猫の歩き方
猫はつま先立ちの歩き方
猫の歩き方といえば、とてもしなやかで美しいイメージを持っている人が多くいます。四足歩行で肉球を地面につけながら歩くのが猫の歩き方ですが、実は人間の歩き方と大きく違う点がひとつあります。それは「猫は常につま先立ちの状態で歩いている」という点です。
猫の歩き方と肉球
猫の足裏だと思われがちな肉球は、人間でいうと「足の指部分」に該当し、足裏全体部分ではありません。つま先立ちで歩いているため、獲物が近くにいる時でも抜き足差し足でそっと近づくことができます。
しかも、猫の肉球部分からは汗を分泌できる器官がついており、汗で肉球を湿らせることによって滑り止めになるという特徴も持っています。
猫は爪を隠した歩き方をする
猫の手足といえば、鋭い爪を持っているイメージされがちですが、攻撃モードではない時には引っ込められるように出来ています。そのため、人間の爪のようにいつでも丸見えという状態ではないのです。
猫の歩き方はいつも静か
そのようなからだの仕組みをしているので、日頃歩いている時に「カツカツ」と爪の音を立てることはありません。歩きながら音を立ててしまうと、獲物がその音に反応して逃げてしまう可能性があります。なので、猫は歩く時に音を一切立てないようなからだの仕組みを持っているのです。
猫の歩き方が異常な場合
しなやかな動きが印象的な猫の歩き方ですが、いつもと違う歩き方が見られた時は注意が必要です。なぜなら、猫が病気や怪我をしている可能性があるからです。そこで、異常な歩き方の例や考えられる病気、対処法について解説します。
まず、猫の異常な歩き方の例についていくつか紹介します。愛猫が以下のような歩き方をしている時は、できるだけ早めに動物病院に連れて行ってください。
猫が足を引きずっている、歩く時に足を痛がる
「足をズルズルと引きずるように歩いている」「歩き方がぎこちなくて痛そう」といった異変があったら、怪我や病気の可能性を疑いましょう。
さっきまで普通に歩いていたのに、猫が突然このような歩き方を始めた場合は怪我を負っている可能性も考えられます。また、手足の関節に関する病気の可能性もあります。
猫がフラフラと歩く、周りの物によくぶつかる
猫がフラフラとした歩き方を見せたり、周りの物にぶつかりながら歩く様子を見せたりした時は、怪我の可能性がある他に、脳や神経などの病気も考えられます。
猫が足を動かせない、歩こうとしない
歩かせようとしても全く動かないなどの様子が見られた場合、痛みや違和感のせいで動けなくなっている可能性も考えられます。このような場合、無理に歩かせようとはせず、できるだけ猫のからだを動かさないようにしながら動物病院に連れていきましょう。
猫の歩くスピードがとっても遅い
猫の歩くスピードが異様に遅い時も、怪我や病気の可能性があります。痛みや違和感のせいで、ゆっくりとした歩き方でないと耐えられない状態になっているのかもしれません。このような時も、なるべく猫のからだを動かさないようにし、早めに診察してもらうようにしましょう。
猫の歩き方が異常な時に考えられる病気や怪我
猫の歩き方が異常な時、以下のような病気や怪我をしている可能性が考えられます。ただし、素人の知識だけでは適切な判断や処置はできません。
そのため、自己判断で病気や怪我と決めつけることはしないで、必ず獣医さんに診てもらい、適切な治療や薬の処方をしてもらいましょう。
骨折、脱臼
事故や、他の猫との喧嘩、転落したなど、大きなダメージを手足に受けた場合、骨折や脱臼をしているせいで猫の歩き方に異変が出ている可能性があります。
動物病院では、レーザー治療や手術などで治療することができる他、軽度の脱臼であれば麻酔をかけた上で、関節を元通りに動かすといった治療を行ってもらえます。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは、椎間板が変形することによって炎症や痛みが起きる病気です。猫の場合、腰の部分の椎間板が変形するケースが多く、その影響で猫の歩き方に異変が出ることがあります。
椎間板ヘルニアになった場合は、症状の進行具合にもよりますが、運動の制限や薬による治療、手術による治療などが行われます。
爪のせいで怪我をしている
猫の爪から出血している場合や、爪が肉球に刺さってしまっている時も、猫の歩き方に異変が見られます。爪が原因の場合は、長くなり過ぎた爪を切ってあげたり、出血している部分を消毒してあげたりすることで解決できますが、念のため動物病院に連れていくことをおすすめします。
熱中症
熱中症になった場合、暑さのせいで猫の歩き方がフラフラとしてしまう可能性があります。人間も熱中症になってしまうと足元がふらつくように、猫にも同じような現象が起こるのです。長時間暑い場所にいた場合は、すぐに涼しい場所に移動させてからだを冷やし、動物病院に連れていきましょう。
耳の病気
中耳炎や内耳炎になった場合、猫はからだのバランスを上手く保てなくなることがあります。そうなると、猫の歩き方がフラフラとしたり、やたらと周りの物にぶつかるようになります。中耳炎や内耳炎になった時は、動物病院で薬を処方してもらうことによって治療することが可能です。
目の病気
白内障や緑内障などによって、猫の歩き方に異変が出ることもあります。軽症の場合は、目薬などの投与によって治療することが可能ですが、病気が進行している場合は手術を行って治療をすることもあります。
脳の病気
小脳の異常や、肝機能の低下により有害成分が脳にダメージを与えたりすると、その影響で猫の歩き方がおかしくなる事もあります。
肝臓が原因となっている場合は、肝機能を回復させるための薬や手術、食事の改善を行います。また、小脳にダメージがある場合は、別の病気が絡んでいることが多いため、その病気の治療を行うことが多いです。
まとめ
猫の歩き方に異変がある場合「そのうち元に戻るだろう」と甘く見ていると、その間に病気や怪我の状態が悪化してしまうかもしれません。
逆に、早めに対処することによって大事にならずに済むケースもあるため、少しでも異変があった場合はすぐに獣医さんに診てもらいましょう。