スナネコ(砂猫)とは
「砂漠の天使」ともいわれるスナネコは、その名の通り中東からアフリカ北部の砂漠に生息する野生の猫です。食肉類食肉目ネコ科ネコ族、英語名は「sand cat(砂猫)」です。「アラビアンサンドキャット」と呼ばれることもあります。
スナネコは砂漠に住む生き物ですが、生息地域が飛び飛びになっているため、その地域によって亜種が存在しているとされています。
近年ではメディアで取り上げられることも多くなったスナネコですが、まだまだ分からないことが多い生き物です。一番の注目ポイントは見た目のかわいさで、野生の猫と言えば、ワイルドな雰囲気をまとっているイメージですが、スナネコは成獣になってもまるで子猫のような見た目のままなのです。
一般的な猫の「幼さ」の特徴は、黒目がちな目、大きな頭、目鼻のバランスで、幼さは通常は成長とともになくなります。しかしスナネコは、成長してもこれらがほとんど変化しません。そのため、「年を取らない猫」「ピーターパンキャット」「世界一かわいい子猫」とも言われています。
スナネコ(砂猫)の特徴
見た目のかわいさ以外に、スナネコにはどのような特徴があるのでしょうか。
スナネコの体の大きさ
- 体長40cm~53cm
- 体重1.5kg~
- しっぽの長さ約20cm
スナネコの体長の平均は50cmほどだそうです。体の大きなスナネコの体重は3.4kgなので、一般的なイエネコ(平均の体重3.6kg~4.5kg)よりは小柄と言えます。顔の幅はスナネコの方が広いです。足は太くて短め、その割に頭が大きいという体型も幼さを感じさせるのでしょう。
スナネコの被毛
スナネコの毛色は黄色っぽい茶色、あるいは黄色っぽい灰色です。この被毛の色により砂漠に紛れることができます。しっぽや前足、胴体には黒い線が模様として入っていますが、目立つ個体や目立たない個体がいます。
スナネコの顔には、目尻から頬にかけて黒いライン(クレオパトラライン)が入っていて、「猫らしさ」が感じられます。ぱっと見ると「トラ柄の猫」といった印象を受けるのではないでしょうか。
スナネコの耳
スナネコの耳は一般的な猫よりも大きく、尖っています。この大きな耳があることで、広い砂漠の中、ほんのわずかな音も聞き逃すことはありません。猫は犬の2倍も聴覚が優れた生き物ですが、スナネコは地面の中にいる獲物の音すらも聞こえるほど高性能な耳を持っているのです。
スナネコは獲物の音以外に、周りの物音をしっかりと聞きとれることにより、敵に襲われないようにもしています。また、音を聞き取る以外に、スナネコの大きな耳は体の熱を放出する役割もあるのです。大切な耳の中に砂が入らないように耳の内側には毛が生えています。砂漠で生きていくために必要な機能を持った耳なのです。
スナネコの足
スナネコの足の裏は、肉球の間から生えてる毛で覆われています。これによって、砂漠の熱せられた砂の上も歩くことができるのです。さらに足の裏の毛があることで、スナネコは砂に足が沈みにくいというメリットもあります。
スナネコの狩り
スナネコは夜行性の動物です。夜になると鋭い牙を用いて狩りをし、ネズミなどの小型のげっ歯類、野ウサギ、鳥、昆虫、は虫類などを捕獲し食べています。ときには毒ヘビもターゲットにするそうです。また、スナネコの耳は地中の生き物の音も聞き取れるため、地中に獲物がいると分かると素早く地面を掘って捕まえることもあります。
スナネコの性格
子猫のような姿がかわいいスナネコですが、とてもシャイで臆病な性格の一方、獰猛であるとも言われています。見た目では「天使のよう」とスナネコは言われていますが、親しみやすさはゼロと言えるでしょう。したがって、ペットには全く向いていません。
その他のスナネコの特徴
砂漠はとても暑い場所ですが、地域によっては気温差がとてもあります。季節によっては50℃近く暑くなる地域や、氷点下を下回る地域もあり、過酷な環境でも生きられる体をスナネコは持っているのです。
その一つが水分の摂取です。砂漠では簡単に水を飲むことはできません。スナネコは獲物を食べることで水分をとっていて、直接水を飲まなくても生きていけるのです。
スナネコは黄色っぽい被毛を使って自然に溶け込むようにして隠れます。小型の猫の中でも行動範囲が広いことや、夜行性で昼間は洞窟や他の動物が掘った穴、スナネコが掘った穴にいること、鳴き声が小さいことなどから、自然の中で見つけるのはとても難しい生き物です。
子どもは2、3匹ほど産みます。寿命は飼育環境下では10年から13年だそうですが、野生のスナネコの寿命は分かっていません。
2017年、ネコ科動物の保護団体がモロッコで、スナネコの子どもの撮影に成功しました。何度も砂漠に遠征をし、数時間も車を走らせてやっと発見できたそうです。
動画でみるスナネコの子どもは、びっくりした様子がとてもかわいらしいです。3匹の子どもとその近くには母親らしきスナネコがいました。母親のスナネコには発信機を取り付け、追跡調査を行うそうです。
スナネコ(砂猫)は準絶滅危惧種
実は以前スナネコは、IUCN(国際自然保護連合)で「準絶滅危惧種」に登録されていました。気候の変動や環境破壊などによってスナネコの生息地が減少しているのです。さらに、スポーツハンティングの対象にされたり、見た目のかわいさからペットにするため、違法に捕まえられたりしていたのです。
しかし保護団体の活動によって、スナネコは「準絶滅危惧種」から2016年には、一段階下がった「低危険種」となりました。
スナネコ(砂猫)に会える動物園
世界一かわいいとされるスナネコがいる動物園があります。しかし残念ながら日本にはなく、主にアメリカや中東、ヨーロッパの動物園です。スナネコを飼育している動物園の一部をご紹介します。
アメリカ シンシナティ動物園
オハイオ州にある動物園です。1875年に開園された、アメリカで二番目に古い歴史ある動物園なんです。シンシナティ動物園では、スナネコを含む絶滅の危険がある小型の猫の保全プロジェクトが行われています。自然繁殖をするための研究や、アラブ首長国連邦にあるアルアイン動物園と協力してスナネコの遺伝子管理も行っています。
アラブ首長国連邦 アルアイン動物園
自然な環境にできるだけ近い状態で、動物たちを見ることができる動物園です。スナネコも含め、アルアイン動物園にいる動物の30%は絶滅の危機がある種で、他の動物園と協力して保護をしています。
スナネコの情報は前述のシンシナティ動物園とも協力して管理されています。サファリパークのような動物園ですが、小動物と触れ合える施設や、餌付け体験などもできる施設です。
まとめ
「世界一かわいい」「ピーターパンキャット」と呼ばれるスナネコ(砂猫)は、砂漠でたくましく生きる貴重な猫です。
スナネコは、準絶滅危惧種に指定されていたほど貴重な生き物ですが、それだけで注目されているのではなく、そのかわいらしい見た目が人気のポイントです。成長しても子猫のようで、とてもかわいいですよね。日本ではアニメキャラクターとしても描かれて人気になっています。
動いている本物のスナネコを見てみたいと思うかもしれませんが、隠れることが得意なため、自然界で見ることはとても難しいです。スナネコに会えるのは海外の動物園だけなので、旅行の際に訪れてみてはいかがでしょうか。
50代以上 女性 ママ猫
「那須どうぶつ王国」でスナネコの赤ちゃんが誕生したと知り<スナネコとは?>と検索→この記事を読ませて頂きました
赤ちゃんが元気に成長します様に
スナネコの生息数が(他のネコ科の動物も)絶滅と無縁な程に増えます様に
切に祈ります