猫の尻尾を引っ張るのは絶対にダメ!理由と起きうる障害について

猫の尻尾を引っ張るのは絶対にダメ!理由と起きうる障害について

猫の尻尾を引っ張ると、さまざまな怪我や病気に繋がる可能性があります。そのため、安易な気持ちで猫の尻尾を引っ張る行為をしてはいけません。この記事では、猫の尻尾を引っ張るのがいけない理由や、引っ張った時に出る症状について紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の尻尾を引っ張るのがいけない理由

猫の背中と尻尾

猫の尻尾を引っ張るのがいけない理由にはどんなものがあるでしょうか?くねくねと自由に動かすことのできる猫のしっぽですが、実は意外と繊細な部分だということをご存知でしょうか。

漫画やアニメなどでは、尻尾を引っ張るなどしてつかまれても平気そうな顔をしている猫が登場することもあります。しかし、あれはあくまでも漫画やアニメの中だけの話であって、現実に尻尾を引っ張ると猫に大きなダメージを与えることになります。

猫の尻尾には神経や骨がある

猫の尻尾には「尾骨神経」と呼ばれる神経が通っています。猫の尻尾を引っ張るのが危険な大きな理由であるこの尾骨神経は、尻尾全体に張り巡らされているだけでなく、骨盤やお腹、陰部などといった場所の神経にも繋がっています。

そのため、尻尾を引っ張ると場合によっては神経を痛めてしまい、尻尾の機能はもちろん、下半身の機能にも害を与えてしまう可能性があります。排泄などの障害が出てしまったら、症状によっては最悪の場合手術によって尻尾を切断しなくてはならないこともあるのです。

ストレスから病気になる

また、猫の尻尾はとても敏感な場所でもあるので、思いっきり引っ張ると猫が痛みを感じてしまいます。もし、尻尾を引っ張ったことによって神経に影響が出なかったとしても、猫にとっては大きなストレスとなるのです。

尻尾を引っ張るストレスから猫が病気や体調不良を発症してしまう可能性もゼロではないため、十分注意が必要です。

骨折する可能性

さらに、猫の尻尾には「尾椎」とよばれる骨もあります。
尻尾に大きなダメージを与えてしまうと骨が折れてしまうこともあるため、やはり尻尾を引っ張る行為は非常に危険であるといえます。

例えしつけだったとしても、猫の尻尾を引っ張る行為は絶対にしてはいけません。尻尾を引っ張る行為は猫にとってダメージが大きすぎるので信頼関係が壊れてしまうどころか、それが原因で病院に行かなくてはいけなくなることもあるのです。

ちなみに猫の尻尾を軽く触ったり撫でたりする行為は、問題ありません。

猫の尻尾の付け根をポンポンと優しく撫でてあげることによって喜ぶ猫もいるので、力加減をちゃんとコントロールした上で、猫の尻尾に触りましょう。

もちろん、尻尾の付け根を触られることが嫌な猫もいるため、そこは猫の様子を見ながら判断することが重要です。

猫の尻尾を引っ張ると起こる疾患

診察を受ける白猫

猫の尻尾を引っ張ると、以下のような病気や怪我に繋がることがあります。
具体的にどのような症状が出てしまうのか、もし誤って引っ張った時はどのような対処法をとればよいのか、以下の項目で詳しく紹介していきます。

猫踏んじゃった症候群

「猫踏んじゃった症候群」とは、名前からわかる通り、猫の尻尾にダメージを与えてしまった際に起こる疾患のことです。正式名称は「仙尾部外傷」または「しっぽ引っ張り外傷」ですが、「猫踏んじゃった症候群」とよばれることも多いです。

猫踏んじゃった症候群になってしまうと「尻尾を触らせないようになる」「尻尾が動かない」「尻尾が変な方向に折れている」「排泄時の様子がおかしい(漏らしてしまう、排泄をしない等)」「足を引きずるように歩く」などの症状が出ます。

尻尾を引っ張る以外の原因で、この症状にかかってしまうこともあります。

「尻尾を踏んだ」「他の猫や動物と派手に喧嘩した」「ドアなどに尻尾を挟んだ」「高い場所から落ちた」「交通事故に遭った」などといった出来事が原因で発症してしまうこともあるのです。そのため、日頃から猫の尻尾に対してダメージを与えないように、注意深く見ておく必要があります。

骨折

猫の尻尾が折れてしまった時の症状や原因は、「猫ふんじゃった症候群」の症状や原因と非常に似ています。骨折してしまった場合、ギブスなどで尻尾を固定して骨がくっつくまで固定しておく治療法などがあります。

しかし、猫は日頃から尻尾をくねくねと動かす習性があるため、ギブスなどで固定する方法があまり現実的ではない場合もあります。そのような時は、手術によって骨折部分をワイヤーなどで固定してしまう方法をとることも多いのです。

猫の尻尾を誤って引っ張ってしまった時は?

「猫の尻尾を引っ張るのはNG」と分かっていても、何かの拍子に誤って引っ張ってしまったり、猫に対する接し方が分からない小さなお子さんが引っ張る可能性はあります。

もし、万が一このような事態が起きた場合は、まず猫の尻尾に異常がないかどうかすぐに確認をしましょう。尻尾がだらんと垂れていたり、動かしにくいような状態になっていたら、何かしらの強いダメージを受けた可能性が高いため、すぐに病院へ連れていくことをおすすめします。

また、尻尾に異常がなかったとしても「排泄の様子が変」「下半身の動きがおかしい」などの症状があるようなら、神経にダメージを受けていることが考えられます。そのような場合も、すぐに動物病院で診てもらいましょう。

特に「排泄ができなくなってしまった」などの症状は、長期間放置しておくと非常に危険です。1日のうちの排せつ回数が異様に減ってしまった場合は、急いで診察してもらいましょう。

まとめ

猫の尻尾アップ

猫の尻尾を引っ張るのは、猫にストレスを与えるだけでなく、病気や怪我の原因にもなりかねません。軽い気持ちで引っ張ると、後々大変なことになってしまうので、猫の尻尾を引っ張るのは絶対にやめましょう。

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