猫のマーキングがひどい理由は?やめさせるための対処法を解説!

猫のマーキングがひどい理由は?やめさせるための対処法を解説!

猫のマーキングの臭いはとても強烈ですがなぜマーキングは必要なのでしょうか?その理由やマーキングをされてしまったときの対処法などを紹介します。

猫のマーキング行動とは?

猫のマーキング行動

猫のマーキング行動には、スプレー尿、爪とぎ、スリスリと頭部や頬を擦りつける行動があります。とても強烈な臭いを放つスプレー尿について、生理的な排尿行動と不適切な排泄との違いについてや、爪とぎやスリスリ擦りつける行動のマーキングについての特徴も紹介します。

猫のマーキング行動の特徴

猫のおしっこによるマーキング行動(スプレー尿)は、自己アピールのために強烈な臭いのする濃い色のおしっこを出していますが、マーキングは排泄行動ではありません。

生理的な排尿行動とスプレー尿をするときの猫の動きには明確な違いがあります。

  • ほとんどの場合立ったまま
  • 尻尾はピンと立ち震わせている
  • 壁やソファーなどの垂直面にかける
  • 少量の尿
  • 排便はトイレで行う

トイレの失敗、病気などの不適切な排泄の場合の特徴は、

  • 座ったままの排泄姿勢
  • おしっこだけではなく排便もトイレ以外で行う
  • 膀胱炎などの頻尿の場合を除き1回量はまとまって出る
  • 布団などの平面やお気に入りの場所で行う

排泄をしたいけれどトイレが汚い、トイレの場所が気に入らないなどの場合や、身体疾患が原因で排泄時に痛みが出る経験から「トイレの場所=痛くなる場所」とイメージがついて粗相をしてしまうことがあります。

未去勢のオス猫以外もマーキングすることがある

性別に関係なく、未避妊・避妊済みのメス猫もマーキングをすることがあります。発情したオス猫が近くにいるときに「私はここにいるよ」と主張するためにマーキングをします。
オス猫に向けてメス猫も発情しているというアピールになるのです。

爪とぎによるマーキング行動

猫がガリガリと爪とぎをするのもマーキング行動の一つです。爪とぎをしながら肉球からフェロモンを分泌させてニオイを擦りつけています。ニオイを擦りつけた爪のとぎ跡を残すことで縄張りを主張しているのです。

スリスリと頭部や頬をすりつけるマーキング行動

柱やソファー、人間の身体や服にスリスリ、猫同士顔を近づけてスリスリ。この行動もフェロモンを分泌させながら安心感を高めるために行っているマーキング行動です。猫自身がリラックスをしていて、好きな人や好きな猫同士で行われる行動なので、ほっこりする微笑ましい光景のマーキングです。

猫がマーキングをする理由

ニオイを嗅ぎ合う猫たち

猫はなぜマーキングをするのでしょうか?それは縄張り、ストレス、繁殖行動に関係しているため、むやみに叱りつけたり、しつけでやめさせることができません。猫にとってマーキングは生きるためにとても大切な行動といえます。ここからは実際にどのような理由でマーキングをしているのか紹介します。

自分の縄張りを明確にしておきたい

外で活動をする猫の場合は、自分のテリトリーをアピールするために、外壁や庭の木などにマーキングをしています。テリトリー内に入ってきた猫に威嚇をしたり、ケンカなどで猫自身の生活範囲を守っているのです。

猫が室内でマーキングをするのは、新し仲間がやってきた時や、引っ越しなどの急な環境変化に対応するために存在アピールや威嚇のために行われています。

多頭飼いの場合、それぞれの猫が自分のテリトリーを主張・守るためにマーキングを行いますが、猫同士が仲良くない場合は、それぞれの生活拠点をわけることでマーキング行動を解消できることもあります。

お互いのテリトリーを侵害せず生活ができれば安心して暮らせるとわかるからです。このような縄張りを目的としたマーキング行動は去勢前、去勢後どちらでも行われます。

不安や緊張など精神的なストレスを表現したい

猫の家族が増えたときや、引っ越しなどの環境変化、飼い主さんにかまってもらえない、長期不在による寂しさが原因でもマーキングをすることがあります。常に飼い主さんと一緒にいる家猫にとっては、とても不安な出来事なのです。

わざと飼い主にかけて自分の臭いをつけることもあり、アピールとともにストレス解消をして安心しようとしています。このストレス表現のマーキングも去勢前後どちらでも行われます。

性的欲求から他の猫に自分をアピールしたい

発情期のマーキングはパートナー探しのため行われ、おしっこの臭いでメス猫に自分の居場所をアピールしています。猫の発情がはじまるのは、子猫から成猫の境である5~6か月頃です。発情期のマーキングは去勢をしていないと室内でもしてしまうため、去勢せすにそのままにしておくと家の中が強烈な臭いになります。

壁や布団、ソファーなど、いろんな場所にするため、取りにくい臭いのためしっかり掃除を行わないと猫は繰り返し同じ場所でマーキングを続けてしまうので注意が必要です。

猫にマーキングをやめさせるための対処法

カーペットを布で拭く手と猫

猫のマーキングはどのようにしたらやめさせることができるのでしょうか?去勢手術以外にも、ストレスの原因について知ることでマーキングをやめさせることもできる場合があります。マーキングをされた場所を徹底的に掃除する、掃除したあと再度マーキングをされないために猫を近づけない方法を取り入れることも大切です。ではどのようにやめさせるのか具体的にご紹介していきます。

去勢手術を行う

去勢手術を行うとマーキング行動を減らすことが期待できます。ただし、必ずしなくなるというわけではなく、個体差にもよりますが発情行動を経験したオス猫の場合は、再度マーキング行動を繰り返してやめない場合もあります。

それでも去勢することにより、ホルモンバランスの関係で性格が穏やかになり、攻撃的な行動が減少、比較的マーキング行動も減らすことが期待できるのです。発情行動を覚える前の生後4~6か月頃に去勢手術を行うことで、90%の猫はマーキング行動が改善されると言われています。

去勢済みのオス猫やメス猫も含めて、不安やストレスによるマーキングをしていることもあります。
このようなケースも対応できるように動物病院では行動療法や、抗不安薬を使用しての薬物療法を行っているところもあるので、相談してみるのも一つの方法です。

マーキングをした場所は徹底的に臭い消しをする

猫のマーキングが治まるまでは、掃除・洗濯が必須になります。まずは洗濯ができない布製ソファーやカーペット、壁紙などにマーキングをされた場合、おしっこをタオルやペーパーでポンポンとたたいて取り除きましょう。

ごしごし擦るとさらにしみ込んでしまう原因になります。紙オムツを利用すると、吸水力バツグンなのでおすすめです。おしっこはアルカリ性のため、酸性のクエン酸やミョウバン、お酢を使用することで中和して臭いを消す効果があります。

  • クエン酸水 水200ml クエン酸小さじ1杯
  • ミョウバン水 水500ml 焼きミョウバン大さじ1杯 (溶けきるまで1日以上必要)
  • 酢水 水500ml お酢大さじ1杯

お好みのものを作り、スプレーボトルに入れてマーキングされた場所に吹きつけます。手作りが面倒な方は、市販のものを使いましょう。ふき取りとスプレーを繰り返すことで、臭いを消していくことができます。お酢を使用すると、吹きかけてすぐはお酢の臭いが気になりますが、乾くとツンとした感じはなくなっているので心配ありません。

熱湯を使って臭い消しをすることも可能です。ただし、木製品や布製のものは傷む場合があるので素材に注意して使用しましょう。マーキングされた場所に熱湯をかけて、水分をよく取り除くを繰り返し、ときどき臭いをチェックしてみましょう。

洗濯できる場合は、酸素系漂白剤とぬるま湯を合わせたものにつけ置きしてから洗うと効果的です。カーテンなどにマーキングされたときに役立ちます。

布が傷んでしまうのでつけ置き時間は2時間以内にし、そのまま洗濯します。それでも臭いが気になるときは、クエン酸などで作ったスプレーの吹きつけと拭き取りを繰り返えすことで臭いを取り除いてみましょう。

猫がストレスを感じている要因を取り除く

新しい家族として猫がきたときや、引っ越しなどの急な環境の変化からストレスを感じてマーキングをすることがあります。新しい猫がきたときは、飼育環境をそれぞれわけて安心できるスペースを確保してあげましょう。

引っ越し後で不安なときは、猫自身のにおいがついているものを用意することで安心することができるので、以前から使っていた爪とぎや寝床に使っていた毛布などがあれば設置してみましょう。

不安の原因になっているものを取り除くことで、猫が安心して過ごせる環境に近づけることができます。猫の目線で急な環境変化がないか今一度確認してみましょう。

掃除した清潔な場所で食事させる

猫はきれい好きで、排泄した場所で食事をしない習慣があるので、マーキングしてしまった場所を食事場所にするのも対処法の一つです。根本的な方法ではありませんが、繰り返し行われるマーキング行動を防ぐ効果が期待できるため、複数箇所にマーキングしている場合は、1箇所だけでも対策することが可能かもしれません。

忌避剤(きひざい)を使って近づけさせない

マーキングをした場所をきれい掃除した後、忌避剤(マーキング防止スプレー)を使って近づけない方法です。忌避剤には、猫が苦手な柑橘系の香りが使われていることが多く、飼い主さんにとっては不快なにおいを感じないため使いやすい対処法です。ただし、効果を持続させるためには忌避剤を繰り返し使用する必要があります。

猫が苦手な臭いのする場所と認識するまで、飼い主さんは根気が必要ですが、すぐにでも対処したい場合にはとても便利です。もちろん猫がなめても安心な成分でできています。

まとめ

マーキングする猫

はじめて猫を飼うと、強烈なおしっこの臭いの原因が愛猫からのものと気づいたときはきっとびっくりする方もいるでしょう。しかし、猫にとってマーキングは縄張りなど自分の身を守るために必要な行動です。室内でマーキングが続いても、やみくもに叱らないようにしましょう。

強烈なおしっこの臭いと掃除はとても大変ですが、なぜマーキングをしてしまうのか猫の生活環境を見直す機会でもあります。また、マーキングではなく病気が潜んでいることもありますので、愛猫の状態を日々観察して、少しでも様子がおかしい場合は、動物病院を受診しましょう。

マーキングは猫から飼い主さんへの精一杯のメッセージだと思ってその原因を取り除き、お互いが過ごしやすい環境になるよう取り組んでみてください。