猫の内臓を徹底解説!それぞれの役割や不思議、病気について

猫の内臓を徹底解説!それぞれの役割や不思議、病気について

猫は野生に生息していたときから生き抜いていくために「内臓を自在に動かせる」という驚くべき機能を備えています。また、猫の内臓でそれぞれの役割や、機能、なりやすい病気なども気になりますよね。そこで今回は「猫の内臓を徹底解説!それぞれの役割や不思議、病気について」ご紹介させていただきます。

3291view

SupervisorImage

記事の監修

北里大学獣医学科卒業。埼玉県内の動物病院で勤務医をしながら教育・研究にも携わっており、大学では『伴侶動物の鉄代謝』をテーマに研究しています。『猫は小さな犬ではない』という格言のもと、何よりも猫ちゃんの健康と福祉の向上を一番に考え、日々の診療に励んでおります。

猫は内臓の位置を動かせる!

布団の上でひっくり返る猫

猫は、内臓の位置を動かせるというのは本当なのでしょうか。
人間は体に備わっている内臓を自在には動かすことはできませんよね。しかし、同じ哺乳類なのに猫は内臓の位置を動かせると言うのです。果たしてそれは本当なのでしょうか。

猫が狭い所を通れるのは内臓を動かせるから

猫は一緒に暮らしていると、扉の隙間や窓のほんの少しの隙間など、「絶対通れない」と思う幅にしていても通り抜けてしまいますよね。これは、猫の筋骨格系が非常に柔らかく内臓の位置を自在に動かせるからなのです。

窓や扉、建物の間やフェンスなど、狭い隙間を内臓の位置を動かし通り抜けることができ、通り抜けた後には元の位置に戻すことができます。

ちなみに、猫が自分の幅よりも狭いところを通り抜けることができるのは、内臓を動かせることもですが、「鎖骨がないこと」も理由のひとつです。

猫は内臓を自由自在に動かすことができるので柔軟性に優れ、あちこちを通り抜けることができるんですね。

猫の内臓の役割

伏せてこちらを見つめる猫

猫の内臓の役割はどのようなことがあるのでしょうか。
猫は人間と同じ哺乳類なので内臓の構造もそっくりですが、その機能や四足歩行のために配置に若干の違いがあるようです。そこでここでは、猫の内臓の役割についてご紹介させていただきます。

代表的なところで猫の内臓は、

  • 腎臓
  • 膀胱
  • 肝臓
  • 食道
  • 気管
  • 心臓
  • 小腸
  • 大腸

などを備えています。人間とは配置が違うものの、備わっている基本的な臓器は同じようです。
それぞれの具体的な役割についてご紹介させていただきます。

腎臓

猫の内臓の中でも大切な役割をしているのが腎臓で、猫が病気になりやすい臓器のひとつでもあります。腎臓は背中側に2つあり、老廃物を濾過・排出し体の内部環境を一定に保つ働きをしています。

この濾過機能によって5kgの猫では1日に1.5リットルもの尿を作って老廃物排泄することができます。しかし、腎臓は内臓の中でも病気になりやすい部位の1つで「腎臓病」は猫の死因の第一位です。腎臓に炎症が起こる腎炎などが原因で、老廃物を濾過することができなくなり腎不全に陥ることもあります。

膀胱

膀胱は、腎臓で生成され送られてきた尿を溜める袋の役割をしています。
猫の膀胱の容量は100ml程度といわれており、ここに尿を一時的に溜めておけます。しかし、トイレを我慢してしまうと膀胱炎や尿石症などになってしまうこともあるので我慢させないような環境づくりをしてあげましょう。

肝臓

肝臓は、

  • 腸で分解・吸収された栄養素の貯蔵と分解
  • 解毒作用
  • 胆汁の合成

など様々な役割を果たしています。また「ビタミンCを合成する」という、人間にはない機能も猫では肝臓が担っています。感染や薬物・毒物の摂取など様々な原因で肝臓は傷害され肝炎を起こしてしまい、炎症が広範囲に広がると線維細胞に置き換わることによって肝硬変につながることもあります。

胃は食べ物を消化する場所です。 役割としては、

  • 胃酸で食べ物を酸性に保つ
  • 消化酵素によりタンパク質を分解する

などの働きがあります。猫も人間と同じように胃潰瘍、胃炎などを発症して嘔吐してしまうことがありますが、胃以外に原因がある場合でも嘔吐はよくみられる症状なので吐く回数や頻度などをよく観察してあげましょう。

食道

食道は、口から摂取した食べ物を胃に送る器官です。食道に炎症が起こる食道炎などで吐出を引き起こしてしまうことがまれにあります。

気管

気管は呼吸において空気の出入りする道の役割があります。口や鼻からガス交換が行われる肺までつながっており、いわゆる猫カゼはこの部分がヘルペス・カリシウイルスやクラミジア、細菌などの感染によって傷害されてしまう病気です。感染が重度の場合は命に関わることもあるのでたかがカゼと侮ってはいけません。

心臓

血液循環を保つ上で最も大切なのが心臓です。心臓は人間と同じように、全身に血液を循環させるポンプの役割を果たしており猫の体内では330~350mlほどの血液が循環しています。心筋症の発症によって循環障害が生じることもあり、少しの運動でも口を開けて呼吸してしまうことなどがよくある場合は一度動物病院を受診することをオススメします。

肺は、酸素と二酸化炭素のガス交換である呼吸をする役割を果たしています。肺の病気としては細菌感染などにより肺が炎症を起こす肺炎、循環障害により肺に水が溜まる肺水腫が代表的でいずれも呼吸が苦しくなるのでいつもより呼吸が早かったり浅かったりする場合は要注意です。

小腸

小腸は、摂取した食物から栄養素などを体内に吸収する役割があります。消化管の流れでは胃に続く部位でここに何らかの傷害があると下痢や嘔吐などの症状が出ます。傷害の原因も軽度な胃腸炎から外科手術をしなければいけない腸閉塞まで様々です。長期間や頻回の下痢や嘔吐がある場合は一度動物病院に相談してみましょう。

大腸

大腸は、消化物からの水分吸収をして、糞便を直腸・肛門へ送り出す役割があります。大腸の機能が年齢によって衰えたり、多飲多尿などによる脱水傾向や元々大腸が通るスペースが狭いなど様々な原因で便秘を引き起こしてしまうことがあります。便秘も長期間放置すれば命に関わることもあるので定期的に排便しているかの確認をしてあげましょう。

猫の内臓に関する病気

ベロを出して横になる猫

猫の内臓に関する病気は実に様々ありますが、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。 猫は遺伝や生活環境などによって、どうしてもなりやすい病気があります。日頃から具体的な病気やその症状、原因を飼い主さんが知っておけば、予防をすることができたり、早期発見したりすることにつながります。 ここでは、代表的な猫の内臓に関する病気についてご紹介させていただきます。

心筋症

心臓の筋肉の異常が原因で病気になってしまうのが「心筋症」です。心筋症は基本的に内科的には根治できず徐々に病態が進行していきます。

  • 呼吸が苦しそう
  • 息が荒い
  • ぐったりとしている
  • 元気がない
  • 食欲がない

これらのような症状が挙げられますが、呼吸器症状以外はどんな病気でも出てくるような症状なので特に呼吸様式、呼吸数は注意深くみてあげましょう。

メインクーンやラグドールなどの大型の猫が遺伝的に発症しやすいと言われており、治療は血管を拡張させたりして心臓の負荷を軽減させてあげることが中心になります。また血栓ができやすくなるのでその発生を防し続けるようにすることもあります。

慢性肝炎

慢性肝炎は細菌、真菌、ウイルス、寄生虫による感染や薬物・毒物の摂取などによって肝細胞が変性・壊死し炎症が広がりそのまま慢性化してしまうというものです。慢性肝炎を発症すると、

  • 食欲がない
  • 体重が減る
  • 頻繁に嘔吐をする

などといった特徴のない症状が出てきますが、肝臓に重度の障害がある場合には白目や歯茎に黄疸がみられることや震えや痙攣などの神経障害 が出ることがあり、これらは特徴的な症状です。慢性肝炎は老猫が非常になりやすい病気の1つで、15歳以上の猫で体調が悪い場合は特に注意して白目や歯茎をみてあげましょう。

慢性腎不全

猫の病気の中でおそらく最もよく知られているのが「慢性腎不全」です。腎臓の炎症などが原因となり腎機能が徐々に低下し、その結果慢性的な腎不全に陥ってしまいます。

  • 水ばかり飲む
  • 尿量が多くなる末期では逆に少なくなる
  • 毛艶が悪くなる
  • 吐きやすくなる

などといった症状が挙げられます。
私の愛猫も現在こちらの病気と闘病中ですが、この病気は猫の死因の第1位とも言われており今のところ根治する方法はなく、治療は食餌療法を中心とした対症療法になります。

まとめ

隙間に入り込む猫

猫の内臓は驚くべき能力があり、自由自在に動かして移動をさせることができます。この機能があることによって「狭い隙間を自在に通り抜ける」ことができます。

猫も人間と同じように臓器が備わっており、それぞれが様々な機能を果たしてうまく成り立っています。特に腎臓、心臓、肝臓などは生命活動を維持する上でとても重要な臓器ですが、病気が進行しないとなかなか症状に気付けないことも多いです。日頃からそれぞれの臓器に特徴的な症状が出ていないかを確認しながら過ごすようにしてあげてください。

スポンサーリンク