歌舞伎町の街で懸命に生きていた猫
今回の主役は、白猫のたにゃちゃん。推定10歳以上になる男の子です。
響きが可愛らしいお名前は、飼い主さんの苗字に因んでいるのだそう。「苗字の頭文字に“にゃ”を足して“たにゃ”にしました」と教えてくれました。
たにゃちゃんとの出会いについて、「今まで生きてきた中で、一番落ち込んでいた時に歌舞伎町で出会いました」と語ってくれた飼い主さん。
当時の飼い主さんはコロナの影響で仕事がまわらず、心身共に疲弊しきっていたといいます。
「ボロボロだけど、一生懸命生きている姿に、なんだかグッときました」
歌舞伎町の街でひとり、必死に生きるたにゃちゃんの姿に心を打たれたという飼い主さん。それから、毎日顔を合わせるようになったのだそう。
時は流れ、最初の出会いから1年半が経とうとする頃、「劣悪な環境から抜け出させてあげたい」という思いが強くなった飼い主さん。保護することを決意したものの……?
「うまくいかないの日々が続きました。そうこうしているうちに、僕たちが毎日会っていた場所に新しくビルが建設されることが決まりました」
「工事が始まる前になんとしても助けたい!」と思った飼い主さんは、保護猫ボランティアの方に協力を依頼したのだそう。無事保護されたたにゃちゃんは、晴れてお家の子になることができました。
こうして、飼い主さんとのふたり暮らしが始まったたにゃちゃん。しばらくはケージの中で過ごしていたそうですよ。
事前に「夜鳴きもあるよ」と聞いていた飼い主さんが、たにゃちゃんは一切夜鳴きをすることがなかったのだそう。
「息を殺すかのようにジッと静かにしていました。グッと耐えているようでした」と振り返る飼い主さん。当時の心配事は、数日ご飯を食べてくれなかったことだったそうで……?
「ボランティアさん、フォロワーさんに色々教えていただきながら乗り越えました。とても心強かったです」
さらに、脱走だけは気をつけなければと考えていた飼い主さん。「脱走防止柵を作ったり、窓という窓はロックを完璧にしたりしました」と教えてくれました。
絶望の中、偶然出会ったたにゃちゃんに心を突き動かされた飼い主さん。たにゃちゃんもまた、優しい飼い主さんに救われ、安心できる環境を手に入れることができたのでしょう。
家猫として馴染みはじめたたにゃちゃんは、理解力抜群な賢い面を見せてくれるのでした。
気遣いができる賢くて優しい家猫へ
お家にやって来た当初、夜鳴きをグッと堪えていたたにゃちゃん。その辛抱強さは現在進行形なのだそう。
「あまり手がかからないんです。たにゃなりに気を使ってくれているんだと思います」
そんなたにゃちゃんの気遣いは、普段の行動にもよく表れてるそうで……?
「めちゃくちゃ頭が良いです。色々なことを一瞬で理解します。状況の飲み込みがめちゃくちゃ早いです」
とても賢いたにゃちゃんと暮らす飼い主さんですが、保護猫との生活は"理想とのギャップ"があるかもしれないといいます。
「撫でれなかったり、一緒に寝れなかったりと、理想としている生活とは少し違うかもしれません」
それでも、理想との違いを埋めてくれるものがあると教えてくれました。
「そんなことはどうでも良くなるほど、めちゃくちゃ幸せになります。『今まで大変だったぶん幸せにするぞ!』って向き合ってると、気づいたら自分が幸せになってました」
最後に、「野良猫時代の頃から一緒だった僕以外の人は家に出入りすることがないので、少しは安心じゃないかな」と家猫になったたにゃちゃんへの思いを語ってくれました。
心穏やかに過ごせるお家に出会えたたにゃちゃんは、これからも飼い主さんと共に楽しく暮らしていくことでしょう。
たにゃちゃん、飼い主さん、素敵なエピソードをシェアしてくださり、本当にありがとうございました!
※この記事は、取材協力者さまのご了承をいただいたうえで制作しています
取材/ねこちゃんホンポ編集部
文/めろんぱん
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