猫が死が近づいているのを分かる理由
猫ちゃんは私たち人や犬と違い単独で生活していた動物です。そのため常に敵に見つからないように生きていかないといけなかったことから、老衰や病気、怪我などで体が衰弱している状態は「死」を意味しています。子猫の場合は母猫が助けてくれることがありますが、群れで生活していないため仲間同士の思いやりやコミュニケーションが欠け、成猫の場合は具合が悪くても誰も助けてきてくれないのです。
そのことから猫ちゃんが自分の調子が悪いと感じた場合は「死」が近づいている、「死」を覚悟しなければいけないと認識しているようです。
死が近づいている猫の行動
飼い主さんに対して甘えるようになる
猫ちゃんが自らの死が近づいている頃には、自分の力だけでは動くことができないため横たわっているほど体力がかなり低下していたり、体全身が衰弱している状態です。そのため飼い主さんに助けてほしいという気持ちで甘える行動をとるようになることがあります。
高齢になると視覚や聴覚などの五感も老化に伴い衰えているため甘える行動をする子が多いといわれています。また死が近い時には点滴などの治療の不満や嫌なことをされても、それに対する抵抗力もないため「大人しくなった」「性格が丸くなり甘えている」と解釈されている一説もあります。
飼い主さんにお別れの挨拶をする
現在の家猫は、祖先の名残を受け継いでいる部分もありますが、室内飼いで獲物を狩猟せず食事にありつける、飼い主さんがオモチャで遊んでくれるなど、普段の生活から飼い主さんと密接に過ごしていることから、飼い主さんを特別な存在と思っています。そのことから猫ちゃんが自らの死が近づいていると気づいた時に、唯一心を許している大好きな飼い主さんにいつもと違う大きい声を発してお別れの挨拶をしているといわれています。また普段から甘えん坊な性格な猫ちゃんによくみられる行動のようです。
ケイレン発作や呼吸が荒くなる
猫ちゃんの状態がかなり悪い場合は腎臓や肝臓などの機能低下やご飯を食べてない影響で低血糖などの原因で脳に障害をおこし、ケイレン発作をおこすことがあります。ケイレン発作の度合いにもよりますが四肢がピーンと硬直したり、意識がないため大量のヨダレや失禁することもあります。ケイレン発作を起こす前に大声で鳴いたり、モゾモゾと居心地が悪そうな様子をすることもあります。
また全身の筋力も低下しているため開口呼吸をし浅い呼吸をするようになります。しだいに深い呼吸をするようになり心拍数も通常は1分あたり130〜180回ほどですが、だんだんと落ちていきます。
冷えた場所を好む
体が衰弱していると体温が低くなります。ある一定の体温まで下がると命の危険があると体が察知し、これ以上体温が下がらないように血管が収縮し体温を上げようと働きます。その時、体温と外の気温の差がでると体が暑く感じるようになり、お風呂場や廊下など涼しいところを求めるようになります。
猫は死が近づくと姿を消す
身を守るため
元々猫ちゃんは単独動物なため自分の身は自分で守らないといけなかったため、病気や怪我をして体が弱っている状態や死が近い状態だと敵にとっては好都合となり、狙われてしまいます。そのため敵に見つからないように身を守れる安全場所にいるといわれています。また身を潜めることができるので体力温存や怪我の回復を待っていることも理由としてあげられいます。
体のエネルギー消費を少なくするため
通常の猫ちゃんの体温は人よりも高く約38度ほどですが、死が近づいている猫ちゃんにとっては多くのエネルギーを使うことになるためかなりの体力が消費されます。なるべく体温が低い状態が長く続くことでエネルギー消費を最小限に抑えようとしているといわれています。
自分のテリトリーがないため
これも祖先の名残が影響しており単独動物だったため、それぞれ自分のテリトリーがあります。しかしテリトリー内に自分より強い猫ちゃんが現れてきた場合は違う場所に移動しなければいけません。そのことから病気や怪我で戦う体力がないため他の猫ちゃんに自分のテリトリーを奪われるとう本能が働き、誰もいない安全な場所へ移動しているようです。
子孫を残すため
猫ちゃんは私たちや犬と違い交尾排卵動物なのでほぼ90%以上の高確率で妊娠します。そのため死が近いと感じた時に自分の子孫を残す本能から相手の猫ちゃんを探しているのではと推測されています。特に室内飼いの猫ちゃんより普段から外に出入りしていた猫ちゃんに多くみられています。
死が近い猫の注意点
体を温めてあげる
体が衰弱すると体温が低くなりますが、これ以上低く下がらないように体温をあげようと体が働きます。そのため体が暑く感じお風呂場や廊下など涼しいところを好みます。しかしそのような様子が見られているということは、その前から体温が下がっていたことになりますので日頃から毛布を用意したりと体を温めてあげることが大切です。
できるだけ水分や糖分補給をしてあげる
状態が悪いと食事を全く受け付けなくなり水も飲まなくなります。食事から栄養を得ることも大切ですが私たちも含め猫ちゃんの体も約60%は水でできています。そのためご飯を食べれなくても水分を補給してあげると少しでも長く生きることができます。水を飲ませる時はスポイトで猫ちゃんの口元の端(犬歯の横)から舌の動きに合わせると吐くこともなく飲んでくれます。
水分だけですと低血糖を起こしフラついたり意識障害などの症状がでるため、ブドウ糖やガムシロップなど糖分も補給することも大事です。
身の周りの段差をなくし体の負担を減らす
少しの段差でもつまずきやすいため段差があるものを排除します。自力で歩けることができる場合は足が滑らないように床に滑り止めシートをはったり近くにトイレや水飲み場を置いておくことです。
また体重がかなり落ちていると骨ばってしまうため横になった際に肩や腰などに床ずれができやすかったり、体に負担がかかってしまいます。ベッドに柔らかいタオルや毛布を敷いてあげ負担を減らしてあげます。
できるだけ側にいる時間を増やす
猫ちゃんの状態が悪く予後が厳しいと何もしてあげることができず辛いかもしれません。しかし撫でてあげたり声をかけたりなど猫ちゃんと過ごす時間を増やしてあげ、側にいることが何よりも1番大切だと思います。また身の周りの環境を綺麗に整えたり猫ちゃんの顔を拭いてあげたりブラッシングしてあげるのもいいです。
死が近づくと猫ちゃんは飼い主さんに甘えるようになり、飼い主さんに側にいてほしいと思いますし、猫ちゃんが飼い主さんに何かしてほしいことがあるかも分かります。
まとめ
猫ちゃんが自らの命が短く、死ぬ時期が近いと感じたときは本能により静かなところへ姿を消すようにしたり、飼い主さんに対して普段と違う声で鳴いて呼んだり甘える行動をとることが多いようです。その時に猫ちゃんは苦しいのに頑張って立ったり歩いたりして飼い主さんにお別れのサインをしているという話をよく聞きます。自分が後どれくらい生きれるのか知っているからこそ、いつも一緒に過ごし心を許せる飼い主さんに「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えているのではと思います。