マンチカンと椎間板ヘルニアについて 知っておきたい事や予防法

マンチカンと椎間板ヘルニアについて 知っておきたい事や予防法

厄介な病気の一つである「椎間板ヘルニア」。椎間板ヘルニアは猫では稀な中で、マンチカンは椎間板ヘルニアを患いやすいと言われていますが、はたして本当なのでしょうか?今回はマンチカンと椎間板ヘルニアの関係性について調べた事をご紹介いたします。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

マンチカンは椎間板ヘルニアにかかりやすい?

寝そべるマンチカン

マンチカンは椎間板ヘルニアにかかりやすいとよく言われています。そのように言われる理由の一つには、マンチカンには短足の遺伝子を持つ猫が多いいるということがあります。

犬では椎間板ヘルニアは多く見られるのですが、その中でも胴長短足のミニチュアダックスフンドは椎間板ヘルニアにかかりやすいと言われています。「猫界のダックスフンド」とも言われるマンチカンも、その体型から「椎間板ヘルニアにかかりやすいのでは?」と思う人が多いようです。

しかし、獣医学的には「科学的なデータは少ないながらも、マンチカンが特別椎間板ヘルニアにかかりやすいわけではないらしい」と言われています。とはいえ、椎間板ヘルニアにかかる可能性はもちろんあるため、椎間板ヘルニアについての予備知識はきちんと学んでおいたほうがいいと言えるでしょう。

猫の「椎間板ヘルニア」とは

寝るマンチカン

背骨と背骨との間に挟まっているクッションを椎間板といいますが、椎間板ヘルニアとはその椎間板が背中側へ突び出てしまう事により、脊髄神経を圧迫してしまう状態の事をいいます。

椎間板は繊維輪という外側のクッションと髄核というゼリー状の中身を持つに構造になっており、繊維輪がとび出てしまうタイプと髄核がとび出てしまうタイプがあり、それぞれ原因や発症年齢などが異なります。どちらにしてもとび出てしまった繊維輪や髄核が脊髄神経を圧迫してしまう事により椎間板ヘルニアの症状が引き起こされます。この椎間板ヘルニアは全ての背骨の間に挟まっているので、背骨どの部分であっても発生する可能性がある病気です。

マンチカンが椎間板ヘルニアになった際の主な症状としては「歩き方がおかしい」「運動を急に嫌がる」「体を触ると痛がる」など様々です。痛みから食欲がなくなることもあります。椎間板ヘルニアの原因となるものには「遺伝的な骨と軟骨の異常」や「肥満・老化といった体格や加齢によるもの」、「高い場所からの落下や交通事故といった、瞬発的な強い力」などがあると言われています。

猫がヘルニアにならないための予防法

高所にいるマンチカン

マンチカンが椎間板ヘルニアにならないための予防法は、足や背中へ余分な負担がかからないように肥満にさせないことです

私達が生活をしていく中で、自宅のフローリングを歩いている際に滑りやすいと感じた事があると思います。肉球のおかげで猫はフローリングはでもツルツルと滑りませんが、マ肉球の間に生えている毛が伸びていたり密集したりしている場合には猫でもフローリングで滑りやすくなります。

滑りやすいフローリング上で生活していると、足や背中に負担がかかりやすいです。そんな際はコルクマットといった滑りにくいものを床に敷く事をオススメいたします。また、肉球の間から毛がはみ出していたり長い毛が生えていたりする場合には、ハサミやバリカンでカットしてあげましょう。

他にも、マンチカンと一緒に遊ぶ際は腰に過度な負担がかかる動きを控える事や、高い所から落ちないように家具を配置するなどの工夫をすると良いでしょう。

ヘルニア含め、どのような病気もですが、飼い主様も猫ちゃんも辛い思いをする事がないように普段の体調管理や万全な対策をし、猫ちゃんとの幸せなキャットライフを過ごして下さいね。

マンチカンとヘルニアのまとめ

歩くマンチカン

猫では椎間板ヘルニアは珍しく、またマンチカンがヘルニアにかかりやすいということはないようです。しかし椎間板ヘルニアは起きてしまうと大変な病気の一つです。大切な家族の変化に気づけるのは飼い主です。ぜひ寝る前にスキンシップを取りながら健康チェックをしできるだけ早く異常に気付いたり、未然に病気を防げるように対策してみて下さいね。

【補足】

犬のダックスフンドやコーギー、ビーグルなどで多く見られる椎間板ヘルニアは、胴長短足の体型のせいではなく、その胴長短足の体型を作り出している軟骨の性質によるもの(軟骨異栄養症)なのですが、同じく胴長短足のマンチカンでは特に椎間板ヘルニアが起こりやすいことはないようです。

猫の椎間板ヘルニアはとても珍しいのですが、マンチカンでもそれ以外の猫でも起こる可能性はあります。猫の椎間板ヘルニアについてはいくつか研究報告がありますが、マンチカンで椎間板ヘルニアが多かったとしている報告はありません(ある1つの報告では、純血種でより多く、特にブリティッシュショートヘアとペルシャで多かったとしています)。

高齢(9歳以上)での発症と腰での発生が多いようです。症例数が少なく、犬と異なり発生パターンがつかめていないため、猫の椎間板ヘルニアの診断は難しいこともあります。診断がついた後の治療は犬と同様で、投薬による治療や手術を行います。

木下 明紀子
獣医師
獣医師
木下 明紀子

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

マンチカンについてもっと詳しく知りたい方はこちら▼

マンチカンってどんな猫?特徴や性格、お迎えする時の費用について

投稿者

40代 女性 mako

3歳のキジトラ猫を飼っています。キジトラ猫はマンチカンのように短足種ではないですが、肥満になると足腰に負担がかかるため、体重管理には気をつけています。そのため、猫を飼ってから一度もおやつはあげたことがありません。その甲斐あってか、今まで一度も適正体重をオーバーしたことはないので、今のところは安心しています。あと、おもちゃで積極的に遊んであげるようにして、運動不足にならないようにもしています。
また、猫がよく飛び降りるところには厚めのカーペットを敷いて、足腰にかかる衝撃をなるべく少なくするようにも心がけています。
これは、普段よく見ている猫ブログから参考にしたもので、そこの飼い主の方がやっていたので、私も取り入れた次第です。
投稿者

30代 女性 tonakai

足の短い犬と同様にマンチカンも椎間板ヘルニアになりやすいのですね。体の構造だけではなく遺伝や着地の衝撃などはどの猫にも当てはまるものだと感じました。
確かにフローリングは猫にとって滑りやすいですよね。遊びの最中に勢いよく走り出すときがありますが、滑ってしまうと心配になります。我が家は畳の上のい草の上敷きを敷いていますが、爪で傷ができています。それだけ力がかかるのですよね。
ペットが滑りにくいような特殊な床用ワックスが販売されています。カーペットやコルクマットなどできるところから椎間板ヘルニアを防いであげたいですよね。また、体重管理も大切だと思います。太りやすい品種ということを意識して体重チェックは欠かさないようにしたいですね。
投稿者

女性 みたらし

猫ちゃんて、ヘルニアになるんですね。
私のおばあちゃんが、ヘルニアで病院に通っていました。当時は通院も大変そうで、タクシーを呼んだり、母が車を出したりして、大変そうだったのを覚えています。

人間が苦労する病気なので、猫ちゃんにとっては生きていくことが大変な病気だろうなーと思います。

うちに、もうすぐスコティッシュの子猫がやってきます。
高いところが好きで、よくカーテンや網戸によじ登る姿をテレビで見るので、キャットタワーは買ったんですが、登る事ばかり考えていて、落ちた時の事が抜けてました!
転倒だったり、滑って転んで腰打って!
と想像しただけで大事故です…ガッツリ、フローリングなので、クッションマットの準備もしておこうと思います。
投稿者

30代 女性 もっちゃり

胴体が長いと、ヘルニアのリスクが高いのかな?と思いましたが、猫のヘルニアは椎間板だけではないそうです。
椎間板は脊髄(せきずい)が圧迫された状態のヘルニア。
他に、横隔膜ヘルニア・足の付け根にあたる、鼠経(そけい)ヘルニア・心臓や食道のヘルニアもあるそうです。
中でも、横隔膜ヘルニアは猫に比較的多い症例みたいですよ。

椎間板ヘルニアは、胴体が長いからではなく肥満で腰に負担が掛かってしまう事で起こるそうです。
ヘルニアになってしまうと、運動制限をしないといけなかったり、薬での治療やマッサージも欠かせなくなります。
長引く治療を選択するか、手術に踏み切るか飼い主さんの決断次第ですが、手術で治る確証があれば、してあげたいですね。

痛みを隠す猫ちゃんなので、様子がおかしい時は、やはり病院第一だと思います。

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