子猫の保護
日本には、避妊・去勢をしていない野良猫がたくさんいます。
飼い猫であっても、それをしていない飼い主さん人もがたくさんいます。
さらに避妊・去勢をしていないのに、平気で外に出す飼い主さん人もたくさんいます。
また、ネコを捨てる人もたくさんいます。
子猫の命を奪う物
猫の発情期は、年に2~3回と言われています。
比較的子育てのしやすい春と夏にピークを迎えます。
猫は妊娠するとわずか2か月で出産します。1度に複数の子猫を産みます。
そのすべてが生き残れるわけではありません。
外で産むと当然、天敵も現れます。カラスなどが子猫を狙うことはよく知られています。
また、トンビや鷹なども子猫を襲います。
感染症も子猫を容赦なく襲います。気温だって子猫を蝕みます。
母猫が育児放棄することも多いです。
そして、これは意外と思われるかもしれませんが、人間が子猫の命を奪ってしまうことも、多いのです。
駆除
それは交通事故や虐待だけではありません。
子猫を助けようとして、結果的に、駆除しているケースがほとんどなのです。
以前にも書きましたが、子猫を拾って動物愛護管理センターに連れて行く人がいますが、ほとんどの場合が、それは殺処分してもらうことになってしまいます。
動物愛護管理センターは保健所
保健所は、犬猫たちを助けるための機関ではありません。 地区の衛生管理をするところです。
保健所に住民たちから持ち込まれた、猫たちは少なからず殺処分をされてしまうところだという自覚をしっかりともちましょう。
収容した犬猫たちの飼育員さんがいる場所や自治体によっては殺処分ゼロを目指して里親探しに力を入れているところもありますが、基本的な保健所の仕事は、主に迷子などを含む所有者のわからない犬猫たちを飼い主さんが現れる間に、一時的に預かることです。
あくまでも収容犬猫たちの管理をし、個体数を制限するために処分する施設だと考えておけば、あそこに連れて行けば、助けてもらえるのだと勘違いする事はなくなるかもしれません。
ボランティア
となると、子猫を助けようとして拾う人たちは、いったいどこに助けを求めていくでしょうか?
このままでは死んでしまう!と発見し、保護したわけですから、自分でお世話するのが当然なのですが、そうではない人たちは、動物愛護活動をしているボランティアに何とかしてほしいと言ってきます。
「子猫を拾ったら、ボランティアさんや動物愛護団体に持っていけば当然助けてくれるものだと思ってました。」とある方が言われました。
全ての人たちがそう信じていたら、どうなるか想像したことはありますか?
例えば、1つの町の住人が2万人いたとします。
その中で動物たちの愛護活動をしているボランティアの人は普通、何人くらいいると思いますか?
その地区にもよるかもしれませんが、その数は0か、多くても1人か2人くらいのものでしょう。
そんな数少ないボランティアに、町の人たちみんなが子猫を助けてくれ!保護してくれ!と頼り始めたらどうなるでしょうか。
分かりやすく例えるとしたら、1本の細い藁に、大勢が助けてくれ!と群がることになるのと同じです。
そのすべてをボランティアさんが受け入れていたら、どうなるでしょう・・・
猫の発情期は年に2~3回あります。1度に複数を産みます。
あなたの町に、避妊・去勢していない猫はいったい何匹いるでしょう?
その猫たちが毎年子猫を産み続けています。
助けようとして生きるチャンスを奪っている?
本当に捨て猫?
町のいたるところに、子猫がいます。
もしも、まだ小さい子猫が茂みの中にいた場合、それは捨て猫ではない可能性があります。
母猫が育児の途中、餌を探して離れただけなのかもしれないのに、「まだ目が開いていない複数の子猫がミャ~ミャ~鳴いていたから、このままでは死んでしまうと思い拾ってきた。何とか助けてほしい!」という相談が、この時期は、全国各地で起きていることでしょう。
人が子猫を置き去りにする場合、箱か袋など、何か入れ物に入れられて捨てられていることがほとんどです。
それが捨てる人間の心理なのです。
でも、草むらや人気がない倉庫などの片隅で、生まれて間もない子猫が複数いたとしたら、それはまだ子育て中の可能性が高いのです。
母猫の育児放棄
しかし、心配して1度人間が触ってしまうと、あるいは何だろう?と近づいてしまうと、その人のにおいが子猫や周囲についてしまい、それが原因となり、母猫は育児放棄をしてしまい、二度と子猫のところには戻ってこなくなります。
また、捨て猫や育児放棄されたと勘違いして、拾ってきて、保健所に連れて行ったり、ボランティアさんに何とかしてくれと連絡したりする人も、この時期本当に多くなります。それは本当に子猫を助けていることになるのでしょうか?
自分で育てられないのであれば、拾わないでください
私がよくお話しているのは、「自分で育てられないのであれば、拾わないでください!」
ボランティアをしていると、この時期、毎日複数の子猫の保護依頼が届きます。
そのすべてを受けることは当然不可能です。すぐに飼育崩壊してしまいます。それに、乳離れしていない子猫のお世話はとても大変です。
人間の育児と同じで、2時間おきの授乳に、げっぷや排尿、排便を促す作業をやらなければなりません。それが数週間も続くのです。当然、寝不足にもなりますし、疲労もたまります。
そんなことを続けていると、ボランティアさんの本来の活動も停止してしまいます。
自分ができないことはたとえボランティアといえども限界があります。保護した人がそれをやるのであれば、保護した数だけで終わりとなりますが、次から次へと頼まれるボランティアさんに終わりはなくなります。
最後には、多頭による飼育崩壊が待っている、あるいは体調を壊して倒れてしまいかねません。
ボランティアは活動資金も自腹
ボランティアさんは、基本的に活動資金も自腹で持ち出しです。保護した後の子猫には、食費や医療費、その他が諸々の費用が延々とかかり続けます。でも、助けてください!とお願いした人たちは、子猫を渡せばそれで終わりの人たちがほとんどです。
食費や医療費、飼育すべてにかかる費用を最後まで持ってくれる人は、私は今まで一人も出会ったことはありません。ほとんどの場合、「ありがとうございます!」で終わりです。
もちろん、命を預かって助けるわけですから、そんなことは言うべきではないのでしょうが、それがもしあなただったら、どうでしょう?反対の立場になって考えてみてください。
最後に
全国のボランティアさんや愛護団体には、当然のように毎年無数の子猫の保護依頼が届きます。
猫の出産ラッシュともなると、それは日課のようになってしまいます。その対応だけで疲れ切ってしまいます。
尊い命のことなので、決して断りたくはないのですが、どうしても断らないといけない状態に追い込まれてしまうこともしばしばです。
ボランティアは基本的に何とか動物たちの命を助けたいと考えて活動しています。
でも、さすがに終わりのない子猫保護依頼に関しては、どこもお手上げの状態に毎年なってしまいます。
聞いてしまえば助けたいと思うのは当然です。
でも、それらすべてを助けようとすると必然的に崩壊してしまいます。なので心を鬼にして断っているのです。
すると恨まれます。ボランティアなのに…と罵られることも珍しくありません。
「だったら、保健所に連れて行くから!」という言葉は、ボランティアにとっては、脅迫と同じです。
毎年、心がボロボロになってしまいます。それで活動を止めてしまう人もいますし、心がめちゃくちゃ傷ついて、取り返しのつかないことになる人も出てきます。
子猫を捨てる人も、自分ではどうしようもないのに拾ってしまう人も、去勢避妊しないで愛猫を外に出している人も、そのすべての人たちに、私たち動物愛護ボランティアが少なからず毎年追い込まれていることをどうか知ってください…。
自分の立場に置き換えて冷静に考えてみてください…。
動物愛護活動をしているボランティアさんたちも、そういう活動をしていない人たちと同じ、一人の人間なのだということを。
誰かにできることは、誰にでもやろうと思えばできることなのです。
助けたいというのは、誰かに丸投げすればいいというものではないはずです。
1本のか細い藁に縋り付けば、みんな溺れてしまいます…。
そういうことをもっと真剣に、そして冷静に考えてみてください。
動物病院にも同様に出産の時期になると「子猫を保護したが飼えない」と連れてくる方がいらっしゃいます。そういった方々は動物病院なのだから当然命を救うために預かるだろうという安易な考えで連れていらっしゃるのですが、私たちも慈善事業をしているわけではありません。
簡単に預かってしまうとその子猫たちの世話や入院室が埋まってしまうがために本来の病院としての機能が低下し、体調が悪くて病院に来ている犬猫にまで影響が及ぶこともあります。
『自分で世話ができないのであれば安易に拾うことはやめましょう』