猫と一緒に帰省するメリットとデメリット
猫は住み慣れた家が最も落ち着く空間です。猫の特性上、1泊2日程度であれば自宅で留守番をさせておいたほうが、ストレスはかかりにくいでしょう。しかし、数日間帰省するとなると猫だけで留守番をすることができなくなります。
そこで、愛猫も一緒に帰省先に連れていく場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?ペットホテルに預ける場合と比較しながらご紹介いたします。
一緒に帰省するメリット
愛猫とともに帰省することで得られるメリットは次のようなものがあります。
- ホテル代金がかからない
- 健康管理の面で心配することがない
- 帰省中の心配事が減り、楽しく過ごせる
- 飼い主さんと離れずに一緒にいられる
- 一度慣れてしまえば今後も一緒に帰省できる
移動手段にもよりますが、ホテルを活用するよりも安く済む場合があります。そして何よりも一緒にいられることで、飼い主さんも愛猫も安心することができます。
猫は意外にも適応能力が優れているため、一度慣れてしまえば、今後も一緒に帰省することが可能になります。甘えん坊な猫や、こだわりが強い猫の場合は、帰省先へ連れていくことでストレスの軽減に繋がります。
猫を連れて帰省するデメリット
メリットがある一方で、猫と帰省するにはデメリットもいくつか存在します。主なデメリットは次のような事柄です。
- 移動によるストレスは否めない
- 環境の変化によって食欲が落ちることがある
- 帰省先でのトラブルに備えなければならない
- 帰省先のご家族の理解を得ること
高い適応能力を持ち合わせていても、やはり移動による負担はかかります。帰省先でも、一時的に食欲が低下することも考えられます。そして、脱走や怪我のリスクも考慮して、帰省先のご家族の理解と協力が重要なポイントになります。
ホテルのケージ内で数日間を過ごすことを考えると、同行させたほうが自由度の高い生活を送ることができます。移動距離や帰省先の環境なども含め、より良い方法を検討することが大切です。
帰省する際に必要なグッズ
愛猫を帰省先に連れていく場合、用意しなければならないものがあります。猫用品は現地調達が困難な場合も多いため、入念に準備するようにしましょう。
キャリーケース
移動手段を問わず、キャリーケースは必需品です。猫は音に敏感で、些細な物音でも驚いて逃げ出してしまうことがあります。よって、リードや ハーネスだけでは不十分なのです。
使用するキャリーケースは、普段動物病院を受診する際に使っているもので構いません。ただし通院とは環境が異なるため、不安になる事が考えられます。ケースを覆うカバーがあるとより安心できるでしょう。
ハーネスやリード
長距離移動の場合は、ハーネスとリードがあると便利です。これらは脱走防止に役立ちます。ハーネスとリードを装着し、絡まらないように注意したうえでキャリーケースと結んでおきましょう。
ハーネスやリードは、前もって装着の練習をしましょう。当日になって慌ててしまうと、猫にも負担をかけてしまいます。そして、外出に敏感にならないように、これらは常に愛猫の視界に入る場所で保管しましょう。
そして、外出しない場合でも時々ご自宅で装着することをおすすめします。これは、外出を察知されないだけではなく、震災で避難を要する場合でもスムーズ着用できるため、とても役立ちます。
ポータブルケージとトイレ
帰省先にケージやトイレがある場合を除き、これらも必須アイテムです。慣れない環境では、ケージに入ることで安心感を得られます。帰省先でもケージ内が愛猫のテリトリーになるのです。
トイレもポータブルトイレを購入すると便利です。ケージも含めポータブル製品は、軽量で小さく折りたたむことが可能なため、手荷物として手軽に持ち歩くことができます。
また、自家用車のシートに固定させることが可能なタイプを購入することで、車での移動の際はトイレを我慢する心配がなくなります。
自宅にある猫砂(少量)
猫は概ねトイレを新調しても排泄場所として認識することができます。しかし、環境の変化によるストレスも相まって、ポータブルトイレを拒否してしまう可能性があります。
そこで、自宅のトイレから少量の猫砂を持っていき、ポータブルトイレの中に撒くことをおすすめします。初めて使用するトイレでも、自分のものであると安心することができるのです。
普段食べているフード
フードは現地調達が困難な場合が多いため、持っていくことをおすすめします。尚、療法食の場合は必ず持っていきましょう。予め計量しておくと便利です。
そしてフードの他に、おやつを持っていくとよいでしょう。おやつが役立つシーンに関する詳細は後の項目でご紹介いたします。また、食器につよいこだわりがある場合は食器も持っていきましょう。
お気に入りのおもちゃ
適度な運動はストレスの発散にも繋がります。帰省先でも、お気に入りのおもちゃがあることで愛猫も安心して遊ぶことができるでしょう。
また、遊びはコミュニケーションの一環になります。実家のご家族や、親戚の方が愛猫と仲良くなるきっかけにもなります。
においがついたタオルやブランケット
帰省先には愛猫のにおいが全くありません。そこで、普段使用しているブランケットやタオルなどがあることで安心することができます。キャリーケースの中に入れてあげても落ち着くので、そのまま帰省先でも使用すると良いでしょう。
ただし、ストレスからウールサッキング(毛布を食べてしまうこと)のリスクが高い場合は、キャリーケースに入れずに飼い主さんが持っていくようにしましょう。また、飛行機やフェリーでは飼い主さんと離れなければなりません。安心できるように飼い主さんのにおいのついたハンカチやTシャツを入れてあげるとよいでしょう。
服用している薬があれば薬も忘れずに
現在服用している薬がある場合や、特定の状況において服用しなければならない薬があれば、忘れずに持っていきましょう。
そして持病がある場合は、帰省先に同行させる意向を主治医の獣医さんに伝え、許可を得てください。その際に、いざというときの対処法も教えてもらいましょう。
帰省先への移動手段について
帰省先へと向かう移動手段は、自家用車・鉄道・飛行機が主流でしょう。これらの移動手段におけるメリット・デメリットについてご紹介いたします。
自家用車
自家用車は、周囲に気を使う気疲れがありません。愛猫も見知らぬ人と顔を合わせたり、聞き慣れない音を聞かずに済むので、ストレスの軽減に繋がります。
また、車内にケージを設置することでトイレや水分補給が自由にできます。ただし、食事は車酔いのリスクを考えて控えるようにしましょう。
デメリットとしては、時間が読めないことや猫が原因による事故のリスクがあることです。移動中は、猫をキャリーケースやケージから出してはいけません。愛猫に異変を感じたら、安全を確保して停車するようにしましょう。
在来線及び新幹線
在来線や新幹線の場合は、時間が読めることや振動が少ないため、猫の体にかかる負担を軽減させてくれます。一方、不特定多数の方が利用されるので、猫が苦手な方への配慮や愛猫にかかるストレスを考慮しなければなりません。普段以上にマナーを意識するように心がけましょう。
尚、猫が鉄道を利用する際は、運賃が発生します。JRの場合は一律280円です。また、持ち込めるケージの大きさや重さには制限があるので要注意です。予め、鉄道会社のホームページを確認しておきましょう。
飛行機
主要な航空会社であるJALやANAでは、猫を飛行機に乗せることが可能です。一部格安航空では不可となっているので、事前に確認することが必要になります。
飛行機での移動は、気圧の変化や機体の揺れなど、電車以上に負担がかかる可能性があります。しかし、移動時間を大幅に短縮できるというメリットがあります。選択肢のひとつとして検討してみましょう。
一方で、飛行機での移動は、デメリットがあります。それは、航空会社ごとに猫の扱いに差があることです。また事前予約が必要になるため、帰省ラッシュに当たる場合は早めに予約する必要があります。猫にかかる費用は3千円から6千円が相場です。
猫を預ける環境や、航空会社の対応などについては、事前によく確認しましょう。飛行機を移動手段とする場合、何よりも愛猫の安全面を優先しましょう。
帰省先で気をつけたいこと
自宅から無事に帰省先にたどり着いても、気をつけなければならいことがあります。特に年末年始は、人の出入りが多くなる可能性があり、注意が必要です。ここからは、気をつけたいポイントをご紹介いたします。
到着したらケージとトイレの設置を優先する
到着後は、速やかにケージとトイレを設置しましょう。自家用車以外の手段で移動してきた場合は、トイレを我慢していることが多いのでトイレは最も優先したほうが良いでしょう。そして、設置後はそこでしばらく休ませてあげましょう。
帰省先のご家族は、猫との対面を心待ちにしているかもしれませんが、まずは休むことが重要です。その旨も事前に知らせるか、到着後の挨拶を済ませた後に必ず伝えましょう。
脱走防止の徹底に努める
帰省先でのトラブルのひとつが脱走の問題です。脱走を防ぐためには、周囲の人々の協力が不可欠です。事前によく説明しておきましょう。
特に完全室内飼育の重要性については、理解が得られるようにしてください。そして、親戚の方々がお見えになる際も、猫と帰省していることを含め、理解を得られるよう丁寧に説明するようにしましょう。
誤飲や怪我の注意
自宅では常に、誤飲や怪我に注意を払っていると思います。しかし、日頃猫と暮らしていない方にとっては、猫の怪我や事故のリスクファクターは想像しにくいものです。事前に説明し、帰省前に環境を整えられるようであれば、予め下準備をしてもらうと安全です。
誤飲への注意も、認識的には赤ちゃんがいるような危機感を持ってほしいと伝えるとイメージが湧きやすいでしょう。飼い主さん自身も、帰省先では普段以上に気を配るようにしてください。
人間の食べ物を食べさせない
誤飲の次に注意したいことは、人間の食べ物を与えてしまうリスクです。日頃飼い主さんが与えていない場合でも、親戚の集まりの際には知らずに食べさせてしまう方がいらっしゃるかもしれません。
以前は「ねこまんま」という習慣がありました。現在では、より安全に食べられるフードがあることを丁寧に説明しましょう。ただ説明しただけでは、相手の方も否定されていると気分を害してしまう場合があります。
そこで、持ち物のリストに挙げたおやつの登場です。集まっている皆様に少しずつおやつを分けて、楽しく過ごせるように工夫してみましょう。
幼い子どもがいる場合は注意深い対応をする
帰省先で、幼い子どもが愛猫と触れ合う機会があれば注意が必要です。まずは、必ず保護者の方にアレルギーの有無を確認してください。そして、子どもが猫と遊ぶときは必ず大人が見守るようにしましょう。愛猫への接し方や反応を見て、愛猫が疲れてしまったら怪我のリスクを考慮して子どもを別の遊びへと誘うようにしましょう。
また、おやつを食べさせる場合も、飼い主さんが量を管理しましょう。「たくさん食べるとぽんぽん痛くなるから、これだけにしようね」と優しく教えてあげましょう。
帰省時には多くの親戚が集まり、猫にとってはストレスになってしまう恐れがあります。必ず落ち着ける環境を整えてあげましょう。また、猫に不慣れな方に配慮し、接し方や猫が嫌がってしまうことなどを丁寧に説明してあげましょう。
まとめ
今日のねこちゃんより:てつじ / ♂ / 1歳 / スコティッシュフォールド / 0kg
愛猫を連れての帰省は、移動の際に聞き慣れない騒音や環境の変化など、負担になることが予想されます。メリットやデメリットをよく理解しておくことが大切です。安全面や健康面に気を配りながら、楽しい年末年始をお過ごしください。