猫を飼っている家のゴキブリ対策!猫に安全な駆除の方法とは

猫を飼っている家のゴキブリ対策!猫に安全な駆除の方法とは

暑い夏になると問題になってくるのが、猫がいる家でのゴキブリの対策についてではないでしょうか。ゴキブリ対策グッズといっても種類がたくさんあり、その中には使い方によっては猫にとって危険となる可能性のあるものが存在するため注意が必要です。そのため今回は猫を飼っているお家での安全なゴキブリ対策方法や効果が期待できるグッズを紹介したいと思います。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫を飼っている家のゴキブリ対策とは

リビングにいる猫

地域にもよりますが、地球温暖化による気温の上昇や生活環境の変化などによりゴキブリを見かける頻度が年々増える傾向があると思います。多くの方がスプレータイプやハーブを使った製品などのゴキブリ対策をしているのではないかと思います。

一方、猫がいる家にはゴキブリが出てこないと言われていますが、実際に猫がゴキブリを退治してくれているのでしょうか。元々猫はハンターとして小動物を狩猟して生活していたので、人に飼育されるようになった現在もその名残りがあります。

そのため狩猟本能により素早くチョロチョロと動くゴキブリに反応するため遊ぶように咥えたり爪で引っ掻いたりすることでゴキブリが死に、場合によっては仕留めたのをそのまま食べてしまうことでゴキブリが見かけなくなることも考えられます。

しかし狩猟本能によりゴキブリを退治してくれる猫もいれば、ゴキブリに対して興味がなかったり怖がる猫もいるため、必ずしも猫はゴキブリを退治してくれるとは限りません。

また狩猟本能により猫はゴキブリやネズミなどを捕まえて飼い主の元に持ってくる「おみやげ」と呼ばれる行動をとることがありますが、ゴキブリは回虫の幼虫や様々な細菌など色んな病原体を保有していると考えられ、猫がそのゴキブリを食べてしまうとそれらの病原体を摂取することになります。

ほとんどの人がゴキブリを見つけた場合は対策として駆除薬を使うと思いますが、含まれている成分の中に猫の体に害を与えるものがあるので、猫を飼っている家庭でゴキブリを駆除するには注意が必要となります。

駆除薬を浴びたゴキブリを猫が食べてしまったり、駆除薬を食べたゴキブリを猫が食べてしまったり、駆除薬そのものを猫がいたずらをしてしまったりすることで場合によっては猫が中毒症状を引き起こす場合があるため安全なゴキブリ対策をおこなう必要があります。ゴキブリに直接噴射する殺虫剤が猫にかかってはいけないのはもちろんですが、以下の3つのゴキブリ対策方法も猫にとって危険になることがあります。

ホウ酸団子

有効成分であるホウ酸は、量によっては猫に下痢や嘔吐、痙攣などを引き起こし、重症の場合には腎不全によって死にいたることもあります。ゴキブリ対策として強力な効果を発揮するため昔から使われていますが、猫が興味を持ちおもちゃにして遊んでしまったり食べてしまうと場合によっては命を落とす危険性があるということです。

粘着性があるもの

粘着性のシートは昔から馴染みのあるゴキブリ対策として知られています。箱の中に誘引剤と粘着シートが入っており、誘引剤で誘われて箱に入ってきたゴキブリが粘着シートにくっついて捕えられる仕組みになっているものです。

シートの粘着性が高い分、猫がその箱の中に手を入れてしまうことで粘着部分が猫の体についてしまい、なかなか取ることが出来ません。猫がシートを取ろうとして暴れた時や、シートを取ってあげる時に皮膚を傷めてしまうこともあります。

待ち伏せタイプのもの

ゴキブリ対策の商品の中にあらかじめ噴射させた駆除剤のところをゴキブリが通ることで、薬剤に触れたゴキブリが死んでいくものです。

このようなものには「フェノトリン」「ペルメトリン」というスプレータイプの殺虫剤と同じタイプの成分が含まれていて、成分が長く残るように作られています。猫がこれらの成分を一定量以上摂取すると、嘔吐や痙攣、神経に作用をして麻痺を起こし死にいたることもあります。しかし、待ち伏せタイプのゴキブリ駆除剤を噴射させた場所を猫が通ると必ず危険ということではなく、中毒が起こるのはあくまでもそれなりの量を摂取してしまった時です。

【駆除剤についての補足】

害虫駆除剤には多くの製品がありますが、どれも猫を飼っていると絶対に使えないわけではありません。しかし、食べたりなめたりしてしまった量が多かったり薬剤にさらされている時間が長いと、殺虫成分による中毒を起こすことがあります。中毒の他にも、殺虫剤に対するアレルギーが見られる可能性もあります。害虫駆除剤を使う場合には、駆除したい場所に適切な商品を選び使用方法をよく守ることが猫の安全を守るためにもとても重要です。

獣医師:木下明紀子

猫に安全なゴキブリの駆除方法

ハエたたきを持つ妻

ゴキブリの侵入経路を塞ぐ

ゴキブリ対策で簡単にできるかつ有効な方法は侵入経路を塞いでしまうことです。ゴキブリは幼虫であればわずか1mmにも満たない小さい隙間からでも家の中に入ってしまうことができると言われています。成虫であっても種類によって3mmや5mmの隙間があれば侵入することができるそうです。

窓や網戸の隙間の他、通気口や上下水道に通じる管などからもゴキブリが侵入することがあるそうです。

そのため対策として、ドアや窓はすぐに閉める、破れた網戸はすぐに修理する、隙間があればテープなどでふさぐ、部屋にある換気扇や排水溝、通気口などにはカバーやフィルターを取り付ける、エアコン室外機の管を網目のネットで覆うなどして、ゴキブリが侵入しないようにブロックします。また、古い住宅では、台所や洗面所の下水パイプがU字パイプになっていないところがあるようです。U字パイプであれば途中に水がたまっているのでゴキブリはそこからは侵入できませんが、直線型のパイプではそこもゴキブリの侵入経路になってしまうそうです。

食事の食べ残しやゴミを放置しない

ゴキブリはご飯の食べ残しや、ゴミや人のフケなども何でも食べます。ゴキブリにとっては1年中食べることに苦労せず、一定の温度に保たれている家は格好の過ごしやすい場所となります。

そのため特に猫のご飯を出したままにしていたり、人の食べ残しや常温で保存している食材、ゴミを放置しているとゴキブリが侵入しやすくなります。ゴキブリは嗅覚がとても優れているので臭いで食べ物を探しだし、またそれをよく覚えているそうです。猫がご飯を食べた後はすぐに食器を片付けたり、テーブルなどに食べ物を置かない、食べ残しはすぐに処理するなど清潔を保つことがゴキブリ対策にも重要になります。

猫に安全でゴキブリ対策に効果的なグッズ

ソファーにいる猫

Pest Reject

超音波式害虫駆除機 4個セット
1,999円(税込)

超音波によるゴキブリ対策の商品です。毒餌、化学薬品などを一切使っておらず、有害物質の添加もないため猫などのペットがいるお家でも安心して使うことができるということです。

ゴキブリだけではなくアリ、蜂、クモ、ネズミなどにも効果があると書かれています。また超音波は人には聞こえない周波数の音なので人がストレスを感じることはありません。

【超音波や電磁波による害虫駆除器についての補足】

超音波や電磁波のネズミやゴキブリに対する忌避効果には、科学的に証明されているものがほとんどないのが実情のようです。効果を感じられている方もおられるようですので、ゴキブリにお困りで超音波や電磁波を使った駆除器を試す場合には、効果がなかったら従来の駆除剤を用いるつもりで試してみるのも一案かもしれません。ただ、猫は人間が聞こえない領域の高音(超音波)を聞きとることができます。製品によっては猫に聞こえていてストレスとなる音を発しているものもあるかもしれないと考えます。

獣医師:木下明紀子

天然ハーブのゴキブリよけ

【防除用医薬部外品】ナチュラス 天然ハーブのゴキブリよけ おくだけ簡単
¥576 (¥144 / 個)円(税込)

殺虫剤が入っていない天然のハッカ油配合のゴキブリ忌避剤で、置くだけで約1ヶ月ゴキブリを寄せ付けません。

殺虫剤を使用しておらずペットや小さい子供がいるお家でも安心と書かれていますが、万が一猫が誤って食べてしまったりいたずらをしたりすると良くないため、設置する際は猫が届かないところに置くように注意する必要があります。

【ハッカ油によるゴキブリ対策についての補足】

ハッカ油は昔からゴキブリ忌避に使われているようですが、天然由来成分だからといって猫に安心とは言えません。ハッカやペパーミントを含むミント類のオイル(精油、アロマオイル、エッセンシャルオイル)にはメントールが多く含まれており、口から摂取した場合には口腔内や消化管の粘膜を強く刺激し、消化器症状を引き起こします。また、人間で吸入や点鼻による喉の痙攣や窒息、意識障害が報告されているとのことですので、猫でも場合によってはそのような中毒症状が起きる可能性があるかもしれません。

獣医師:木下明紀子

まとめ

猫と赤ちゃん

猫の狩猟本能によりゴキブリを退治してくれるから特に何も対策しなくてもいいと思いがちですが、ゴキブリは様々な病原体を保有していて、猫がゴキブリを退治する際にそのような病原体をもらってしまう恐れがあります。

また、多くの家庭でゴキブリに対して何らかの対策をおこなっていると思いますが、対策グッズは使用法に注意しないと中毒を起こすなど猫にとって危険なものとなる可能性があるため、私たち人だけではなく猫に対しても安全・安心な対策グッズを選んで正しく使うことが大事です。

対策グッズだけではなく、感染症予防のためにもゴキブリが家に侵入しないようにネットやシートを使って隙間や穴を塞いだり、食べ残しやゴミをすぐに片付けるなど、日頃からできる対策をおこないましょう。

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