猫の食欲がない時、原因と対策・考えられる病気とは

猫の食欲がない時、原因と対策・考えられる病気とは

愛猫の食欲がない時は心配ですよね。猫は元々、食が細い動物です。もちろん、猫によっては大食漢もいますが、大半の猫は食のこだわりが強く、ガツガツとは食べない傾向にあります。中には、気に入らないと食べない、という猫も。でも、病気で食欲がないこともあるのです。愛猫の食欲がない時に考えられる病気には、どんなものがあるのでしょうか?

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の食欲がない原因

手から食べる猫

病気によって猫の食欲が無い

猫の食欲がない時は、何かしらの病気にかかっている事が考えられます。

  • 猫風邪
  • 猫白血病ウイルス感染症
  • 糖尿病
  • 慢性腎不全
  • 毛球症
  • 口内炎、歯周病

食事が気に入らないので食欲がない

また、猫はご飯にうるさい子が多い為、ただ単にご飯が気に入らなくて食べない、という可能性もあります。

食欲がない原因が前者なのか後者なのか、判断が難しい所ですが、成猫が1日以上食べない場合は、何かしらの異常があるかもしれません。他に症状がないか確認して、動物病院を受診しましょう。

子猫の場合は12時間以上食べない時間がある時に、受診するようにしてください。

特に太った猫で起こりやすいのですが、食欲がない状態が36時間以上ご飯を食べないと、肝リピドーシスという肝臓に脂肪が溜まり、肝臓の機能が低下する病気にかかる可能性があります。

食欲がないだけだから、と放置しておくと、重篤な症状に陥ってしまう可能性がありますので、なるべく早く対処しましょう。

猫の食欲がない時の対処法

キャットフードと猫

猫の食欲がない理由には、病気とご飯が気に入らないケースがありますが、それぞれの対処法をみていきましょう。

食欲がない原因が病気の場合

病気によって猫の食欲がない時は、まず原因となっている病気の治療に当たります。その上で、必要があれば点滴や強制給餌を行う場合もあるでしょう。

食欲がない時の食事は、その原因によって異なります。匂いを感じられない猫風邪などの時には、いつものご飯に匂いの強いかつお節などをトッピングすると、猫の食欲を刺激できます。

人肌程度に温めるのも有効です。口内炎など、口内の痛みによって食欲がない時には、柔らかいご飯を与えるようにすると良いでしょう。

食欲がない原因がご飯が気に入らない場合

食欲がない原因がご飯が気に入らない場合、愛猫好みのご飯を探してあげましょう。飼い主さん手作りのトッピングや、かつお節などをいつものフードにトッピングしても良いですね。

ご飯以外にも食器だったり周囲の環境だったり、猫が気に入らないポイントがあるのかもしれません。ヒゲがあたらない食器や、シートの上に広げて与える、飼い主さんの手の上に乗せて与えるなど、与え方に工夫を凝らしてみましょう。

猫が落ち着いて食事が出来る環境作りも大切です。箱の中で食べさせても良いですね。

猫の食欲がない時に考えられる病気

聴診器を当てられる猫

猫の食欲がない時に考えられる病気には、どんなものがあるのでしょうか?たくさんの病気が考えられますが、代表的なものをご紹介します。

猫風邪

一般的に猫風邪と言われる、ヘルペスウイルス、カリシウイルス、クラミジアに感染した事で起こる、上部気道感染症です。

人間の風邪と同じような、発熱、咳、くしゃみ、鼻水が引き起こされます。

猫は匂いで食べ物かどうかを判断しているので、体調不良と合わせて鼻が詰まって匂いを感じられなくなる事もあり、食欲がないという事もあります。

症状が軽い場合は自然に治ることもありますが、症状が重い場合は受診するようにしましょう。ウイルスによる猫風邪の場合は症状が収まっても、ウイルスは体内に残りますので、猫の免疫力や体力が低下した場合は、再び症状が現れることがあります。

猫白血病ウイルス感染症

猫白血病ウイルスに感染する事で、初期症状として発熱や元気減退、リンパ節の腫れ、食欲がない、貧血などが起こります。初期症状が1週間〜数か月続き、その後症状が収まります。

ここで治る猫もいれば、ウイルスが潜伏し続け再び症状が現れる猫もいます。この病気は感染猫との接触で感染しますので、なるべく猫を外に出さない事や予防接種をして予防しましょう。

糖尿病

インスリンの不足により細胞がエネルギーとなるブドウ糖を取り込めなくなり、全身に様々な不調が現れる病気です。初期には食欲が増えることがありますが、進行するにつれ、食欲がなくなっていきます。

糖尿病の治療は人間と同じく、インスリン注射を行ないます。日頃のストレスや肥満を防ぐ事で、この病気の予防となりますので、なるべく愛猫がかからないよう、注意してあげましょう。

慢性腎不全

様々な感染症や病気により、腎臓の機能が低下していく病気です。初期症状で1番目立つのは多飲多尿ですが、徐々に食欲の低下や吐く、下痢、便秘、食欲がない、体重減少も見られてきます。

一度慢性腎不全にかかると完全に治ることはありませんので、進行を抑えたり、症状を緩和したりする治療をします。予防には、完全室内飼いや生活環境の整備、栄養バランスの良い食事、定期的なワクチン接種が有効です。

毛球症

毛づくろいによって飲み込んだ被毛が、胃や腸に溜まって毛玉となり、詰まってしまう病気です。長毛種や高齢猫、病気にかかっている猫など、胃腸の働きが低下した猫で起こりやすいです。

食欲の低下の他、吐き気や便秘などの症状も。治療には毛球除去剤を投与します。胃炎や便秘を併発している場合は、それらの治療も行ないます。

予防には、マメなブラッシングが効果的です。特に長毛種の場合は、ブラッシングは必須ですので、こまめに行ってあげましょう。

口内炎、歯周病

口内炎や歯周病によって口の中に痛みがある為に、食欲がない場合も考えられます。口の中のキズや感染症などで口内炎になります。

歯周病は歯石が溜まる事でなりやすいです。食欲不振以外にも口臭がキツくなったり、よだれが出たりなどがあれば、これらの病気を疑いましょう。予防には、栄養バランスの取れた食事と、食後の歯磨きが有効です。

まとめ

ご飯と猫
  • 病気によって猫の食欲が無い
  • 食事が気に入らないので食欲がない
  • 食欲がない原因が病気の場合強制給餌や点滴をする。
  • 食欲がない原因が食事が気に入らない場合は香りの強い物をトッピングする
  • 病気の場合:猫風邪、猫白血病ウイルス感染症、糖尿病、慢性腎不全、毛球症口内炎、歯周病など

今回は猫の食欲がない時の原因や対策をご紹介しました。

愛猫の食欲がないと、心配になりますね。病気の場合は食欲の低下以外に症状が現れている場合が多いので、しっかり観察してあげてください。

グルメな猫は特に、ご飯が気に入らないと食べないことが多いです。我が家にも1匹いますが、なぜか手に乗せたり、食器の外に出したりすると食べる事があります。その猫によって対処法が異なりますので、愛猫が食べたくなるスイッチを、探してあげましょう。

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