猫の腎臓に良いフードの選び方
低タンパク質のフードを選ぶ
タンパク質は猫の体をつくるエネルギー源として大事な栄養素ですが体内に消化され吸収された後、タンパク質は最終的に尿素となります。タンパク質が分解されるとアンモニアができ、これは有害で体に害をあたえるものです。そのためアンモニアは尿素に変換され、猫の腎臓に運ばれて濾過され最終的にオシッコとして体の外に排出します。しかし猫の腎臓の働きが悪くなると尿素を上手く濾過することができなくなりオシッコと一緒に排出することがせず体内に残ってしまいます。そのため猫がタンパク質が多く含まれたフードを食べるとその分腎臓に大きく負担がかかってしまい、どんどん有害物質である尿素が体内に溜まってしまい尿毒症を引き起こしてしまいます。
成猫用のフードはタンパク質が多く含まれているためタンパク質の含有量を少なく調節した腎臓用のフードや高齢猫用のフードに切り替えることで、猫の腎臓への負担を減らし、尿素の量も少なくしてあげることが必要なのです。
ナトリウム摂取を抑える
猫の腎臓には体の水分量や電解質のバランスを保ってくれる働きがありますが、腎臓の機能が低下すると電解質のバランスが崩れてしまったり排泄することができなくなるため余分なナトリウムが増えてしまいます。ナトリウムは塩分なため量が多いフードやオヤツを食べてしまうと血液中のナトリウム濃度が上がり水分量も増えます。猫の血液中の水分が増えると血管内に圧力もかかるため高血圧を引き起こしてしまい心臓にも負担がかかったり、目の網膜剥離を起こし猫が失明する可能性があります。
リンの制限されたフードを選ぶ
リンはカルシウムと一緒に骨や歯をつくる働きがあります。ですが猫の腎臓の働きが悪くなると余分なリンがオシッコと一緒に体の外へ排出することができなくなり血液中に蓄積されていきます。その結果、蓄積されたリンがカルシウムと一緒に猫の骨や歯以外のところに沈着することがあります。血管に沈着し石灰化すると動脈硬化となってしまったり、体内に蓄積された多くのリンは腎不全をさらに悪化させてしまいます。
猫の腎臓ケアにオススメのフード
ロイヤルカナン 腎臓サポートセレクション
猫の腎臓に負担をかけないようにタンパク質の量を制限だけではなく消化性を高くしてつくられています。またリンの含有量を一般の成猫用のフードと比較して約66%減らしています。
猫が腎不全になると食欲不振になりそれに伴い体重が減少傾向になってしまいますが、猫の腎臓サポートセレクションはフードの外と中の2層からできているため2つの食感で食欲に刺激をあたえ食べやすくなっています。それだけではなく成猫用のフードよりカロリーが約17%も高く調節されているのが特徴です。
ヒルズ k/d シチュー缶
低タンパク質のフードは一般のフードと比べて嗜好性が落ちてしまいますが、このk/dシチュー缶は猫が大好きなマグロや鶏肉を使ったり、栄養バランスを整えるために野菜も入っています。そのため嗜好性がとても高く猫の食いつきも良く、見た目もシチューのように美味しそうに見えます。
またこのシチュー缶は「チキン&野菜」と「ツナ&野菜」の2種類がありフードに飽きやすい猫でも食べてくれます。缶詰タイプなのでドライフードと比べて水分量が多く含まれているので猫の腎臓に負担が少ないです。
jpスタイル腎臓ガード
低タンパク質のみではなくナトリウムとリンの含有量を減らし猫の腎臓に優しくつくられています。魚原料を使用しているのでフードの匂いが良く嗜好性に配慮しています。またこの原料を細かくしてつくられているので消化性が高く、フードの粒が平らになっており猫にとって食べやすいところも特徴です。
ドライフードは開封してしまうと酸化により嗜好性が落ちてしまうのですが、このフードは小分け(700g×3)と分包されており酸化の心配がなく安心してあたえることができます。
猫の腎臓に優しいフードを選ぶ際に...
高齢猫用のフードも腎臓に優しい
猫は年齢を重ねるごとに見た目は元気そうに見えるけれど実際は猫の腎臓などの臓器に負担がかかりやすくなっています。最近ではどのメーカーも年齢ごとに栄養素を調節されたフードがあるため、猫の年齢に合ったフードを選んであげるだけでも猫の腎臓の負担を減らすことができます。
例えばロイヤルカナンの成猫用フード(インドア)のリンの含有量は0.84%に対し高齢猫用フード(エイジング12+)は0.6%と低く調節されています。
猫の検査結果をモニタリングしながら獣医師と相談を
タンパク質の量を抑えることで猫の腎臓の負担を軽減することができますがタンパク質は体をつくる大事な栄養素で五大栄養素の一つでもあります。元々猫は肉食動物なためタンパク質は非常に必要な栄養素でもあります。そのため健康な猫にあえて低タンパク質の腎臓食フードをあたえてしまうと皮膚がカサカサしたり毛艶が悪くなる、成長期の場合は発育不全に陥るなど健康を損ねてしまう可能性があります。
最近では猫の療法食は動物病院以外にネットで簡単に購入できるようになりましたが自己判断で決めず、必ず血液検査をおこない結果から猫に適切なフードを選ぶことが大事であり、獣医師との相談が必要になります。猫は早いスピードで年をとるので定期的に血液検査をおこなうと更に良いです。
まとめ
猫は高齢になると腎臓病になりやすいため、猫と腎臓は深い関係でもあります。猫の腎臓に負担をかけないように低タンパク質や低リン・ナトリウムの腎臓食フードが良いのですが、元々肉食動物で味にこだわりが強い猫にとっては味に物足りなさを感じ食べムラが出たり食いつきが悪くなることがよくあります。
しかし最近では色んなメーカーの腎臓食フードは味や食感、原料など食べやすいように工夫されており選べる数が増えてきました。そのため愛猫が食べてくれるフードがすぐ見つかるかもしれません。