猫が療法食を食べない時に見直すべきポイントは?
おうちの猫が慢性腎臓病や尿石症の治療として、または肥満予防のために、療法食を処方されることがあります。
特に猫の場合は飲む水の量が少ないことやストレスが原因となり、尿路結石や膀胱炎になる猫が多くいます。水の量やストレスだけではなく普段の食事のバランスでこのような症状がでることもあるので、治療後も再発予防として療法食を続ける場合もあります。
普段食べている食事を急に切り替えることが難しく、猫が療法食を食べてくれない、という内容の相談は非常に多いです。
ではなぜ猫は療法食への切り替えが難しいのでしょう。猫が療法食を食べない場合は、猫の味覚の特性を知り、ポイントを押さえて工夫することが必要になります。
療法食を食べない理由と、食べさせ方の工夫や療法食を与える際の注意点などを詳しく説明していきます。
猫が療法食を食べてくれない理由
猫が療法食を食べなくて困っている飼い主さんは多いです。普段からフードを変えると口にしないという話もよく聞きますし、美味しい缶詰をあけると飛んでくるなど食に対してこだわりの強いイメージが猫にはあります。
なぜ猫が療法食を食べてくれないのか、理由を何点か説明していきたいと思います。
猫の味覚の問題
猫の味覚は「苦み」「酸味」「塩味」の3つしかないといわれています。
ただし、魚や肉に含まれるアミノ酸には多少の「甘味」を感じるようです。
人間に約1万個あるといわれる味を感じる細胞(味蕾)が、猫には約500個しかないといわれています。あの独特な猫の舌のざらついた部分には、その細胞が存在していないのだそうです。
思ったより味に敏感なわけではないのですが、3種類しか味を感じないとなれば、3つの味の変化には敏感になるものなのかもしれません。普段の食事との変化を感じれば、騙されることなくすぐに察知されてしまうでしょう。
猫は嗅覚が優れている
猫の味覚は人間よりもそれほど複雑ではない代わりに、嗅覚には優れています。
これは、自分で狩ってきた獲物が新鮮なのか、安全なのかを見極めるために発達したといわれているので、いつもと違う香りを感じただけで警戒してしまうのです。普段食べ物以外の香りに対してとても敏感なのです。
体調が悪く食欲がない
療法食が必要な病気と診断されるということは、痛みや体調不良があるため食欲がない可能性もあります。
もともと食が細い猫は、さらに食べなくなったという悩みもでます。食欲が湧かない状態でさらに療法食を食べないとなると飼い主も心配になってしまいますよね。
あまりに食事をとらない様であれば、もちろんすぐに獣医師に相談が必要になります。
美味しくない・好みではない
療法食という名の通り、美味しさを追求したフードではありません。
特に腎臓病系のフードは猫が好むタンパク質を制限しており、味気ないものとなっているようです。一方で嗜好性を高めるため様々な風味や形状にする工夫もされていますが、猫にとってはなかなかフードの香りと味の変化、食感などの違いから受け入れられないことが多いのです。
猫が療法食を食べない時の食べさせ方
療法食を食べてくれないことですぐに病気が悪くなるわけではありませんが、じっくりと向き合うことが必要になってきます。
猫の特性をふまえて、猫が療法食を食べない場合に飼い主ができる食べさせ方の工夫をお伝えします。
温めて香りをたたせる
缶詰のタイプを与えている場合は、少しレンジで温めてあげることによって香りがたちます。
ドライフードはぬるま湯で温めてから与えてみましょう。(ただしドライフードのカリカリ感を好む猫には適していません。)
普段のフードに徐々に混ぜる
フードをいきなり替えると、香りや食感の急激な変化に猫も戸惑います。療法食に切り替える際は、徐々にとフードの割合を変えていきましょう。
はじめは療法食を一つまみから加え、徐々に療法食の割合を増やしていきます。時間はかかりますが、急に変えてまったく食べないことを考えるとある程度の期間で徐々に切り替えた方が良いでしょう。
好みの香りのものをトッピングする
療法食だけではどうしても食べない場合は、香りづけにトッピングをすると良いでしょう。香りのたつ缶詰を与えるのも簡単ですので、試してみてください。ただしその割合については多すぎて意味がないので、香りをつける程度にしてください。
ただし、そもそも療法食をすすめられている場合、与えてはいけないものがあるかもしれないので、獣医師に必ず相談してください。
猫に療法食を食べさせる時の注意点
療法食は、そもそも栄養のバランスが病気の治療用に考えられたものなので、病気の治療期間が終われば、その後のフードについては獣医師に指示が必要です。
あくまで治療のためのフードですので、基本は療法食の開始も継続も終了も獣医師の判断によって決まります。
現在は、ネット上で様々な療法食が販売されています。飼い主が病院に買いに行くのが面倒だから、などの理由で勝手に判断して購入するのは、逆に体に悪影響になることがあります。
勝手に与えない
療法食は色んな所で手に入ります。例えば、猫の腎臓系の病気が多いことをインターネットで調べて知ったからと言って、予防のために療法食を勝手に与えるなどは、逆に病気になる可能性もあり猫の体に良くないのでやめましょう。
健康な猫に療法食は必要ありません。
与える量を守る
他のフードと混ぜると与える量がよくわからなくなります。きちんとカロリー計算をして適量を与えるようにしましょう。
またフードの切り替え時期を過ぎた場合は療法食のみで与えてください。混ぜてしまうと効果が薄くなってしまいます。
食べる期間について
治療の一環として療法食を処方された場合は、通院ごとに食事についての確認をしましょう。
療法食を家に切らせてしまった、金額が高いから勝手にやめてしまった、などの理由で何日もずっと与えない時期があったり、時々与えたりするのはやめましょう。
食べない場合のトッピングについて
療法食を食べてくれない猫に、香りづけや味付けのためにチキンや魚をトッピングして工夫したい場合、猫にアレルギー反応がでたり病気が悪化したりなど、たくさんの危険がありますので与える前に獣医師に確認をしてください。
与えた後もアレルギーなどの症状が出ないかは必ず観察することが必要になります。
まとめ
病気や肥満予防のために療法食を処方された場合は、猫の特性を考えて、工夫が必要で、かつ注意しなければならないことがたくさんありますね。
- 猫は食感と香りに神経質
- 療法食への切り替えは徐々に
- 食べない場合は香りづけをするのが大切
- 療法食は獣医師との相談のもと与える
以上4点が大切なポイントとなります。
人間でも、食事療法をするとなれば薄味に慣れなければならなかったり、食べてはいけないものが増えたりなど、戸惑うことが多いものです。ましてや猫はふだんから神経質なところがあり、食事を替えるのはハードルが高いと思います。
尿路結石や膀胱炎などは猫にとっては非常に痛みが伴う病気なので、しっかりと治療して、再発も防ぎたいですよね。そのためにも療法食も工夫して美味しく食べてくれるようになれば良いと思います。