『片目の子猫』の行く末とは…ラストチャンスと悲しい現実

『片目の子猫』の行く末とは…ラストチャンスと悲しい現実

私がボランティアをしているセンター(保健所)は、障がいがある犬猫たちは殺処分されます。その子は生まれつき片目がありませんでした。

小眼球症の子猫

相談

2021年10月。センターに行き、所用が終わり帰ろうと駐車場に向かったところで、職員さんが追いかけてきて呼び止められました。

「もう一度中に戻っていただけませんか?」

建物の中に戻ったら、職員さんの手に1匹の子猫が抱えられていました。

「この子、片目がないのですが引き取れませんか?」

承諾

恐らくこの時「ちょっと今は無理です」と連れて帰らなかったら、処分されるんだろうなと察しました。

職員さんは、私たちに相談するかどうか迷っていたのでしょう。だから駐車場で帰ろうとしている私を追いかけてきたのではないでしょうか。ダメもとで聞いてみて、断られたら…ということなんだと思いました。

子猫には片目がありませんでした。連れて帰らなければこの子に未来はないと感じました。

クレーム

このセンターは、健康で若くて五体満足でなければ譲渡対象にできません。何故なら市民からクレームが来るからです。

センターは保健所なのに、身体に問題のない犬猫達しか譲渡対象にできないようにしてるのは、クレームを言う市民達です。センターは行政だから、市民からクレームが来ないように努力しないといけません。

納得はできませんが、そういう市民がいるのは事実ですからどうしようもありません。

ミルクボランティア

子猫は幼猫の時に収容されました。市民がセンターに持ち込んだのです。センターの飼育員さんが自宅に連れて帰りミルクをあげて育てました。

職員さんたちは昼間はセンターで収容犬猫たちのお世話をします。それは仕事としてお給料が出ますが、自宅に連れて帰り数時間起きにミルクをあげるのは、職員さんでもボランティアとしてやっているのです。

できるだけ生かしたい、という思いで必死でお世話されています。

小眼球症

目やにがひどく、目ががなかなか開かなかったそうです。やっと目が開いたと思ったら、片目の眼球がありませんでした。

子猫は生まれつき眼球がない小眼球症という障がいを抱えていました。それは治療で治るものではありませんでした。

お世話

目ヤニは出るけれども、特に治療が必要な病気でもなく、子猫は健康そのものでした。ビタミンDの生成を促すために、1日少しだけ日光浴をさせながら私が自宅でお世話をしました。

同時に里親探しも始めました。SNSで、日々の成長を投稿していきました。

名前はウィリー。『グーニーズ』という財宝を探して子供たちが冒険する物語の主人公『片目のウィリー』から名前を付けました。

私は『片目のウィリー』とキャッチフレーズを付けて投稿をしていきました。

里親希望

すると、「既に他界した先住猫がやはり視力に問題を抱えていたけど器用に過ごしていたから」と、隣の県に住むご家族から挙手がありました。

ご自宅まで連れて行き、トライアルを経て里親決定となりました。

10月にセンターレスキューし、11月には終生のおうちが決まったウィリーは、『ワンピース』の漫画から『片目のロロ』と名前が変わりました。

里親様とは今でも連絡を取り合っています。

感謝

その年の12月、ウィリーのミルクボランティアをしていたセンターの職員さんから言われました。

「ウィリーは、片目がなかったから殺処分になることが決まっていました。あの時、あなたが連れて帰らなければ処分されていました。それはセンターの事情で仕方ないのですが、やはり自分が数時間おきに授乳して育てた子猫が『片目がない』という理由で処分されるのは、とても辛いです。だからあの時、即決で連れて帰っていただき、本当に感謝しています。」

最後に

やはりあの日の私の勘は当たっていました。

「連れて帰らないと、この子に未来はない。」

それはセンターが保健所という場所、また、障がいがある犬猫を譲渡対象にするとクレームを言う市民がいるという背景があり、本当に悲しい現実なのです。

私はこのセンターの事情と市民の現実について、ボランティアを始めていろいろ知りました。

人間の都合で、自分ではどうしようもなく殺処分される犬猫たちがセンターにはいます。また、それと同じでセンターの職員さんたちも自分の力ではどうしようもない事情があります。

彼らは公務員です。行政の決めたことを守らなければなりません。また、市民のクレームにならないように動かなければなりません。辛いお仕事をされていますよね。

私は、センターの犬猫たちを殺処分されないように助けていくということは、同時にセンターの職員さんたちを助けているのだと、このウィリーの一件で痛感しました。

1人でも多くの市民が、私のようにセンターの現実に気が付いて、自分でできることは何かと考えて、そして行動してくれることを願いながら、私はこの記事を書いています。

※こちらの記事は動画や画像の撮影・制作・配信をしている団体より許可を得て掲載しております。
 掲載団体名:ディ・アンク

ディ・アンク

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