口内炎を持つ猫ちゃんは意外と多い!?
猫ちゃんの口内炎は、粘膜が少し赤い程度のものから、潰瘍を形成する重度のものまで様々あります。
症状としては口臭、ヨダレを垂らすことから始まり、炎症が進行すると出血、痛みによる食欲低下など、命に関わることもあり、たかが口内炎と侮るなかれ。
口内炎の原因
- 歯垢、歯石の蓄積
- 加齢
- 口腔細菌叢の乱れ
- カリシウイルスなどのウイルス
- 猫白血病ウイルス(FeLV)、猫免疫不全ウイルス(FIV)などの関与
などが挙げられますが、明確な原因ははっきりしていません。
一般的に猫の口内炎にはどんな治療をするの?
こういった猫ちゃんの口内炎に対して、一般的な治療としては抗生剤、ステロイドを投与して一時的に炎症を落ち着かせて様子を見ることが多いかと思いますが、あくまでその場しのぎです。
症状や炎症が軽度の場合はこの方法でもいいのですが、重症例や根治を狙うのであれば、全身麻酔をかけての歯石除去ならびに抜歯をせざるを得ません。
しかし重症例の猫ちゃんほど高齢であることが多く、腎不全などの疾患を持っている猫ちゃんも少なくないので、そういったコに全身麻酔をかけての処置は現実的ではないと思います。では、そんな猫ちゃんたちに何かしてあげられることは?
今までであれば、そういった根本的な治療ができない猫ちゃんたちには抗生剤、ステロイド投与で騙し騙し経過を追っていくことしかできなかったのですが、近年インターフェロンという選択肢が出てきました。
インターフェロンって?
インターフェロン(IFN)とは、体内でウイルスなどの病原体の侵入に対して分泌される蛋白で、ウイルスの増殖阻止や免疫系に作用し、炎症の調整などの働きをします。抗生剤の長期投与は薬剤耐性菌の出現の観点から、ステロイドの長期投与は様々な重篤な副作用の観点から好ましくありません。
その一方で、インターフェロンはもともと体内にも存在し免疫力を活性化、炎症を抑えるものなので長期の投与でも問題になることが少なく、口内炎をコントロールしやすくなります。
その名もインターベリーα
インターベリーα
今までもインターフェロン製剤は存在したのですが、投与方法が皮下注射になってしまい通院が必要で、猫ちゃんに与えるストレスも大きいものでしたが、近年になり口腔にインターフェロン製剤を滴下する方法で良好なコントロールを得ることができる報告がいくつか挙げられてきました。
もともとの成分としては、ワンちゃんのインターフェロンα製剤なので、猫ちゃんの口内炎は適応外使用になるのですが、麻酔をかけての処置が難しい猫ちゃんにとっては、良い選択肢の1つになると思います。
乾燥粉末なので猫ちゃんに使用するときは溶解して、口腔内に1日1回数滴滴下を2〜4週間継続投与する方法が一般的です。この方法も根治を狙う療法ではなく、あくまで良い状態を維持するのが目的になってくるのですが、良いところは飼い主さんでも投与が苦にならず、長期間使えるところにあると思います。
動物病院に通わなくてもお家で治療できるので、猫ちゃんに必要以上のストレスもかけないので一石二鳥の方法ですね。
インターベリーの効果は個体差があります。投与すれば必ず症状が改善するわけではなく、全く効果を感じられない場合もありますので、獣医師とよく相談の上投与するようにしてください。