2匹の子猫と運命の出会い
今回の主役は、キジ白猫の男の子で10歳の小虎ちゃんと、麦わら猫の女の子で生後11ヶ月の小鹿ちゃんです。小虎ちゃんのお名前は、当時、飼い主さんの息子さんがTBS系のドラマ「タイガー&ドラゴン」を見ていたことと、のしのしと歩く姿が“小さい虎”のようだと思ったことから授けられました。
一方、小鹿ちゃんは、保護団体さんに育てられてた期間は、「ルナ」ちゃんと呼ばれていたそう。飼い主さんのおうちでトライアルを始めてから団体の方に「名前を変更するなら早めに変えた方が良いですよ」とアドバイスを受けて、小虎ちゃんと同じ“小”という漢字を使った名前を選んだそうです。
小虎ちゃんとの出会い
小虎ちゃんとの出会いは10年前の初夏のこと。飼い主さんは、母猫と一緒に行動する姿を見かけるようになりました。
「とても美人な母猫とお母さんに甘えてくっついて歩いている小虎が可愛くて仕方なかったです」
飼い主さんは、実家で猫と暮らしていたため、猫が大好き! 母猫と子猫は、近寄ると逃げてしまうため、窓からそっと様子を見守るようにしたそう。
しばらくすると、親子猫に変化が見られるようになりました。
「小虎だけがひとりでうろつくようになり、庭で虫を採って食べたりしていました。私の顔を見るとものすごい大きな声で『ニャーッッ』と鳴きながら近づいてきたので、とてもお腹がすいているんだなと思い、ご飯をあげました。私がそばにいても逃げずに、撫でることもできました。そのうち抱っこもできるようになり、数回玄関の中に入って過ごすようにもなりました」
こうして飼い主さんと小虎ちゃんとの距離が縮まって来た頃、大型の台風が上陸するというニュースが舞い込んだのです。
「台風が来る前に保護しなければと思い、すぐにホームセンターへ向かいました。猫のトイレを買い、先住犬が使っていたケージをセット。台風上陸前日、ご飯を食べに来てくれますようにと祈る気持ちで外の様子をうかがいました」
そんな飼い主さんの思いに応えるように、夕方になると、小虎ちゃんが姿を表しました。
「思わず『おうちに来る?』と話しかけると、『ニャー』と返事をしてくれました。用意してあったケージに入れ、台風が上陸する前にお家の中に入ってもらうことができました」
突然の出来事に、小虎ちゃんは「何が起きたの???」というように、きょとんとしていたそう。それからは、スムーズにおうちに慣れてくれたようですよ。
「私が寝る部屋を隔離部屋して、病院でひと通りの診察を終えてから先住犬のストンテリアしゅかとご対面させました。全く喧嘩もぜず、すぐに仲良くなったのにはすごく驚きました。しゅかが小虎の残したご飯を食べてしまうので、小虎には高い場所でご飯を食べてもらうことにしました。威嚇もせずおトイレもすぐに覚えてとても良い子でした」
小鹿ちゃんとの出会い
小鹿ちゃんとの出会いは、飼い主さんがよく通る道沿いにある保護猫団体さんが開催する譲渡会のポスターを見たことがきっかけ。先住犬のしゅかちゃんが虹の橋を渡ってから、もうすぐ1年が過ぎようとしている頃でした。
「小虎は、生後約5ヶ月のときから、しゅかと8年ほど一緒に過ごしてきました。年齢を重ねたこともあってか、小虎は寝て過ごすことも多くなり、もしかすると寂しい気持ちもあるのかなと思い『もう1匹迎えようか』と思っていた矢先にそのポスターを見かけました」
飼い主さんは、小虎ちゃんを保護した経験から保護猫ちゃんについて調べ、学んできました。そのため、もし次にお迎えするなら保護猫ちゃんにしようと決めていたそうです。早速、譲渡会に足を運んで、相談をしてみることにしました。
「小虎の性格がわりとおっとりしていることをお伝えすると『ちょっとハイパーガールなこの子が良いかも』と言っていただき小鹿を紹介してもらいました」
保護猫団体さんのお話によると、小鹿ちゃんは駐車場で親猫ときょうだい猫と一緒にいたそうです。生後1ヶ月半くらいの頃、親きょうだいとはぐれたのか、捨てられてしまったのか、ひとりぼっちでうずくまって動けなくなっているところを保護されました。
「猫が親離れするのは生後5、6ヶ月と聞いていたので、とても切なく悲しい気持ちになりました」
その後、約1か月のトライアル期間を経て、ちょうどクリスマスの日に小鹿ちゃんは正式に飼い主さん家族の一員になりました。飼い主さんは「2度とこの子に悲しい思いをさせたくない、我が家で生涯幸せに過ごしてもらいたい」と強く思ったそうです。
「小鹿は初日から人にも場所にもすぐに慣れて、全く物怖じせず、我が家で過ごしてくれました。小虎は、やはり最初は受け入れ難かったようで“猫パンチ”を炸裂させていましたが、甘え上手な小鹿を少しずつ受け入れて、しばらくするとお互いの体をなめるまでになりました。ときどき、プロレスもしています」
小鹿ちゃんは、しばらく猫用のケージとトイレを用意した隔離部屋で過ごすことに。とても甘えん坊で、「ケージから出して」とずっと鳴いていたそうです。まるで、前から飼い主さんのおうちの子だったかのように、すぐに新しい環境にも適応してくれて、まったく困ることはありませんでした。
「最初は、小虎と猫パンチ合戦で、トライアルは上手くいかないのではないかという心配もありましたが、小虎優先を心がけて、あまり神経質にならずに様子を見守るようにしたところ、しばらくして一緒にくっ付いて寝るようになりました。その姿を見た時は、とても感動しました」
こうして、小虎ちゃんと小鹿ちゃんは、優しい飼い主さんのもとできょうだいになりました!
家族になった小虎ちゃんと小鹿ちゃん
2匹は家族のムードメーカーに
小虎ちゃんは、おっとりとした性格ですが、小鹿ちゃんとプロレスをしている時は「やるのか?」と本気モードのスイッチが入ることもあるそうですよ。
「食いしん坊で、ヨーグルトやお刺身を食べていると、食卓の下でものすごく可愛い顔をして見てきます。ちょっとぽっちゃりさんになってきたので、動物病院の先生にダイエットをするよう言われています」
一方、小鹿ちゃんは遊ぶことが大好き! わんちゃんのように飼い主さんの足元におもちゃをぽとっと落として持って来るそう。猫ちゃんが得意ではなかった飼い主さんのご主人も、小鹿ちゃんにはメロメロに。それに応えるように、小鹿ちゃんもパパのことが大好きなのだそう。
「ゴルフのグリーンマーカーをコマのように回してあげると、何度も持ってきてポトリと落として『遊んで!』と催促してきます。マーカーをくわえると、まるで赤ちゃんがおしゃぶりをくわえているように見えてとても可愛いです。とにかく甘えん坊なので『赤ちゃんの時にひとりぼっちになってしまったことも関係しているのかな』と思っています。よく膝に乗ってきて甘えた声で鳴いてます」
小虎ちゃんと小鹿ちゃんとの暮らしをはじめてから、飼い主さん家族は会話が増えたそうです。小虎ちゃんと小鹿ちゃんはリビングにいることが多いことから、家族もリビングに集まって過ごすことも多くなったようですよ。
「今年結婚した娘も、小虎と小鹿に会いたくてよく帰ってきます。慣れない生活で心身が疲れてしまっても、小虎と小鹿に会うと元気になって帰っていきます。動物の癒す力って本当にすごいですね。小虎は、今は社会人になった息子が、学生時代に不登校になったときに我が家に来ました。その時も、大きな心の支えになっていたと思います」
家族の中心になった愛猫たち 「保護猫」ちゃんへの思いとは?
小虎ちゃんと小鹿ちゃん、2匹の保護猫ちゃんをお迎えした飼い主さん。ご自身の保護体験から、保護猫活動について知るようになりました。もしこの先、新たに猫ちゃんをお迎えするきっかけができた時には、再び、保護猫ちゃんとのご縁を探すだろうと考えているそうですよ。
「保護猫ちゃんたちみんなが生涯の家族を見つけて幸せになってほしいと思っています。保護猫のことをあまり知る機会が無いという方も多いと思いますが、純血種の猫ちゃんたちと何ら変わりはありません。ご縁があった命を生涯大切にして欲しいと思います」
小虎ちゃん、小鹿ちゃん、飼い主さん、素敵なエピソードをシェアしてくださり、本当にありがとうございました!
※この記事は、取材協力者さまのご了承をいただいたうえで制作しています
取材/ねこちゃんホンポ編集部
文/めろんぱん
小虎ちゃんと小鹿ちゃんをチェック♪
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