マンチカンの成猫の大きさと特徴
マンチカンの大きさ
猫は、だいたい生後1年ぐらいで成猫になります。気になるマンチカンが成猫の大きさになった時の大きさを他の猫種の成猫の大きさと比べてみましょう。
- マンチカン 体重約3~5キロ
- シャム 約3~5キロ
- スコティシュフィールド 体重約4~6キロ
- 日本猫 体重約4~8キロ
- アメリカンショートヘア 体重約6~8キロ
- ヒマラヤン 体重約4~8キロ
- ペルシャ 体重約4~8キロ
- メインクーン 体重約4~10キロ
マンチカンの成猫は、大型のヒマラヤンやペルシャ、メインクーンなどの半分ぐらいの体重で、日本猫やアメリカンショートヘアなどよりやや小さく、シャムと同じぐらいの体重にまで成長するといった感じでしょうか。
マンチカンの体の特徴
足が短いのが特徴のマンチカンは、成猫になっても足が10センチメートルぐらいの個体もいます。ですが、実は足長のマンチカンもいます。マンチカンの足の短さは突然変異した遺伝子によるもので、足の短さは優性遺伝します。1対ある遺伝子のうち、足が短くなる遺伝子を1つも持たない場合に足長のマンチカンとなります。
マンチカン誕生までの歴史の中で、足の短い猫がいろいろな種類の猫と交配されてきました。そのため、マンチカンの成猫にはあらゆる毛の長さや色が認められています。バラエティに富んだ姿こそ、マンチカンの魅力の一つでもあります。
マンチカンの歴史
マンチカンのルーツは1980年代にさかのぼり、アメリカのルイジアナ州のトラックの下にいた足の短い猫だと言われています。この突然変異で生まれた短足猫の子孫がブリーダーの手にわたり、マンチカンの育種が始まりました。マンチカンの純血種の育種はまだ歴史が浅く、また健康上の問題がある可能性があるとして、マンチカンを猫種として公認していない団体もあります。
マンチカンが成猫になったときの性格
マンチカンは行動的
一般的に、マンチカンは成猫になっても活動的で好奇心旺盛と言われています。小さいのに思いのほか筋肉質。足が短いマンチカンも運動に不自由なことはありません。小回りがきくので、かえって活発なほどです。足が短いマンチカンは重心がとりやすく、後ろ足で踏ん張って2本足で立つのも得意です。多くの人の心配に反してジャンプや木登りも他の猫と同様に得意です。ただし足が短い分、足が長い他の猫に比べると、ジャンプできる高さは低くなりますが。
マンチカンは成猫になっても好奇心旺盛
マンチカンは好奇心旺盛なので、成猫になってもおもちゃで遊ぶのも大好き。家のあちこちを歩き回り、興味を示すことも多いようです。他の猫にも興味を持ち、いっしょに遊ぶのも大好きです。マンチカンは穏やかな性格で社交的なので、他の猫との同居も問題ないことが多いそうです。
マンチカンは成猫になっても甘え上手
人にも良く懐き、飼い主に甘え上手なマンチカンが多いようです。ただ、人間にも個人差があるように、マンチカンの性格も子猫から成猫になるまでに育った環境や性差、個体差に大きく左右されますので、飼い主は飼っているマンチカンがどのような性格かよく観察して対応してあげましょう。
マンチカンの成猫になる時期と平均寿命
猫が成猫になるのは1歳~1歳半と言われています。マンチカンについてもこの1歳を過ぎた年齢で成猫になったと言えるでしょう。また、一般的な猫の寿命は、15年前後と言われています。猫の平均寿命は、家完全室内飼育なのか外にも行く猫なのか、また地域猫や野良猫なのかによっても異なりますし、猫の種類によっても多少異なります。
マンチカンの平均寿命は12~15年と言われ、平均的な猫の寿命に比べると若くして亡くなってしまう子もいるでしょう。けれども、20歳まで生きたマンチカンの成猫もいるそうです。
どんな猫でも言えることではありますが、マンチカンの成猫を長生きさせる上で大切なのは、病気の予防と病気の早期発見です。予防接種や定期検診を欠かさないようにしましょう。
マンチカンの成猫に多い病気
もし遺伝病を持っていた場合にはその発症を完全に防ぐ方法はありませんが、早期発見により進行を出来るだけ遅らせることはできます。また、遺伝が関係しない病気は飼い主の健康管理次第で防ぐことができるものもあります。8歳を超えたぐらいの老齢期に入ったマンチカンは、それまで以上に次のような病気に気をつけてあげましょう。
肥満に注意!
どんな品種であっても肥満にならないように気を付けないといけませんが、マンチカンは足が短いので、体重が重すぎる場合には余計に足や関節の負担が増えることでしょう。ただでさえ高齢の猫は高い確率で関節炎を持っていると言われていますので、それを悪化させることとなる肥満は避けたいものです。
マンチカンと同じように足が短い犬のダックスフントやコーギーは椎間板ヘルニアになりやすいのですが、猫と犬の骨格の違いからか、マンチカンではダックスフントなどと同じような椎間板ヘルニアは報告されていないようです。
毛球症に注意!
猫は体の毛を舐めて毛繕いをしますが、この時自分の毛を飲み込んでしまいます。この飲み込んだ毛が毛玉になり、大きくなって消化管内に詰まって吐くことも便として排出することもできなくなる状態を毛球症といいます。毛球症になると、食べてもすぐ戻したり、食欲不振になったりしてやせ衰えてしまいます。
開腹手術が必要になることもあります。予防は、猫の体内に毛を取り込ませないことです。特に毛の長いマンチカンの成猫には、ブラッシングをこまめにしてあげましょう。
まとめ
マンチカンは好奇心旺盛、行動的で甘え上手、成猫になってもちょこまかと歩く姿が可愛らしいですね。マンチカンと良い関係を築くには、飼い主がその特徴を知って上手に付き合ってあげるのが大切です。
①なぜ短足なのか?
記事内で説明されている通り、短足は優性遺伝する形質です。そして1対ある遺伝子のうち、短足を生み出す遺伝子を両方に持ってしまうと致死遺伝子となり、胎児のうちに死亡してしまうか生まれてきても生き延びることができません。片方のみに短足の遺伝子を持っていると、その猫は短足になります。そして両方ともに短足の遺伝子を持っていないと、足の長い猫になります。
ここまでは育種、繁殖の経験から分かっているのですが、どの遺伝子のどんな変異がマンチカンの短足を生み出しているのかはまだ分かっていません。ダックスフンドやコーギーなどの短足の犬種では、軟骨異栄養症という軟骨の分化・成長の異常が短足を生み出していて、その原因遺伝子もいくつか特定されています。マンチカンの短足も、軟骨異栄養症によるものではないかと考えられていますが、品種の歴史が浅いこともあり、まだまだ不明なことが多くあります。
②健康上の問題はあるの?
短足胴長の体形が、椎間板ヘルニアになる確率が高い軟骨異栄養性の犬(ダックスフンドやコーギーなど)と同じ体形であることから、マンチカンも椎間板ヘルニアになりやすい、と言う人もいますが、記事内でも説明されているように、実際にマンチカンが椎間板ヘルニアになりやすい、という報告はこれまでのところないようです。これは猫と犬の体格、骨格の違いによるものと推測されています。
関節炎のリスクについては、他の猫と同等でマンチカンだから関節炎を発症するということはない、と主張する人たちと、マンチカンは高確率で関節炎になる、と主張する人たちがいて、専門家の中でも意見が分かれています。
多くの猫種で多嚢胞腎や肥大型心筋症などの遺伝病が報告されており、それらの病気はマンチカンでも起こる可能性があります。マンチカンの健康上の問題として、脊柱前弯症と脊柱側弯症を挙げる人もいますが、これらの一般的には珍しい病気の発生率がマンチカンで高いのかは分かっていません。
③マンチカンを飼う上で気をつけて欲しいこと
どんな動物、品種にも言えることですが、見た目の珍しさ、かわいらしさだけに惹かれ十分に勉強することなく動物を飼うことは避けましょう。特にマンチカンのような純血種では遺伝子プールが狭く(いわゆる、「血が濃い」という状態です)、遺伝病を持つ可能性が高くなります。
マンチカンにおいては、動物の福祉を重視する良識あるブリーダーは、健全な個体を作るために短足のマンチカン同士の交配は決して行いませんし、長い足のマンチカンだけではなくマンチカン以外の猫(雑種をも含む)との交配も行っています。マンチカンを購入する際には、兄弟や3代程度前までの祖先について確かめ、健康上の問題をかかえるリスクが高くない猫を選ぶと良いと思います。
≪参考≫
Universities Federation for Animal Welfare(動物福祉のための大学連合)のマンチカンについてのページ