室内飼いの猫でも縄張りはあるの?
室内で暮らす猫にも、縄張り意識はあります
もともと猫には生活するための領域(テリトリー)が存在します。
群れずに生活してきた猫には、それぞれにテリトリーが存在し、このテリトリーに他の猫が侵入してくることを嫌がります。これが縄張り意識といいます。
外で暮らす猫に比べて生活する範囲が狭い室内飼いの猫は、部屋の中のほとんどがテリトリーになるといえます。そのため、お気に入りの場所に他の猫が侵入してくると威嚇したり攻撃的になったりすることがあります。
室内飼いの猫の縄張り意識が特に強い場所
- 普段寝ている場所
- ご飯を食べている場所
- お昼寝している場所
一緒に暮らしていくと、猫のお気に入りの場所が見つかると思います。できるだけお気に入りの場所に猫がいるときは、むやみに構ったりするのは控えましょう。
飼い主の膝の上や背中の上などをお気に入りの場所にしている猫も多くいるかと思います。気持ちよさそうに寝ているときは、そっと見守ってあげましょう。私たちのそばで眠ることができるのは、テリトリーとして猫にとって安心できる場所だということです。
猫の行動からわかる縄張り行動
体をこすりつける
猫が体をこすりつけてくるのは、自分のニオイをすりつけているからです。猫の頰や顎付近には臭線という分泌線があり、そこを壁や私たちの体などにすりつけることでニオイを残し、他の猫に自分のテリトリーだということを主張しているのです。
尿をかける(スプレーする)
通常よりもニオイの強い尿をテリトリーとしている場所にかける行為です。これもテリトリーとしている場所にニオイを残すために行います。
ただし、この縄張り行動は特に縄張り意識が強い猫が行うことが多いため、多頭飼育の猫がスプレーすることが多いようです。オスの場合は、メスを惹きつけるためにスプレーするとも言われているため、去勢手術を行うことで予防することができます。
ただし、不安行動のひとつとしても、スプレー行為は認められるため、去勢後も室内で度々スプレーする場合は一度環境を見直してあげることが必要です。
爪をとぐ
爪の周囲にもニオイをつけるための臭線が存在し、爪をとぐことで同時にといだ場所にニオイを残して縄張りを主張しています。
室内飼いの猫と一緒に暮らすときに気をつけたいこと
寝る、食べるための場所は1頭ずつにそれぞれ用意する
もし1頭で飼育している場合でも、寝る場所や食べる場所は、猫が安心できるような環境を用意しましょう。例えば、トイレの近くや、人の移動が多い玄関の近くなどは控えるようにしましょう。
多頭飼育の場合は、それぞれにそのような環境が求められるため、猫の飼育頭数は部屋の広さに見合った頭数を飼育するようにしましょう。
寝る、食べるための場所は猫にとって一番縄張り意識が強い場所になります。そのため、多頭飼育の場合、安心できる環境が確保できないとそれぞれの猫の縄張り意識は強くなり、縄張り行動や喧嘩が増える原因となってしまいます。
縄張り行動は叱っても治りません
爪をとぐ、スプレーをするといった縄張り行為はしつけをして治せるものではありません。爪をとぐ場所がある程度分かっていれば、その付近に爪とぎを設置する、爪をとぎそうなものは置かないなどの対策が必要です。
どうしても部屋の中で爪をとぐ行為をやめさせたいのであれば、爪キャップの着用や手術で爪を抜いてしまうという方法もあります。
スプレー行為は、避妊去勢手術である程度は予防できますが、それでもスプレーしてしまう場合は、飼育環境に原因があるかもしれません。すぐに原因がわからない場合は、獣医さんに相談してみるのもひとつだと思います。
多頭飼いの場合は、マーキング後のニオイ消しをしっかり行う
多頭飼育の場合、それぞれの猫のニオイは縄張り意識を高める原因となります。
猫同士の相性がよければ特に問題はないですが、もし同居猫同士の相性がよくない場合、自分のテリトリーに他の猫のニオイが残っていることは強いストレスになる可能性があります。
そのため、スプレー行為後は特にですが、ペット用の消臭スプレーなどを用いて普段猫がニオイをつけている場所は毎日しっかり消臭してあげることが大切です。ニオイが残りやすい爪とぎや寝床などは頭数に合わせて用意してあげましょう。
まとめ
室内飼いの猫にも縄張り意識はきちんとあります。
室内という狭い環境は猫にとってほとんどが縄張りになるといえます。多頭飼いの場合は、特にこれらのことを踏まえて、それぞれの猫が安心して生活できるような環境づくりを心がけてあげましょう。