生まれたての子猫の育て方!必要な環境作りや週齢の見分け方まで

生まれたての子猫の育て方!必要な環境作りや週齢の見分け方まで

目も開いていない小さな子猫を保護してしたとき、どうしたら良いでしょうか。ここでは、生まれたての子猫の面倒をみることになったときでも困らないよう、育て方のノウハウを分かりやすくご紹介していきます。

生まれたての子猫を見つけたらどうする?

目が開いていない子猫

屋外で生まれたての子猫を拾ったら、順を追って保護する必要があります。

生後間もない子猫は、初期対応次第でのちの生存率が大きく変わるので、下記に記載する内容に従い、実行するようにしてください。

親猫が戻ってくるのを待つ

親がいない猫が単独、あるいは複数でいたとしても、すぐに触ることは避けましょう。

猫は出産後、親猫が安心できる場所に子猫を運んで引っ越しをすることが良くある生き物です。もしくは、何らかの理由で母猫が一時的にその場を離れているだけの可能性もあります。

この場合、親猫は長時間子猫を放置せずに戻ってきます。母猫は子猫の鳴き声に反応する本能があるので、しばらくの間静かに見守るようにしてみてくださいね。

はやる気持ちは理解できますが、屋外で出産する猫の場合、人が子猫を触ることで育児放棄が起きないためにも重要なことです。

見守りのおよその時間は季節にもよりますが、長くとも1時間以内が目安だと考えてください。あまり長時間放置したままにしておくと子猫の体力が奪われ、保護後、命をつなぐことが難しいこともあるので、時間を計って確認しましょう。

これを読む前に子猫を保護してしまい、しばらく時間が経過している場合でも元の場所に戻すことで母猫が迎えにくる可能性もあります。天候が悪くなく、外気もあまり冷え込んでいなければ、少しの間元の場所に戻して確認してみるのも方法のひとつです。

ただし、次の様な場合にはすぐに保護しても問題ありません。

  • 段ボール箱の中など明らかに人為的に放置されているとき
  • ほとんど動かない・鳴かないなど弱っていると判断できるとき
  • 放置されている所が非常に冷たいとき
    (雨や雪などが降っていて冷え込むときは見守りの時間はごく短時間にする)

子猫の体を乾かして保温する

生まれたばかりの子猫は、自力で体温を維持することができません。そこで、拾ったら真っ先にすべきことは「保温」です。ご家庭にペット用のヒーターがある場合にはヒーターを使用しましょう。

ヒーターの温度は季節によって異なります。外気が高いときには「35℃程度」低いときには「40℃程度」が基準です。ヒーターがないときには湯たんぽを使用したり、50℃程度のお湯を入れたペットボトルを用意する、カイロを使うなどで保温するようにします。

この時、子猫が直に保温物へ当たらないよう、タオルで保温物を巻くなどの工夫をし、低音やけどを起こすことがないように気を付けてあげてくださいね。

もしも体毛が濡れている場合には、子猫から50センチ以上はなれたところからドライヤーの温風を「弱」で当てて乾かしても構いません。ただし、近距離で強い風を当てると子猫にとって大きな負担となるので、避けてください。

その他、子猫の体温が著しく下がり、衰弱してしまっているときには、42℃程度の熱めのお湯を張ってそっと付けてあげるのも良いと思います。
 
体温が上がってきて、子猫が鳴く、あるいは動き出したらお湯から出し、先述したようにドライヤーを遠方から当てて乾かします。 子猫をお湯に付ける時にはあまり長時間にならない様にすることと、温度が下がらない様に気を付けましょう。

体温が一定に保たれると、子猫の消化器が活動をはじめ、ミルクや糖液を飲む準備ができてきます。

子猫を動物病院に連れて行く

子猫の保温までが無事に終了したら、できるだけ早く動物病院へ連れていきましょう。子猫が生まれてどれくらいなのか、現時点で必要な処置は何かなど、獣医が的確に診察をしてくれます。

夜間などですぐに子猫を病院に連れて行けないときには、遅くとも翌日には連れていくようにしてくださいね。

ミルクを飲ませる

子猫にミルクを飲ませる

保温の後、少し落ち着いてから人工授乳をしてみてください。とは言え、すぐに子猫用のミルクが入手できる環境でないことも多いかと思います。

このとき、牛乳をそのまま与えることは絶対に避けてください。猫は牛乳に含まれている「ラクターゼ」という成分を分解できません。生まれたての子猫は下痢をするだけでなく、衰弱してしまい命に関ります。

保護した直後にミルクの代用としてあげられるものは、次の5つです。

  • 人間用の乳幼児のミルクを3倍ほどに薄めたもの
  • 牛乳を2倍に薄めてから砂糖と卵黄を加えたもの
    (牛乳30㎖、水30㎖、砂糖ひとつまみ、卵黄半分の割合)
  • スキムミルクを表記の1.5倍ほど薄めたもの
  • 砂糖水
    (舐めてみて甘みを感じる程度。あまり甘くしすぎないこと)
  • ポカリスエットを1.5倍に薄めたもの

上記のうち、砂糖水やポカリスエットは子猫がミルクを飲むことができないほど衰弱しているときや、代用ミルクを全く受け付けないときにあげるようにします。

保護直後は子猫用の哺乳瓶での授乳は不可能なことが多いので、100均などで販売されているスポイトを購入し、1滴ずつ口に含ませるように与えると楽にできます。

ただし、代用品はあくまでも代用品です。動物病院へ連れていくまでのつなぎとして使用してください。なお、ミルクの詳しい与え方は後述していくので、そちらを参考になさってくださいね。

排せつをさせる

子猫はまだ自力で排せつができないため、排せつの手伝いをしてあげてください。

保護をした直後であれば、おそらくしばらくの間哺乳されていない状況だったはずなので、1度目の排せつは軽く授乳を済ませてからのほうが出やすいでしょう。

なお、里親になる場合、排せつ補助は生後1カ月までは続きます。(排せつ補助の仕方も後述するので、詳細はそちらをご確認ください。)

子猫は洗わないこと

保護直後にノミやダニが付いていたら…という心配をされる方もおられますが、体温を上げたり排せつでやむを得ない場合を除き、子猫を洗う・お湯に入れることはやめましょう。

生まれたばかりの子猫を洗うことは子猫にとってとても大きな負担になります。洗うことで体力を消費させ、死ぬこともあります。

生まれたての子猫の週齢を見分けるポイント

次に保護をした子猫の週齢や性別の見分け方についてお話します。ここでは、生後1か月未満の子猫について記述していきます。週齢ごとの子猫の写真も添付するので、参考にされてくださいね。

生後0日~6日

生後5日の子猫画像

体重:70g~200g程度
出生直後の体重は子猫の胎数や体内での成長具合によってかなり大きさに差があります。極小さく生まれてしまう子猫の場合、体重が60g台であることも…。

一方、大きく生まれた子猫だと140gほどの場合もあります。ですので、体重のみで週齢を判断するのは少しむずかしいかもしれません。

目は固く閉じていて耳は聞こえない
目は固く閉じていて耳の穴もふさがっています。耳が少し前に倒れているのもこの頃の子猫の特徴です。

うまく首を持ち上げられない
人間は首が座っていない状態で生まれてきますね。猫も人と同様、生まれたばかりのときは首を持ち上げる筋力が発達していません。どうにか頭を持ち上げようとしながら首がカクカクと小刻みに揺れている場合、まだ週齢はさほど経っていないと判断できます。

へその緒が付いている
出生間もない子猫にはへその緒が付いています。へその緒は生後3~4日辺りから遅くとも生後7日以内には取れていきます。まだへその緒が付いている子猫であれば生後7日以内の子猫であると言えるでしょう。

生後1週間~2週間

生後14日の子猫画像

体重:120g~250g程度
子猫の体重は順調にいけば1日に約10%増えていきます。とは言え、取れる栄養分や子猫の状態によっては10%以下になってしまうこともあります。

目は少しずつ開き耳も聞こえるようになる
猫は目が開くよりすこし前、生後5日ほどから外耳道が開き出します。それから数日し、目も少しずつ開いてきます。(目が開くのも個体差が大きく、早いと生後7日くらいから、遅い子で12日~14日程度です。)

身体を支えられるようになる
目が開くようになってくると、少しずつ筋力も付いてきます。頭を持ち上げるのもスムーズになり、上半身を使ってハイハイができるようになります。この頃は後肢の筋力は弱いため、下半身は引きずるような動きをします。

生後2週間~3週間

生後20日の子猫画像

体重:200~400g程度
生後2週間を過ぎてくると、未熟児で生まれた子猫でも体重は200gになってきます。大きめの個体だと400g前後になるので、かなりしっかりしてきますね。

耳がはっきりと聞こえるようになり視力もついてくる
音がする方向に顔を向けるようになります。視力も付いてきて、ぼんやりと周りの物を認識できるようになります。そのため、人を認識しだし、知らない人や物、初めて聞く音に警戒をするようになってきます。寝ているときにいきなり触ったりすると、驚いて威嚇(シャーという音)をすることも。

全身を支えられるようになる
前足と後ろ足だけで身体を支えることができるようになります。しかし、まだ動きはとてもぎこちなく、よちよち歩きです。

生後3週間~4週間

体重:300~600g程度
子猫は生後4週間までは大きく体重に差があっても珍しいことではありません。小さい個体でも猫らしい体型になってきます。

歯が生えてくる
生後23日あたりから乳歯が生えだします。

視力が成猫と同じくらいになってくる
視力が発達し、周りをはっきりと認識できるようになります。猫は元々あまり視力の良い生き物ではありませんが、生後4週間にもなるとほぼ成猫と同じ視力になっています。

少しずつ走れるようになる
歩行はより安定してきて、瞬間的に走るようなしぐさも見られるように…。ただ、まだ跳躍力はありません。動きたい気持ちに身体が付いてこないため、すぐに転んでしまうことも多い時期です。

自力で排せつをするようになってくる
早い個体だと生後20日を過ぎた頃から少しずつ自力で排せつをするようになります。巣箱の中で子猫が動き、敷材で股が擦れて補助をしなくても勝手に排せつをするようになってくれば、間もなく自力で排せつができるようになりますよ。

子猫の性別の判断方法

生後間もない子猫の性別を判断するのは、ブリーディングなどで多くの子猫を見てきた人でない限り難しいかもしれません。
私はこれまでに相当数の子猫を取り上げてきましたが、新生猫では未だに判断に迷う子猫もいます。

雌雄が分かりやすくなってくるのは生後2週間くらいから。初めて生まれて間もない子猫に触れる方の場合、生後4週間を過ぎてこなければ判断に迷うことも多いのではないでしょうか。

参考までに我が家の生後3週間の子猫の雌雄写真をご紹介します。

雄子猫と雌子猫の陰部画像

雌雄の判断方法ですが、雌猫は肛門と性器の間が短く、雄猫は肛門から性器が離れています。また、生後3週間ほどになると、雄猫では性器がハート形もしくは逆三角形に盛り上がってきます。

この盛り上がりは週齢が進めばよりはっきりとしてくるので、大きな判断基準となるでしょう。

生まれたての子猫の育て方

毛布に包まれた2匹の子猫

それでは、新生猫の育て方についてご紹介していきます。世話の仕方は、家で親猫がいて途中で育児放棄をしてしまった子猫でもほぼ同じなので、新生子猫の飼い方のノウハウとして役立ててくださいね。

ミルクの与え方(人工哺乳)

ミルクは、必ず生まれたばかりの子猫でも使えるタイプのものを購入しましょう。販売されているミルクは主に粉タイプのものが多いかと思います。

ミルクにはリキッドタイプのものもあり、そちらは濃度の調整がないので使いやすいのですが、日持ちの問題などがあり、最近ではほとんど見なくなりました。(通常販売されているリキッドミルクは、ほとんどが授乳の必要なくなったあとの猫用であるので、購入時には注意が必要です。)

ミルクを与える際に重要なのは「温度」になります。温度が高すぎても低すぎても良くありません。
子猫に与える時「38℃~40℃程度」(人肌程度)
になるように意識してください。

とは言え、授乳の度に温度計を使うのも大変ですよね。「ミルクを手の甲に数滴垂らしてみて、温かさを感じるくらいが適温」です。与える前に都度手の甲に垂らして温度をチェックすると良いと思います。

ミルクは熱めに作り、容器に入れた後に冷まして温度調整をすると与えやすいです。また、与えている途中で温度が下がってしまった時には、湯せんにかけて一定の温度を保ちながら与えてください。

※湯せんのお湯は熱湯に近い温度の方がすぐに温まります。やけどには十分注意してくださいね。

私はこれまでの経験から、新生子猫(生後2週間以内)についてはミルクの作り方は缶に記載されているよりも薄く作ることをオススメしています。

新生子猫の消化器官は非常にデリケートです。濃度の濃いミルクは消化するときに胃腸に負担がかかります。特に未熟児気味で生まれた子猫は消化器官も未発達な場合が多く、授乳が負担になり命を落としてしまう事も少なくありません。

ですので、生後10日以内の子猫の場合、記載されているよりもお湯の量を1.2倍~1.5倍程度増やすことで消化器官への負担を減らすことができます。

また、投与量もミルク缶に書いている通りにする必要はありません。授乳量はあくまで目安であり、体重に応じて調整するべきです。

多くのミルク缶には体重100gから、または生後日数のみでしか記載がないことが多いですよね。そこで、体重別の1回ごとのおよその投与量を記載しておきます。

下記量を飲めない場合は、体重の日ごとの増加を計りながら投与する時間を1時間ほど短くし、回数を増やすと良いでしょう。

  • 体重70g…2~3㏄
  • 体重80g…2~4㏄
  • 体重90g…3~5㏄
  • 体重100g…3~5㏄
  • 体重110g…3~5㏄
  • 体重120g…5~7㏄
  • 体重130g~140g…5~8㏄
  • 体重150g~170g…5~10㏄
  • 体重180g~220g…5~15㏄
  • 体重230g以降…5cc~欲しがるだけ

ミルクを与える回数ですが、

  • 生後6日ほどまでは8~9回
  • 生後7日~14日までは6~8回
  • 生後14日以降21日までは4~6回
  • 生後22日以降は少しずつ減らし離乳食と併用

となります。

ミルクの飲ませ方で大切なのは「絶対に子猫を仰向けにしないこと」です。仰向けでミルクを飲むと気管に入りやすくなり、誤嚥性肺炎のリスクにつながります。

飲んでいるうちに立ち上がっていって仰向けに近い姿勢になることもありますが、うつむせになるようにタオルでそっと包んでおくと良いですね。

子猫は哺乳瓶の乳首に慣れなければ嫌がって吸い付かないことも多い上、新生子猫の場合、哺乳瓶では出てくる量が多すぎてむせてしまうことがあります。

人工保育をスタートするときは、シリンジやスポイトで1滴ずつ授乳させる方が与えやすいのでオススメです。

最近ではシリンジの先に乳首が付いているものも販売されています。ブリーダーやミルクボランティアはこのタイプの商品を好んで使う方も多いです。

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なお、子猫はお腹がいっぱいになっていると1日のほとんどを寝て過ごします。ぐっすり眠っているときに無理に起こして授乳する必要はありません。(ただし、体重の増加が少ない場合は起こす必要があることもあります。)

子猫の体重によっても差はありますが、1日3g~10グラムほど成長していれば、順調に育っていると考えましょう。

一方、先日から全く体重が増えていない、あるいは減りだす様だと体調を崩しだしている可能性が高いです。完全哺乳の子猫は、1度体調を崩してしまうとあっという間に弱ってしまうことも少なくありません。2・3日様子を見ても体重が増えないときには獣医に相談してください。

最後に授乳の際に必要なグッズを記載しておきます。セットにして飼育箱の近くに置いておくと作業しやすいと思います。

  • タオル
  • ティッシュ
  • 子猫用ミルク
  • シリンジやスポイト
  • 子猫用哺乳瓶
  • 計量カップ
  • 湯せん用の器
  • 体重計(2キロまで図れる調理用のスケールが便利)
  • 体重計に子猫を入れる箱

母猫が子育てをしている場合の育児サポートの仕方

母猫とたくさんの子猫

母猫がきちんと子育てをしていても、子猫が頻繁に鳴いているようなら栄養が足りていない可能性があります。

猫の乳首は平均8個ほどですが、1匹の母猫で十分に栄養が行き届くのは子猫が4匹程度の場合です。子猫の数が5,6匹になると取れる栄養は必要量の約8割しかなく、発育不良になりがちに…。

子猫の数が多いときには、母猫がいても授乳のサポートが必要なことも少なくないので、留意しましょう。

とは言え、子猫に与えるミルクの量は1日に必要な分の2割程度で大丈夫です。具体的なミルクの量は、使用する子猫用ミルクに書かれている量を参考にしてみてくださいね。

この他、子猫の数が多いときには早めに離乳食に移行するよう心掛けると良いと思います。

離乳食への移行方法

子猫に小さな歯が生えてきたら、徐々に離乳食へ移行していきます。離乳食開始時の子猫の食べ物は、粉ミルクやふやかしたドライフードをペースト状にしたものや専用の離乳食になります。

指先もしくは、プラスチックのマドラーなどにペーストをごく少量乗せ、子猫の口を開けて上あごにそっと付けてみましょう。ドライフードの味を嫌がるようならミルクの中にごくわずかにふやかしたフードを入れて味を覚えさせると効果的です。

離乳食の味を覚えたら深さのない器にペーストを入れ、自分でなめられるように誘導していきます。離乳食はあまり無理に進めず、子猫の様子を見ながらミルクと併用しつつ行ってくださいね。

トイレのさせ方

ぬるま湯で少し湿らせたティッシュやカット綿を、リズミカルに優しくトントンと陰部に当ててマッサージすることで排せつを促すことができます。

ポイントは、陰部をこすらないこと。子猫の陰部はとてもデリケートですので、こすることで炎症を起こしてしまうことがあります。

排せつのタイミングは、「ミルクを与える前」がオススメです。なぜなら、お腹に排泄物があるとお腹が張ってミルクを飲みにくいこともあり、哺乳がスムーズにいかないことがあるからです。

離乳食をスタートしていても同じことがいえるので、毎回食事の前に排せつをさせてあげてからが良いですね。

なお、子猫は人工哺乳していると便秘になりやすいものです。2~3日便が出ないことも少なくありません。また、粉ミルクで育てている場合にはお腹が張りやすい傾向にあります。子猫が元気にしていて、ミルクを飲むようなら、数日の便秘についてはさほど心配いりません。

5日以上便が出ない、大きくお腹が張って来たなど、排便の必要がある場合は

  • ミルクの濃度を薄めにしてみる(通常の1.5倍ほどの濃度で与える)
  • 仰向けに抱き、優しくお腹をマッサージする
  • 40℃程度のお湯に下半身だけ入れてお尻をマッサージする
  • 人の乳児用綿棒にワセリンやベビーオイルを付け、綿棒の5㎜程度を肛門に入れて刺激する

という方法を試してみましょう。

最後にご紹介した方法にはコツが必要なので、難しいと感じたときには無理にやらず、獣医の指示を仰いでください。

体重の推移を観察

毎日の世話で重要なことに1日の体重を記録することが挙げられます。

子猫の体重推移はとてもシビアで、未熟児の猫であれば数グラムの変化でも命に関ります。一覧表を作成し、1日の決まった時間に1度体重を計り、メモを取るようにします。

子猫の体重の増加は1日辺り5~10グラム程度。生後日数や子猫の大きさ、日によって差はありますが、順調に育っていれば必ず体重が増加しています。

未熟児気味の子猫の場合は、1日の体重増加は2~5グラム程度とわずかであることも多いので毎日きちんと増加しているかを見てください。子猫の体重が150グラムを超えてくれば、1日の増加率も大きくなってきます。

元気もありミルクを飲んでいても体重が増えない場合は、ミルク量が足りていないことが考えられるので、投与量を増やしてみましょう。

それでも体重が増えない場合には、体調に問題を抱えている可能性もあります。体重の推移表を持参し、獣医に相談してください。

爪切りをする

猫は生まれたばかりでも、尖った爪が生えています。

子猫がまだ動けないときにはあまり問題になりませんが、徐々にハイハイするようになると、巣箱の敷材に爪が引っかかってしまうことも増えてきます。子猫が動くようになる生後20日程度から爪の先をカットしてあげましょう。

この頃の猫の爪はまだとても柔らかく、切る部分もほんの少し。カットする目安は、1mm以内です。あくまで爪が敷材に引っかからないようにする程度で大丈夫です。

生まれたての子猫に必要な環境作りのコツ

毛布の上の子猫

子猫が体調を崩さずに健やかに成長するためには飼育環境を整えることも大切なポイントになります。ここでは、子猫が快適に過ごせるための環境作りのコツを記載します。

子猫の週齢によって外部の温度を調整する

子猫は成長によって徐々に体温調節がうまくできるようになっていきます。ですので、子猫の週齢によって異なる温度管理が必要になります。

生まれたての頃は、さほど外部が冷たくない場合でも体温を奪われてしまい、すぐに低体温を起こしてしまいます。真夏でない限りは外気が低くなくてもペットヒーターなどを使用して巣箱を保温してください。

巣箱の中の温度は26℃くらいが目安です。ペットヒーターを使用する際には少し高めの40℃程度にし、毛布などを上に敷くと良いでしょう。

子猫の週齢が増え、生後20日を過ぎてくると体温調節もできるようになってくるので、保温温度を下げていきます。外気温が23℃程度であれば巣箱を保温しなくても過ごせるようになっています。ただし、日中の温度差が起きない様、エアコンで室内の温度管理は行ってくださいね。

子猫が過ごす場所はできるだけ薄暗くしておく

野生の猫は、静かで薄暗いところで子育てを行います。保護した子猫も、本能的に薄暗い環境の方が落ち着いて過せるので、子猫の目が開いて歩きだすようになるまでは、巣箱は薄暗い場所になるよう設置してあげてください。

巣箱に使うものは、ケージやバスケット、ペットキャリー、ダンボールなどありますが、いずれもシーツなどで覆うと子猫が安心して過ごすことができます。

巣箱になる床材は柔らかくする

巣箱の床材はできるだけ肌触りの柔らかいものがオススメです。床に敷く物の素材は、フリースやフランネルなどのふわふわとしたものが適しています。

タオル生地だと子猫の爪に引っかかってしまい、糸が飛び出して事故につながることがあるので注意しましょう。

子猫が歩きだすようになると、動いているうちに排せつをしてしまうことも増えてきます。知らない間にオシッコで敷物が濡れてしまい、そこで子猫が寝ると身体を冷やしたり、不衛生になるので、この頃の敷材はペットシーツに切り替えても良いでしょう。

ただし、ペットシーツだけだと固さが気になりますね。間にクッションになるものを敷いてからペットシーツを敷いてあげた方が子猫に優しい環境になります。

生まれたての子猫を育てるときの注意点

正面を向いている子猫

生まれたての子猫は非常にデリケートでか弱いため、育てていく上での注意するべきポイントがあります。最後に、保護した子猫の健康状態や、人工哺育の心得について簡単に記載しておきましょう。

保護直後の子猫は感染症リスクが高い

室外にいた保護猫が、なんらかの感染症にかかっていることは珍しくありません。主な感染症と症状には、

  • ノミダニなどの外部寄生虫感染…身体を痒がる吸血による衰弱皮膚炎など
  • ジアルジアやトリコモナスなどの内部寄生虫感染…下痢や腹痛
  • 猫ヘルペスやカリシウイルスなどの猫風邪…くしゃみ鼻水涙目目やに口内炎口呼吸など
  • 猫エイズや猫白血病などのウイルス感染…貧血悪性腫瘍多臓器炎症免疫低下による感染など

があります。そしてこれらは、生後間もない子猫にとって大きなダメージとなります。

また、初乳を全く飲まない子猫を保護した場合、免疫機能の不足から虚弱になり、体調を崩しやすくなることも多いです。感染症の対処については保護後、必ず獣医に診察・検査をしてもらい、都度対処してもらうようにしてくださいね。

もし、先住猫がいるご家庭で子猫を保護した場合には、感染症を先住猫に移してしまう可能性もあるので、病院で結果が分かるまでは接触させないよう徹底しましょう。

子猫の体調不良はすぐに治療する

生後間もない子猫は、ちょっとしたことで体調を崩してしまいます。特に下痢や食欲不振では、脱水や低栄養となりやすく、わずか1日であっても命の危険に陥ることもあります。いつもと違う変化があれば、都度獣医に確認するようにしてください。

哺育中は子猫を最優先でお世話する

子猫には数時間置きの授乳や排せつの補助が必須です。

子猫が離乳食を開始し、排せつも自身で可能になる週齢はおよそ生後40日~45日。それまでの間、毎日どんなことがあっても子猫の世話ができる環境を整えることは可能でしょうか。

もしも母猫の代わりに子育てをすると決めたのなら、生活の全てが子猫中心、最優先となります。

特に、歩き出すまでの子猫は文字通り「寝る間も惜しんで」お世話をしなければなりません。きちんと世話ができないと、子猫の成長過程で問題が生じたり、性格形成でトラブルが起きたりする可能性もあります。

子猫の将来のためにも、保護したものの哺育が不可能な環境にある場合は、無理をせず動物愛護団体や獣医に問い合わせ、ミルクボランティアを探してみてください。

子猫が鳴く理由は?

生後間もない子猫は1日のほとんどを寝て過ごします。世話をしている子猫が鳴くときには何らかの要求があるときです。この頃の子猫が鳴く原因はさほど多くありません。

  • お腹が空いている
  • 寒すぎたり暑すぎたりしている
  • 体調が悪い

この他、生後20日を過ぎ歩くことができるようになると情緒も豊かになってくるので、「不安や心細さ」から鳴くことも出てきます。子猫が鳴いているときにはその原因を確認し、解消してあげてください。

まとめ

かごに入れられたたくさんの子猫

生まれたての子猫を保護し、世話をするということはとても大変なことです。子猫は非常にデリケートで、わずかな体調不良であっても状況が急変してしまうことも少なくありません。

ここでは、子猫の人工哺育のノウハウを記載していますが、子猫の人工哺育において「絶対」というものは存在しません。どれだけ懸命に育てていても、残念ながら助けることができない場合もあります。

実際、獣医師やブリーダーなど、経験が豊富な人であっても救えない命も多いことからも、新生子猫の完全人工哺育がいかに難しいかが分かるかと思います。

できる限りのことをしてみて、それでも救うことができなかったときでも、決してご自分を責めないでくださいね。

子猫の命を救う可能性を伸ばせる一番のポイントは「わずかな変化も見逃さない」です。毎日の授乳量や排便状況、体重の推移は必ず把握しておきましょう。

また、獣医師との連携もとても重要になってくるので、相談できる動物病院を見つけ、何かあればすぐに診察してもらえるようにしてください。保護された子猫が大きくなって元気に走り回るようになる日が来ることを願っています。