猫の「すりすり」の意味とは
猫は、耳の付け根やほっぺ、あご、乳首の周り、肉球、しっぽの付け根、肛門にある「臭腺」から出ているニオイ(フェロモン)を柱や家具、人、他の猫にすりすりと擦り付ける行動をします。猫が行う「すりすり」には、
- マーキングで縄張りの主張をしている
- 他のニオイを自分のニオイで上書きしたい
- 飼い主におねだりやアピールをしている
- 他の猫や飼い主への挨拶
などの意味合いがあります。こういった行動は、ただかわいいだけでなくちゃんと理由があるのです。今回は、なぜ猫がすりすりをするのか、猫にすりすりされやすくなるポイントについて詳しく解説していきます。
「すりすり」の本来の目的は、自分の縄張りを主張する「マーキング」
猫がすりすりを行うのは、自分のニオイを付ける事でマーキングをして、「ここは自分の縄張りだぞ」と主張をするのが本来の目的です。家の中にいる猫が、壁や柱の角、家具などに顔や体を擦り付けているのを見たという経験はないでしょうか?
一見、飼い主が見ている前で甘えているのかな?と思いますが、定期的に自分の臭腺から出ているニオイを付け直しているのです。猫はとても縄張り意識の強い動物なので、自分の安心できる場所を取られないようにしています。
外から持ち込まれたニオイに自分のニオイを上書きしている
先ほど猫が縄張り意識の強い動物だと紹介しましたが、自分の知らないニオイがあると不安になってしまうため、自分のニオイを付ける事で安心感を得ています。
家の中だけでなく飼い主も「自分のもの」と認識しているので、お風呂上がりや帰宅時など、いつもと違うニオイがすると感じた時に頭やほっぺを擦り付けてくるのです。
来客時、初対面で知らない人にも関わらず近寄ってすりすりしてくる子がいますが、自分のニオイをつけて外のニオイを消すように上書きしているのでしょう。「なんでこんな所(時)に?」などと思う事も多い行動ですが、猫の心理や目的を知ると何となく理解できますね。
「すりすり」して飼い主におねだりしている
ここまではマーキングの意味合いを解説しましたが、すりすりは飼い主へのアピールやおねだりにも使われます。
お腹が空いたのでご飯が欲しい、トイレが汚れているから掃除して欲しい、退屈だから遊んで欲しい、など猫が何かしらの要求を通そうとして擦り寄ってくることも。
または、すりすりをした事で飼い主からおやつやご飯をもらえた経験を覚えていて、「要求=すりすりすれば通る」と思い行動に移しているパターンもあります。賢いですよね。
普段なかなか甘えない愛猫が甘えん坊な姿を見せてきたら、撫でてあげたり優しく名前を呼んだり、時には思い切り遊ぶなどして、適度におねだりを叶えてあげてください。
他の猫や飼い主に挨拶をしている
多頭飼いのお宅ではよく見られるかもしれませんが、猫同士が鼻をくっつけたり頭突きをしたりして擦り寄っている事があります。この行動は猫の世界での挨拶で、自分のニオイを相手に付けながら、同時に相手のニオイもチェックしているのです。
元来警戒心が強い動物の猫同士が鼻先をくっつけられる程度の距離まで近づくのも、仲が良くないとできない事ですが、より友好的な関係を築けている猫同士の場合はすりすりの時間が長かったり相手の毛づくろいをしたりします。
猫の「すりすり」は心を許した相手にしかしない
猫は、信頼している飼い主さんや友好的な関係を築いている猫同士、敵対していない野良猫同士など、心を許していて好意を抱く相手にしかすりすりしません。
野良猫や保護猫などは警戒心が強いため、めったに人に対して擦り寄りませんが、人に飼われた経験がある猫やひとなれしている野良猫は体を寄せてきてくれる場合もあるのです。
すりすりしてもらえないからと言って必ずしも嫌われてしまっているとは限らず、猫の性格によっては、頻繁にすりすりをしてくる子もいればほとんどしない子もいます。
猫にとってすりすりは数ある習性の1つですが、相手に気持ちを伝えたりコミュニケーションを取るための大切なツールにもなってくれます。
激しくすりすりをしてくる時は要求や安心感を得たい、すりすりしながらゴロゴロと喉を鳴らす時は満足感が強いなど、猫の心理を読み取ることもできますよ。
すりすりしてほしい!猫に「すりすり」してもらうには
猫好きの人なら一度は、「猫にすりすりされたい!」と思うのではないでしょうか?
猫は、自分に対して好意的に接してくれて、なおかつ適度な距離感を保って構いすぎない人に寄っていきやすいです。押さえておきたいポイントとしては、以下の3つです。
- 好かれようとするあまりに構いすぎない事
- 大きい音を出さずにゆっくり動く事
- 指を鼻の前に差し出してニオイを嗅いでもらう事
猫によってはすりすりしない場合もあり、確実な方法とは言えないのですが、猫に嫌われないためのポイントとしても重要なのでぜひ実践してみてくださいね。
無理に好かれようとしたり構ったりしない
猫は気分屋な面があるので、人の方から積極的に話しかけてきたり撫でられたりすると引いてしまいます。どちらかというと受け身なスタンスを取る方が良く、撫でたり声をかけたりするのは猫が自分から寄ってきた時程度に留めておきましょう。
また、目が合った時にずっと見つめたり目を合わせようとしたりするのも、猫の居心地が悪くなります。猫同士の間では、目を長時間見つめる事は「敵意を持っている」と判断されるのです。もし目が合った場合は、目を細めたり微笑んだりすると敵意がないと伝えられますよ。
大きい声や動きで猫を驚かさない
猫は聴覚が優れているため、大きい音に驚いて恐怖を感じてしまい、さらに警戒心の強さから、大きな動作や素早い動作にもビクッとしてしまいます。
猫にすりすりしてもらいたいのであれば、猫が近くにいてリラックスしている時はできるだけゆったりと静かに行動するのが得策です。1日中ではなくても良いので、猫のペースに合わせて行動する事で「この人は一緒にいて安心できる」と思ってもらいましょう。
指を出して猫にニオイを嗅いでもらう
先に紹介した2つを実践して猫が近づいてきてくれるよになったら、人差し指を猫の鼻先にゆっくり差し出してみてください。先にこちらのニオイを嗅いでもらい、私は敵意を持っていませんと猫に伝えるのです。
最初はすりすりしてこない可能性も高いですが、根気強くやっていると、人差し指のニオイを嗅いだ後にほっぺをすりすりっとしてくれるようになるかもしれませんよ。
まとめ
今回は、猫が行う「すりすり」の行動の意味や目的、どんな人にすりすりをするのか、猫にすりすりしてもらうために大切な事をお伝えしました。
一見甘えているように見えるすりすりですが、本来の目的は自分のニオイをつけ安心感を得たり、自分の縄張りを主張するマーキング。外からのニオイやお風呂上がりなど、いつもと違うニオイに不安を覚えてすりすりするのです。
他には、飼い主へのおねだりや猫同士の挨拶など、気持ちを伝えたりコミュニケーションを図るツールとしても使われています。
基本、心を許した相手にしかすりすりしませんが、性格による個体差もあるので、すりすりされないからと言って必ずしも嫌われているわけではありません。もし、猫にすりすりをしてもらいたいと思ったら、
- 好かれようとして構いすぎない、長時間目を見つめない
- ゆったり静かな動作をして驚きや恐怖心を与えない
- 人差し指を猫の鼻の前に差し出してニオイを嗅いでもらう
これらを気長に実践してみてください。猫のペースに合わせるのがポイントですよ。猫との楽しい生活の参考になれば幸いです。