猫の腎不全の薬「セミントラ」の効用と注意点

【獣医師監修】猫の腎不全の薬「セミントラ」の効用と注意点

猫は腎不全の発症率が高く、治療薬としてセミントラを処方することが多いです。実際に私が勤務している動物病院でも腎不全の猫にセミントラを処方してします。セミントラは腎不全の猫にどのような効果があるのか、また投与する際の注意点などを含めてお話しします。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の腎不全の薬「セミントラ」とは

セミントラと猫

セミントラは尿タンパクの露出を抑制する

腎不全は猫に発症しやすい病気であり、高齢になると多くの猫が腎不全にかかっています。腎臓は体の中の余分な水分や老廃物を濾過し、最終的にオシッコと一緒に体の外に排出してくれる大事な働きをしてくれています。

しかし猫が腎不全になると腎臓は老廃物を濾過することができずに体内に溜まってしまいます。また健康な状態であればタンパク質は体をつくるうえで非常に大事な栄養素のため、腎臓で濾過することができずオシッコと一緒に排出しません。ですが猫が腎不全になるとタンパク質が濾過され、オシッコと一緒に出てしまい腎臓に負担がかかってしまいます。ますます腎不全の進行がはやくなり猫の体に更に悪影響をあたえてしまいます。

猫の「セミントラ」はタンパク質をオシッコと一緒に排出させないように抑制効果があるお薬です。タンパク質の漏出を抑えるため腎臓の負担が軽減することができ、腎不全の進行を遅くすることができます。

セミントラには血圧を下げる効果がある

腎臓は老廃物を排出する働きのほかに血圧を調節してくれる働きがあります。猫が健康な場合は腎臓からレニンを分泌しアンジオテンシンというホルモンが反応し、血管の収縮やナトリウムの吸収促進させることで血圧があがります。逆に猫の血圧が高いとレニンの分泌量が減り血圧を落としてくれます。このように猫の腎臓は体の中の水分とナトリウムのバランスを常に保ってくれることで血圧の調節ができます。

しかし猫が腎不全になると調節することができなくなり高血圧になります。高血圧は腎臓だけではなく循環器である心臓にも悪影響をあたえてしまいます。

猫の「セミントラ」はテルミサルタンという成分が含まれておりアンジオテンシンII受容体を阻害する作用があり、血圧を下げる効果があります。またアンジオテンシンII受容体を阻害することによって腎臓にかかる血圧を下げる作用がありタンパク尿を減らすことができます。

猫の腎不全の薬「セミントラ」の与え方

セミントラを飲もうとしている猫

1日に投与するセミントラの量

猫に投与するセミントラの用量は「1日1回、体重1kgあたりテルミサルタン1.0mlを経口投与する」と記載されています。付属にシリンジがついており、目盛りが体重表記なため猫の体重と同じ目盛りまで薬を吸います。

例えば体重が3kgの猫の場合はシリンジの目盛りは「3」ということになります。そのため飼い主さんが1日にあたえる薬の量が分かりやすいため安心感があります。またセミントラ1ml中にテルミサルタンが4mg含まれているので、先程と同じく体重が3kgの場合で計算すると1日に0.75mlを服用することになります。

セミントラの与え方

セミントラは液体の薬なので付属のシリンジで直接猫の口にいれてあげるか、少量のウェットフードに混ぜてあたえる方法があります。口に直接入れる場合は利き手の反対側の手で猫の頭を持ち上に向かせます。頭を持つ際に親指と人差し指、中指で猫の頬骨を持ってあげるとしっかり頭を保定することができます。利き手でシリンジを持ち、後ろから猫の犬歯横にシリンジを差し込みます。猫の舌の動きに合わせて薬を少しずつ流しだすと、こぼしにくく飲みやすいです。

しかしセミントラは甘苦い味がするため飲んでくれる子もいますが、中には嫌がって拒む子もいます。その場合はスープ状のフードやウェットフードと混ぜてあたえます。フードと混ぜるため全部食べてくれないと薬がしっかり服用したことになりませんので、フードの量はすぐに完食できるくらい少量に抑えます。

猫の腎不全の薬「セミントラ」の注意点

セミントラを見ている猫

セミントラには使用制限がある

生後6ヶ月未満の子猫に対して安全性や薬による有効性が確認されていないため、絶対に服用しないことです。またセミントラは要指示医薬品でもあるため必ず獣医師からの指示に従い、決められた用量を守り服用することです。

体重によって薬の量が変わるため成猫でも体重が2kg以下の場合、また妊娠中や授乳中の猫は薬による安全成が確認されていないため服用を禁止しています。

セミントラには副作用がある

まれに副作用として嘔吐や下痢などの消化器症状をおこす場合があるため、その際は必ず動物病院に受診することです。セミントラは血圧を下げる効果があるため低血圧をおこして体がフラついたり、虚脱状態になる場合があるので病院に受診し適切な治療が必要になります。

薬の影響で血液の赤血球の数が減少する傾向があるため服用期間中に赤血球の数や腎臓数値である尿素窒素(BUN)などを定期的に血液検査をおこないモニタリングが必要です。

飼い主に対する注意事項

セミントラはアンジオテンシンII受容体拮抗薬なので血圧を下げる効果があるため胎児に影響をあたえることが確認されているため妊婦は誤って誤飲しないように気をつけなければいけません。万が一誤飲した場合は早急に病院に受診する必要があります。

まとめ

薬と寝ている猫

セミントラは尿タンパクの露出を抑えたり血圧をさげる効果のあるお薬です。液体タイプなので比較的服用しやすく、また付属のシリンジが体重表記なので1日に投与する量が分かりやすいです。もし服用する際に猫が嫌がる場合は少量のウェットフードやスープ状のフードと混ぜてあたえる工夫をするとよいです。

ですが一度機能を失った腎臓は元に戻らないため服用中に定期的に血液検査をおこない腎機能や貧血の数値をモニタリングすることが大事です。