みんなの保護猫物語〜ソングくんとの出会い〜

みんなの保護猫物語〜ソングくんとの出会い〜

最近では、外で暮らしていた猫を保護し、家族に迎える人も増えてきました。飼い主さんと保護猫ちゃん、どのように出会って、どんなふうに共同生活を築き上げているのでしょうか?飼い主さんのリアルな声をお届けします!

空家の庭で鳴いていた子猫を保護

今回の主役は、茶白の男の子で生後9ヶ月半の「ソング」くん。かわいらしいお名前は、「よく鳴いていた様子が歌を歌っているかのよう」と感じたことから名付けられました。

先代猫のぴょん吉くんが虹の橋へと旅立った8ヶ月後、2022年6月24日の夜のこと。突然、外から子猫の鳴き声が聞こえてきました。

「ぴょん吉くんが帰ってきた。本気でそう思いました。お墓参りの際には『虹の橋での暮らしに満足したら、いつでも帰っておいで』と伝えていたからです」

すぐに子猫を探しに出た飼い主さんですが、声は聞こえるもののなかなかみつけることができません。そこで、“ある秘策”を思いつきました。

「スマホからYouTubeの『子猫 鳴き声』の動画を流しながら、2時間くらい近所を捜索。0時過ぎ、自宅から40メートルほどにある空き家の前を通ったときに、塀の隙間から『ニャッ(さっきからなにうろついてるの?ボクならずっとココにいるよ?)』って声をかけられました」

飼い主さんは、声がした方向へ懐中電灯を向けると驚いたソングくんは空家の庭に逃げて行ってしまったそう。そのため、いったん捜索は中断。

翌朝、再びYouTubeの動画を流して探すとそれに応えるソングくんの声が。生い茂る草木と逃げ回るソングくんに四苦八苦しながら、お隣りさんとレンタルした捕獲機で無事に保護することができました。

「お隣さまによると、3日くらい前から子猫の声が聞こえていて気になっていたそう。週明けの月曜から大雨の予報が出ており、なんとか土日で保護できればと考えていましたが、意外とあっさり保護できました」

動物病院では、“健康優良児”のお墨付きをもらったソングくん。保護後に大変だったことが3つありました。

1つめは「粗相(そそう)」。トイレを増設し対策用スプレーや布団カバーなどで解決したそう。2つめは「お水を飲まない」こと。水飲み場の増設、器・置き場所の変更、自動給水器、ウェットフードをふやかして与えるなどして改善しました。3つめは「噛み癖」。要求がある時に噛みたくなるらしく、今もおさまる様子は無いそう。一度、ペットボトルを噛んで穴が開いたことがあるそうで、その力の強さに驚いたことも。

ソングくんとの新生活がスタートした飼い主さん。当初は、先代猫ちゃんの生まれ変わりだと感じましたが心境に変化があったそうで……?

「ソングという名前が付く頃には、先代猫ぴょん吉くんとは性格も行動もまるで違うことが分かってきました。生まれ変わりではないけれど、『先代猫がNNN(※)に依頼して元気な子猫をウチに派遣してくれた』『幼い子猫は道に迷って近所の空き家にたどり着いてしまった』と思うようにしています」

(※「ねこねこネットワーク」の略。“猫の秘密結社”といわれ、優しい人(飼い主)を発掘する組織という説も)

猫はみんな“愛おしい存在” お迎えしたら

ぴょん吉くんに見守られ、飼い主さんの愛をたっぷり受けてすくすく成長したソングくん。保護から9ヶ月経った今、体重は4.3kgに。“トンネル遊び”が大好きで、縦でも横でもお構いなしに飛び込んでいくほど元気いっぱいになりました。

これまでソングくんが安心して暮らせるように、試行錯誤を重ねてきた飼い主さん。保護直後、怖がっている子猫の警戒心を解くためにひと役買ったアイテムがありました。

「保護後はずっと窓辺やベッドの下で夜鳴き昼鳴き。収まったきっかけは猫しゃもじでした。母猫の舌触りに似てるんでしょうね。見知らぬ環境でも、猫しゃもじで安心できたようで、警戒心や恐怖心は徐々に落ち着き、無邪気に遊び回るようになりました。子猫をお迎えしたけど夜鳴きや威嚇が続く時は、ぜひ猫しゃもじを試してみてほしいです」

また、動物病院ではおとなしくなるソングくんに驚いたことも。飼い主さんによると「注射や検温にも涼しい顔で、身動きひとつせず。先生が思わず『強いなぁ』とポツリともらすほど」なのだそうです。

保護猫ちゃんについて、飼い主さんは「保護猫も血統書付きの猫も、猫は猫。猫種や毛柄は関係ない」と感じているそうです。

「それぞれが個性を持った愛しい存在。どんな子であっても、いつの間にか「大切なうちの子」になっちゃうと思うんです。出会いやきっかけはどうあれ、繋がったご縁を大切にして猫との暮らしを楽しんでほしい。猫に優しい人は人にも優しくなれる。その優しさは家族関係や人間関係、仕事にもいい影響を及ぼすのではないでしょうか」

さらに、「もし傷ついた猫や困っている猫が目の前に現れたら手を差し伸べてほしい」と願う飼い主さん。SNSなどで、猫との暮らしを発信することが猫ちゃんたちへの理解を深めるために役立つのではないかとも考えています。

「メディアやSNS、YouTubeなどで、猫との暮らしが“いかにステキなことか”を発信し続けることで世の中の意識や環境が少しづつでも変わり、やがて猫ブームが猫スタンダードに定着することを願っています」

ソングくん、飼い主さん、素敵なエピソードをシェアしてくださり、本当にありがとうございました!

※この記事は、取材協力者さまのご了承をいただいたうえで制作しています

取材/ねこちゃんホンポ編集部
文/めろんぱん

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