猫による歓迎の儀?帰宅時にスリスリしてくる心理5つ

猫による歓迎の儀?帰宅時にスリスリしてくる心理5つ

帰宅すると、必ずスリスリしてくれる猫がいます。愛猫がこのような行動を見せてくれると、嬉しくて疲れが一気に解消されるでしょう。帰宅時のスリスリは熱烈な歓迎なのでしょうか?今回は猫のすり寄る行動について紹介させていただきます。

熱烈なお出迎え!?帰宅するとスリスリする理由

スリスリする猫

帰宅すると同時に猫が擦り寄ってくる。これは猫好きさんにとって、たまらない幸せですよね。しかも、何度も何度も頬ずりをしてくれると「おかえり!!寂しかったんだよ~」と帰宅を喜んでくれているようで嬉しいものです。猫は留守番に強いと言いますが、やはり寂しさが募ってスリスリしてくるのでしょうか?

実は、帰宅時にするスリスリには意外な理由が隠されています。真相を知ると少しガッカリしてしまうかもしれませんが、猫の素直な気持ちに触れてみましょう。

1.自分のにおいをつけている(マーキング)

頬ずりする猫

外から帰ってきた飼い主さんには、知らないにおいがたくさん付着しています。飼い主さんが大好きでたまらない猫にとって、それらのにおいは邪魔でしかありません。そこで、いち早く自分のにおいをつけようとします。それが、帰宅時にスリスリしてくる理由の一つになります。

猫は縄張り意識が強い動物です。自分のテリトリーとなるものには、自分自身のにおいをつけて縄張りを主張します。これがマーキングです。マーキングというと汚いものを連想してしまいますが、猫のマーキングにはいくつか方法があります。

  • スプレー行動
  • 臭腺からフェロモンを放出し、におい付けする
  • 単純に歩くだけ

スプレー行動は、マーキングの中でもよく知られている尿を噴射する行動です。これは、人間の嗅覚でも感じ取ることができるほど強烈な臭いがします。一方、同じにおいを残すマーキングでも、フェロモンによるマーキングは人間の嗅覚では感知できません。

フェロモンは「臭腺」と呼ばれる場所から放出することができます。この臭腺は、額の両側・両頬・顎の下・しっぽ・肛門・肉球にあります。帰宅後の頬ずりもそうですが、猫は単純に歩くだけでもマーキングをすることができます。飼い主さんに対してマーキングをする理由は、独占したいからです。独り占めしたくなるほど飼い主さんが大好きなので、帰宅後は真っ先にほかの匂いを消去して、自分のにおいでいっぱいにしたいと思っています。

2.空腹を訴えている

食事する猫

猫は要求がある場合もすり寄ってきます。飼い主さんが帰宅した後に食事をとる習慣のある猫は、帰宅と同時に食事がもらえると覚えています。だから、「お腹空いたよ。早く早く!!」と食事の要求をしている可能性があります。理由はともかく、やはり飼い主さんとしてはスリスリされると嬉しくなるものです。

この喜びが猫にも伝わり、スリスリすることでご飯が食べられるとより一層この行動に力を入れるようになります。猫はとても賢い動物なのです。

3.トイレ掃除をしてほしい

トイレから見つめる猫

猫はとても綺麗好きです。飼い主さんが外出前にしっかり掃除をしていても、帰宅後はできるだけ早く掃除をしてほしいと願います。食事の要求以外の理由でスリスリしていることがうかがえる場合は、トイレをチェックしてみましょう。

そして汚れている場合は、速やかに掃除をしてあげてください。トイレを複数用意してある場合も、愛猫が気にしているようであれば、なるべく早めに掃除することを心がけましょう。トイレが汚い場合や砂が極端に減ってしまっている場合は、我慢や粗相の原因に繋がります。

日常的にトイレを我慢してしまうと、やがて膀胱炎や尿路結石を発症する恐れがあります。いずれも、一度発症してしまうと再発することがあります。そして、特にオス猫の場合は尿路結石がより重篤になる場合があるため気をつけなければなりません。万が一病気が疑われるときは、速やかに動物病院を受診しましょう。そして、事前に予防してあげることが何よりも重要です。日頃からトイレには意識を向けておきましょう。

4.甘えたい!!

顎乗せする猫

猫は元々単独で生活していたため、孤独には強く留守番も比較的得意とされています。ただ、猫にも人間のように個性があり、皆が得意とは限りません。中には寂しがり屋の猫もいます。そして、飼い主さんが帰宅することで安心し、「甘えたい」という気持ちが先走ることがあります。

留守番が原因で体調不良を起こしたり、好ましくないイタズラを繰り返すなど、問題行動が見られるときは、分離不安を引き起こしている可能性があります。この場合は、少し落ち着くまで構うことを控えることが良いでしょう。ここで大切なことは、落ち着きを取り戻したら褒めてあげること、そして構ってあげることです。

わざわざ飼い主さんを困られたり、過度な不安を感じなくても、必ず帰ってきて遊んでくれると安心させてあげることが改善へと繋がります。特に問題がない場合は、すり寄ってきた時点で撫でてあげたり、声をかけてあげるようにしましょう。

5.「おかえりなさい」のご挨拶

挨拶する猫

帰宅と同時に、しっぽをぴーんと立ててながら近づき、一度だけ頬を擦り付けてきた場合は挨拶をしています。これぞまさに、お出迎えです。猫は言葉で「おかえりなさい」と言えない代わりに、猫流の挨拶で出迎えてくれているのです。ここで、「ただいま」と言ってあげましょう。日常的に用いる言葉であれば、猫も認識することができます。猫はコミュニケーションが取りにくいと思われがちですが、猫のボディランゲージ(いわゆる猫語)を理解してあげることで、会話を楽しむことができます。

全ての信頼しての行動

今まで熱烈な歓迎を受けていると思っていた方は、残念に思うかもしれません。でも、落ち込まないでください。猫が自らのにおいをつけたり、ストレートに気持ちをぶつけるということは信頼の証です。

先に紹介したように、猫は単独で逞しく生きてきた動物です。心を許しすぎる行動や、隙を見せる行動は身に危険が及ぶこともあります。だから警戒心が強く、打ち解けるまでに時間がかかってしまうのです。このような本能が根強く残っている猫が、自分のテリトリーにしたいと思えるほど、飼い主さんが特別な存在なのです。猫の正直な気持ちを受け入れてあげましょう。

愛猫が無関心でも大丈夫?

寛ぐ猫

帰宅後に擦り寄る行動には、意外な真実が隠されていました。しかし、それ以前にこの行動自体に馴染みのない方もいらっしゃるでしょう。そう、飼い主さんが帰宅しても無関心な猫たちです。

あまりスリスリしない訳

スリスリは信頼の表れですが、普段からあまりスリスリをしてこない場合は不信感を抱かれているのではないかと不安になるでしょう。これに関しては心配ご無用です。帰宅後を含め、あまりスリスリしない猫には次のような理由があります。

  • まだ出会ってから日が浅い
  • 独立心が強い
  • 飼い主さんに直接すり寄らないだけ

愛猫を家族に迎えてからまだ日が浅い場合は、少し警戒心が残っている可能性が考えられます。我々が出会って間もない猫の性格や、行動の癖を把握していないように、猫も飼い主さんの反応や行動がイマイチよく分からずにいるのかもしれません。このケースでは、徐々に生活に慣れ、飼い主さんと良好な関係を築く中でスリスリするようになることがあります。まずは焦らずに、猫の気持ちを尊重してあげましょう。

また、独立心が強い猫も、あまりすり寄ったり、甘えたりしないことがあります。この場合は、個性として受け止めてあげてください。さらに、飼い主さんに直接ではなく間接的ににおい付けを行っていることも考えられます。例えば飼い主さんの洋服や鞄などです。理由は様々ですが、間接的にでもにおいを残すということは飼い主さんが特別な存在であることに他なりません。猫好きな飼い主さんからすると、すり寄ってほしいと思うでしょう。それは、飼い主さんの行動次第で変えられることもあります。大切なことは猫のペースに合わせて待つことです。

自分の主観を押し付けてしまわずに、猫のほうから直接飼い主さんにすり寄りたいと思ってくれるまで待ってあげてください。猫は個性豊かな動物ですが、猫の気持ちにそっと寄り添える飼い主さんであれば、少なくとも不信感を抱くことはないでしょう。

実は無関心ではなく

また「帰宅時に無関心な猫たち」と紹介しましたが、厳密にいうと無関心ではありません。猫は聴覚が優れているので、飼い主さんが玄関に現れるよりもずっと前から、帰宅に気がついています。主に足音や、飼い主さんの漕ぐ自転車の音、自動車のエンジン音などで把握することができます。心の中ではそっと「やっと帰ってきたわ」と思ってくれているのでしょう。素直に喜びを爆発させないところがまさに猫です。

愛猫が無関心を装っているときは、帰宅後に「ただいま」や「お利口だったね」と優しく声をかけてみてください。耳やしっぽで返事をしてくれることがあります。これが我が家の愛猫の「おかえりなさい」だと受け止めてあげましょう。

帰宅後だけじゃない!!スリスリしたくなる場面

撫でられる猫

猫が思わずスリスリしたくなるシチュエーションは、帰宅後だけではありません。理由を知ると、もっと愛猫が愛おしくなるすり寄り行動についてご紹介いたします。

お風呂上がり

入浴後もスリスリしてくるシチュエーションのひとつです。特に飼い主さんの頭部に執着してくる場合には面白い理由が隠されています。人間の頭部からは、その人特有のにおいが強く放出されています。とはいえ、これは人間同士が認識できるにおいではありません。猫を含む、嗅覚の優れた動物が感知するにおいのことです。

猫は聴覚・嗅覚が優れ、静止したものを見る視力は人間のほうが優れています。猫の視力は0.1と、人間の10分の1程度になります。よって、我々人間とは異なり、人を顔ではなく主ににおいによって識別しています。ところが、入浴後の飼い主さんからは飼い主さんのにおいが消えてしまっています。そう、ボディソープやシャンプーによってにおいが隠れてしまうのです。だから不思議そうな眼差しで見つめてきたり、すり寄る行動を取るのです。帰宅後と同様に、邪魔をしているにおいを消去し、自分自身のにおいを残す行動に出るのです。

頭部が気になる猫は、何度も頭部にスリスリするだけではなく、髪の毛を噛む行動をとる場合があります。これはアログルーミングといい、親密な関係にある相手に対して行う毛繕いです。愛情表現ではありますが、不快に感じてしまう方は、叱ることはせずに別の物に興味を示すように工夫してみてください。

飼い主さん以外の人にスリスリする

来客が訪問してきたときに、お客様に対してスリスリすることがあります。猫が好きな客人であれば嬉しいでしょう。とても人懐っこい印象が強くなります。一方、自分だけが特別ではないのかと嫉妬してしまう飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。でも、気を落とさないでください。室内で暮らす猫にとっては、ご自宅全てが猫の縄張りになります。自分のにおいがついていない人間が侵入してくるということは、本来縄張りを荒らす存在とみなされます。この時点で、気に入らない相手であれば威嚇します。

でも、すり寄るということは飼い主さんが招いた客人も自分の縄張りに入れてあげたいと思える相手なのです。つまり、自分にとって特別な存在である飼い主さんが大切にしている人として、とりあえず自分のにおいをつけておけば安心だと思っているのでしょう。猫はよそ者を受け入れないイメージがありますが、そうとは限らずに寛容な一面も持っているのです。

まとめ

グレーテル

猫がすり寄る行動には、奥深い理由や心情が表れていることが分かりました。帰宅後すぐにしてくれるスリスリがマーキングというのは衝撃を受けますが、紐解くと愛猫の愛情が見えてきます。

猫は、クールで感情表現が分かりにくいですが、心は飼い主さんへの愛で溢れているのかもしれません。熱烈なお出迎えではないという事実は、残念です。それでも愛猫が愛おしく思えるのではないでしょうか?

そして、明日からも帰宅後のスリスリが楽しみになるでしょう。愛猫に対する愛情はしっかりと伝わるものなのです。

スポンサーリンク