猫で有名な画家ルイス・ウェインとは?
ルイス・ウェインというイギリスの画家をご存じでしょうか。
彼は生涯猫の絵を描き続けた画家として高い人気を誇っており、ポップで可愛らしい猫のイラストが注目されていました。
今回はこのルイス・ウェインという画家について詳しく紹介します。
ルイス・ウェインの生涯は、決して穏やかなものではありませんでした。可愛らしい猫のイラストからは想像しにくい悲劇の連続だったといえます。
猫の画家ルイス・ウェインが生まれたのは1860年のこと。イギリスのロンドンで誕生した彼は一家の長男でもあり、5人の妹たちがいました。
若い頃から絵の才能に恵まれていたルイス・ウェインは美術学校を卒業しますが、彼が20歳の時に父親が亡くなってしまった関係で、彼が一家の家計を支えることになったのです。
美術学校を出てから教師として働いていましたが給与が安かったため辞職し、画家として生計を立てることを決めます。才能があった彼の絵はたちまち話題となり、彼の描いた動物画や風景画はあらゆる新聞や雑誌で使われることとなりました。
そして、ルイス・ウェインが23歳の時、妹の家庭教師をやっていたエミリー・リチャードソンという女性と結婚をします。
画家としての歩みも順調で、幸せな結婚生活が続くと思われましたが、またしても悲劇が彼を襲います。最愛の妻であるエミリーは結婚してからわずか3年でガンにより亡くなってしまったのです。
エミリーはピーターという猫を飼っており、ルイス・ウェインとともにこの猫を可愛がっていました。エミリーが亡くなって、家に残された画家ルイス・ウェインと猫のピーター。
これがきっかけでルイス・ウェインはピーターをモデルにした絵をたくさん描くようになりました。「ルイス・ウェイン=猫の画家」と知られるようになったのは、このピーターの存在のおかげといっても過言ではありません。
画家ルイス・ウェインの猫の絵
画家であるルイス・ウェインの作風は、時期によってどんどん変化していきました。しかし「猫の絵を描きたい」という思いだけは生涯ずっとブレることがなかったようです。
猫の絵を描き始めた当初はピーターをモデルにしていたこともあり、写実的でシンプルな絵が多く残っています。しかし画家ルイス・ウェインの作品は、徐々に写実的な絵から、ファンタジー感溢れるイラストっぽい作風へと変化していったのです。二足歩行で歩き、人間のように振る舞う猫の姿は非常にユーモアで多くの人の心を掴みました。
猫で有名な画家ルイス・ウェインの作風が変化した理由
職人気質で、人気が出てからも作品の値段をあまり変えなかったルイス・ウェインは有名な猫の画家であるにも関わらず、年中お金に困っていたそうです。
しかも、中には質の悪い取引相手もいたようで、ルイス・ウェインの作品が安値で買いたたかれることもあったのです。
それから彼の精神状態はどんどんと悪化していきました。穏やかで優しい本来の性格が一変して家族に暴力をふるったり、支離滅裂な言動が見受けられるようになったのです。
そのため、ルイス・ウェインは精神病院で入院することになりました。いくつかの病院を転々としたルイス・ウェインでしたがその間も猫の絵を描くことはやめなかったそうです。
しかし、精神状態が不安定だったこともあり、彼の作風はガラっと変わりました。入院生活を送るようになってからは、猫の形をベースにはしているものの、花のようなイラストで満たされた作品や、幾何学的な模様の猫の絵が増えていったのです。
入院生活前と比べると、かなり抽象的な作風のイラストが増えたといえます。なぜこのような作風に変化していったのかは画家本人にしか分かりませんが、恐らく彼の精神状態が深くかかわっているのではないかと考えられています。
猫で有名な画家ルイス・ウェインの作品がある博物館
猫で有名な画家・ルイス・ウェインの作品はイギリスにあるベスレム王立病院内の博物館に展示されています。ベスレム王立病院はイギリス史上最も歴史の長い精神病院で、ルイス・ウェインの他にも、リチャード・ダッドやレミュエル・フランシス・アボットといった画家や芸術家などが入院していたことで有名な病院です。
そのため、この病院内の博物館にはこのような入院患者の作品が多数展示されています。
まとめ
画家であるルイス・ウェインは精神を患いながらも、生涯ずっと猫を愛していたのだということが作品から伝わってきます。
イギリスまで行けば、ルイス・ウェインが描いた実物の作品を見ることもできるため、イギリス旅行に行った際はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。