食が細くなってしまった子にも子猫用フードを一時的に勧める獣医師もいます。
カロリーオーバーになり肥満の原因に!
しかし、子猫用のフードを妊娠や授乳をしていない成猫に与え続けると、カロリーオーバーになりやすく肥満の原因となってしまいます。肥満は猫の健康に悪影響を及ぼす要因の1つなので、体重管理は猫ちゃんの健やかな猫生のためにとても大切です。
猫に完全栄養食が必要な理由
肉だけでは不十分
猫は完全肉食ですが、肉の部分だけ食べていれば良いというわけではありません。本来の猫は狩ったネズミや鳥などを、食べられる部分は丸ごと全部食べます。肉だけではなく、内臓や骨なども食べるので、胃袋に残った消化途中の草や豊富なミネラルを摂取することができるのです。
「総合栄養食」はそれだけで猫に必要な栄養素が摂れるフード
現在は猫の完全室内飼いが推奨されています。そうすると猫たちは自分で狩りをすることができないため、代わりにキャットフードを食べることで健康を保ちます。
スーパーで買った肉だけでそれを再現するのは難しいので「総合栄養食」のキャットフードを与えることで、猫が生きていく上で必要な栄養素を摂ることができます。
特にドライフードは私たちから見ると何だか味気なく感じてしまいますが、総合栄養食と表記されているフードは、猫が生きる上で必要な栄養が配合されているものです。猫の健康のためには、飼い主さんが適切な食事を選んであげることがとても重要です。
まとめ
今回は「愛猫を短命にしてしまうかもしれないごはん」について2つ解説いたしました。今と昔では「猫を飼う」という概念が違います。昔は放し飼いも、人間のごはんの余り物を与えるのもごく普通のことでした。
しかし現在では、それらは猫にとって良いことではないという考えが主流です。現在では猫の健康を考えて作られた専用のフードもありますし、猫の年齢ごとに適したフードのラインナップも豊富です。そのため、人間の「猫まんま」を与える必要もなければ子猫用フードを成猫へ与える必要もありません。
人間の「猫まんま」は塩分やミネラル過多になりやすく、泌尿器の病気のリスクを上げてしまいます。また、妊娠授乳中や高齢の子などの特例を除き、子猫用のフードを成猫に与え続けるとカロリー過多となり肥満の原因になります。
猫ちゃんの健康を守ってあげるためには、毎日のごはんで身体の内側からしっかり支えてあげることが何よりも大切です。