保健所持ち込みに偶然遭遇…クリスマスイブに起きた奇跡と強運な猫

保健所持ち込みに偶然遭遇…クリスマスイブに起きた奇跡と強運な猫

昨年のクリスマスイブに1匹の野犬を保健所から引き出して、車に乗り込みまさに帰ろうとしていた時に、その猫は市民に持ち込みされました。もしも1分遅れていたら出会っていなかった命でした。

偶然出会った命

県内ワースト地区

私がボランティア活動をしている市の保健所は、猫の処分数が県内ワースト1の多さです。

ただし、保健所が猫を捕獲することはありません。処分される猫の殆どすべてが市民によって持ち込まれているのです。

年間700頭前後も持ち込みがあるため、その殆どが誰にも知られず殺処分されているのが現実です。

譲渡対象にならない限り、どんな猫が収容されたのかは大々的には公表はされません。公表するだけの時間がないくらい、次から次への市民によって持ち込まれ、収容が追い付かないのです。

ボランティアの私でもどんな猫が何頭くらい収容されたのかということは教えてもらえないので、どうしようもない状態です。

残念ながら市も、それを改善する対策は殆ど何も打ち出していません。

収容された猫たちの存在すらも雲をつかむような話で里親探しもできないため、なかなか助けることができないのが現実なのです。

持ち込み

昨年のクリスマスイブ、保健所に1匹の野犬を引き出しに行きました。

犬をケージに入れて車に積んで、今まさに保健所の敷地を出ようとしていたその時、1台の車が入ってきました。

「もしかしたら犬か猫の持ち込み?」そう直感した私は、少し出発を遅らせて様子を見ていました。

やはり猫の持ち込みでした。

女性が猫を入れたケージを車から出したので、「持ち込んだら殺されますよ!」と声をかけました。敢えての強い言い方です。

しかし、女性は「うちにも猫がいるので、仕方ないのよ!」と私の目を見ることもせず吐き捨てました。

すぐに職員さんが来て、女性と猫を収容棟に連れて行きました。

運ばれていくキャリーケースの中で猫がニャーニャーと泣き続けていました。

その時の私たちには、それ以上どうすることもできず、溢れそうな怒りを押し殺し、保健所を後にしました。

怒り

引き出したばかりの犬の病院や譲渡が優先です。それ以上は何もできず、思いだけが湧き上がってきました。

「あの鳴き方は、人馴れしている猫。どうしてわざわざ捕まえて保健所に持ち込まなきゃいけないのか?自分も猫を所有しているなら、猫好きなはず、野良猫ならそっとしておけばいいではないか...わざわざ捕まえて持ち込む意味が分からない!しかも、持ち込めば殺されるのを知っているのに!」

いろんな思いが次から次へと湧いてきて、自分でもどうしていいのかわからなくなっていました。

その日の活動を全て終えた夜。自宅に帰った私がまずしたことは、その出来事をフェイスブックに投稿することでした。

預かり

すると、すでに猫を2匹見てくれている預かりさんから連絡が入りました。

「私が預かれば助けられますか?」

翌朝すぐに保健所に連絡し、年明けに一緒に猫に会いに行く事になりました。

職員さんからは「全身皮膚病だと思いますが、いいですか?」と言われましたが、とにかく実際に会ってみることにしました。預かりさんにもそれを伝えましたが、彼女がひるむことはありませんでした。

面会

年明けの4日、センターが開館してすぐに二人で猫に面会しました。

その結果、翌々日に、引き出すことになりました。

引き出してすぐに動物病院に直行。ウィルス検査と真菌の検査をしました。

ウィルス検査は猫エイズ陽性でした。そして猫風邪をひいていました。真菌に関しては細胞培養をするため、1週間後の結果待ちとなりました。

猫風邪がひどかったため、一時預かりさんのところでは、他の子とは別の部屋で隔離してもらいました。

三毛猫オス

命名「幸(ゆき)」

縞三毛、珍しいと言われる三毛猫のオスでした。

治療

1週間後の検査結果では幸い、真菌による感染症にはかかっていませんでした。

「全身皮膚病です」と職員さんが言った時は、正直、他の子にうつったらどうしようかと思いましたが、感染症は猫エイズ陽性と猫風邪だけでした。皮膚が所々剥げている原因はわかりませんが、菌によるものではないことが判りほっとしました。

猫エイズはストレスで発症すると言われています。ストレスをなるべく与えないようにして、まず猫風邪を治し、里親探しをしていこうと思います。

最後に

この保健所には、収容された猫たちの殆どが誰にも知られず処分されてしまう、とても悲しい現実があります。その中で偶然持ち込み現場に遭遇し、助けようという気持ちが湧きました。1分違えば遭遇していなかったでしょう。強運な子だったと思います。

収容される猫たちすべてを救うことは今の段階ではとても叶いませんが、この猫に関しては、私たちの目の前で収容されたことが、助けるきっかけとなりました。それは、本当にイブに起きた奇跡的な出来事でした。

クリスマスイブに遭遇した大切な命。いつかきっと幸せになれると信じています。

奇跡を起こし助かった、強運を持つ三毛猫の男の子です。あなたが里親になりませんか?

※本記事に掲載している写真の出典元は、ライター自身の投稿です。

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