里親になるための条件とは?
最初に
動物愛護団体から猫を引き取る際に、里親として求められるものはなんでしょうか?
そんなシンプルな疑問にお答えします。
各団体によって、細かな点は異なるとは思いますが、基本的なことを書いておきます。
年齢制限
猫は平均寿命が約15年、長いと25年くらい生きられる動物です。
もしも25年生きたとしたら、55歳で子猫をもらったとしても80歳までお世話が続きます。
そのため、里親にはその時の猫の年齢から逆算して、終生飼育ができる年齢を求められます。15年~25年のどこをその団体が基準にされるかわかりませんが、里親になるための年齢制限があるのは、終生飼育できるかどうかの判断から致し方ないのです。
住居
持ち家一軒家以外は、ペット可物件であるかどうかの証明が必要となります。
よくあるのですが「市営(県営)住宅でペット不可なんですが、みんな飼っているので大丈夫です!」「ペット不可のマンションなんですが、賃貸ではないので大丈夫です!」
いえ、NGです。ペット不可であれば、すべて却下です。
ペット可物件でも、制限頭数、ペットの種類など契約での決まりごとがあるため、必ず契約書を確認させていただきます。契約書に明記してない場合は、管理会社に確認をとらせていただきます。
口だけで「うちはペット可なんですよ!」「大家さんに許可とってるから大丈夫です!」と言われても、実際は猫がダメだったり、嘘だったりするケースもあるので、必ず確認を取る必要があります。
前回、口頭でペット可だと言われたアパートは、管理会社に確認したら猫がNGでした。また別のアパートでは、大家さんに確認したらペットNGでした。そういうことが珍しくありません。
もしもペット不可物件なのに猫を飼っていることが大家さんにばれた場合、どうなるか?
契約違反として、その部屋を借りている住人に損害賠償金を請求されるか、あるいは早急に猫を手放すように言われます。それを防ぐための事前確認です。
同居の家族構成と全員の年齢と全員の同意確認
お子さんが小さいと、猫の譲渡が難しくなる場合もあります。
犬や猫は、お子さんの甲高い声が苦手です。また、いきなり動くことに恐怖を感じてしまうことがあります。
猫にもよりますが、小さなお子さんがいる場合は、譲渡する側が慎重にならざるをえないのです。猫の安全を守るためとストレスを与えないためです。
また同居のご家族の中に猫嫌いがいたり、猫アレルギーがいたり、猫を飼うことに反対している方がいらっしゃると、譲渡できないことになります。
それは、猫を途中で手放されるリスクが高いからです。
金銭的余裕の確認
金銭的に余裕があるかも確認の範囲となります。
猫を飼うのには、ある程度の費用がかかります。
フード代、トレイ砂代、医療費などのほかに、夏場冬場のお留守番の時に、エアコンで室温調節をしていただける家庭が望まれます。
特に日本の夏の暑さは昔とは違います。
家も隙間風が入るような昔の家とは違い、密閉されている建物が多くなっており夏場の室内の温度は上昇します。猫も熱中症になり、酷い場合は死亡します。
お留守の時でも、猫のためにエアコンをつけっぱなしにできるだけの金銭的な余裕が求められます。
完全室内飼い
お外に出されると交通事故、感染症など、様々なリスクがあり命の危険にさらされます。
猫の白血病は唾液や排出物で感染します。猫エイズは、血液で感染します。
どちらも感染すると、治療法はありません。
キャリアになり、それを発症すると、最終的には命を落とすことになってしまいます。
お外で生活する猫と接触したり、野生動物たちの排泄物から感染症をおこし、また人間も感染して命を落とすこともあります。
行方不明になる可能性もあり、避妊・去勢前は特に繁殖の可能性もあり、お外に出すことはNGです。
それらの理由から完全室内飼いができる方なのかどうかを最初に確認させていただきます。
飼育環境チェック
保護団体が実際にお家に行き、飼育環境チェックをするのが一般的です。
チェックしたいのは以下のポイントです。
- 本当にその住所に住んでいるのか?
- ごみ屋敷ではないか?
- アニマルホルダーではないか?
- 虐待目的ではないか?
その他に、猫が脱走しやすい環境ではないかも合わせてチェックして、猫を室内で飼育する場合の注意点をアドバイスしたりすることも目的です。
遠方の場合は、写真や動画などで確認することもあります。
先住さんの有無
先住動物がいるかどうかも大事なチェック項目です。
猫にとって危険な動物がいないか?先住猫がいる場合は、ウィルス検査をしているか?その結果は?などをチェックさせていただきます。
先住動物がいる場合は、実際に会わせていただくか、写真でどのような飼育状態なのかを確認することになります。
最後に
身分証明書を見せていただき、契約書に署名捺印していただき、その後報告をしていただけるようラインなどを交換し、場合によりますがトライアル期間を設けて相性を確認していただき、最終的に譲渡となります。
よく愛護団体の譲渡条件が厳しすぎるとか、プライバシーの侵害だとか言われてしまいますが、大切な命を託すための大事な確認なので、ご理解いただければと願います。