猫のしっぽの骨について解説!特徴や機能、かかりやすい病気やけがについて

【獣医師監修】猫のしっぽの骨について解説!特徴や機能、かかりやすい病気やけがについて

猫のしっぽの骨は、個体によって数が異なり、長さもそれぞれ違います。猫のしっぽの骨は、生きる上で大切な体のパーツでもあるため、強く引っ張ってしまったり事故や怪我によって損傷を受けてしまうと下半身麻痺による障害をおこす恐れがあります。繊細で大事なパーツである猫のしっぽの骨にはどのような構造や役割を持っているのでしょうか?

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫のしっぽの骨の構造

猫のしっぽと人の手で作ったハートマーク

猫の種類や個体差によりますが、しっぽの骨の数が少なく、長さが短い猫もいますし、逆にしっぽの骨の数が多く長い猫もいます。

猫のしっぽには尾椎と呼ばれる小さく細い骨が複数連なっており、しっぽを支えてくれる大事な骨があります。

尾椎の骨の数はそれぞれ個体差によって異なるため、18〜23個程といわれています。

しかし、元々しっぽがないに等しいくらい極端にしっぽが短い種類であるマンクスは、しっぽの骨の数が4個ほどしかありません。

また、しっぽが短い猫のジャパニーズ・ボブテイルという猫種がいたり、生まれつきしっぽの先端が曲がっているかぎしっぽを持つ猫がいたりと、多種多様に存在しています。

また、猫のしっぽを支える骨である尾椎には、しっぽを動かす4つの筋肉、あるいはしっぽの素早い動きがとれる8つの筋肉からできており、尾椎の周りにそれぞれ配置されています。猫のしっぽの骨を動かす筋肉は以下のような種類があります。

  • 内背側仙尾筋
  • 内腹側仙尾筋
  • 尾横突間筋
  • 外背側仙筋
  • 外腹側仙筋
  • 直腸尾筋

猫のしっぽの骨の特徴

木のフェンスの上を歩く猫

保温効果

猫は暑さに強い分、寒さに弱い動物です。猫のしっぽには防寒具として保温する役割を持っています。

気温がおよそ15度以下になると、お腹を冷やさないように体温を維持させるため、猫は体を丸めます。そのときにしっぽをマフラーのように体に密着させて使い、体温を維持させています。

体のバランスを保つ

猫のしっぽの大きな特徴として体のバランスを保つ働きを持っています。

しっぽを素早く動かすことで、骨盤の位置を調節することにより、体のバランスを崩すことなく、細い道や不安定な所でも落ちたり、足元が滑ったりすることなく歩くことができます。

ある調査では、猫のしっぽの骨の数が少なく短い猫の方が、落ちる確率が高いといわれています。確かにしっぽの骨の数が多く長い方が、大きくしっぽを動かすことができるので、優れたバランス力をとれると考えられます。

また、走るときや高いところからジャンプして飛び降りるときも、猫はしっぽを使ってバランスを調整しています。

マーキング

猫のしっぽには、相手に自分の縄張りや所有権を示すマーキングとしての役割があります。猫は顎下や頬、額など体の至るところに自分の匂いを発する臭腺が豊富にあり、擦りつけることで自分の匂いをつけます。

しっぽにもその臭腺があるため、家具や飼い主さんなどに対してしっぽも使って、体を擦りつけて自分の匂いをつけて残しているのです。

感情表現

甘えたいときや怖いとき、イライラしているときなど、感情によって猫はしっぽの動き方が様々で、感情表現する役割も持っています。

甘えているときや嬉しいときにはしっぽをピーンと立てたり、恐怖心があるとしっぽを足の間に巻き込んだり、しっぽを大きくバタバタと激しく動かしているのはイライラしているときなど、しっぽの動き方でそのときの猫の気持ちが読み取ることができます。

猫のしっぽの骨に関わる病気や症例

エリザベスカラーをつけている猫

猫ふんじゃった症候群

猫の骨と筋肉を滑らかに動かしているのは、しっぽ全体に通っている尾骨神経です。
この尾骨神経はしっぽ以外の骨盤神経や下腹神経、陰部神経などの重要な神経と骨盤に近い部分に繋がっています。

そのため、しっぽを強く引っ張ってしまうと尾骨神経と繋がっている他の神経にも悪影響をあたえてしまい、歩行障害や・排泄障害、下半身の麻痺などを起こす危険があり、これが「猫ふんじゃった症候群」です。

交通事故

野良猫や外に出入りする猫は車との接触による交通事故により、しっぽを踏まれたり巻き込まれたりしてしまう危険性があります。

交通事故によりしっぽや足の骨が骨折したり、衝撃度やぶつかった部分によっては内臓に損傷をあたえたりして、命を落とすこともあります。

しっぽの骨がむき出してしまったり、折れ曲がってるなど骨折したりしている場合は、包帯やギプスで患部を固定しますが、猫のしっぽはよく動く部位でもあり、排泄の妨げにもなるためなかなか固定するのが難しく、血行不良で壊死することもあるため、状態によっては切断しなければいけません。

ドアにしっぽを挟まれたり、足で踏まれたりする

日常生活で猫のしっぽの多い事故としてドアを閉めたときにしっぽを挟んでしまったり、足元にいることを気づかずに誤ってしっぽを踏まれたりしてしまうケースです。

勢いよく閉め、しっぽを挟み骨が折れてしまったり、神経を損傷してしまったりする場合があるため、ドアストッパーをつけるなど、しっぽを踏まないように足元に注意することです。

しっぽを強く引っ張ってしまったり、骨折による事故により猫のしっぽが曲がっていたり、触ると痛がるまたは反応せず動かない、自力で排泄ができないなどの症状があれば、しっぽの骨が骨折したり尾骨神経が損傷を受けたりしている可能性があります。

しっぽの損傷がひどく、排泄の妨げになったり、感覚がなく自力でしっぽを動かすことができなかったりする場合は、しっぽの骨の切断を考えなくてはいけません。

まとめ

茶トラのしっぽアップ

猫のしっぽには尾椎と呼ばれる骨が複数個連なっています。尾椎の骨の数は個体差によって異なるため、しっぽの骨の数が少ない猫もいたり、骨の数が多い猫もいたりします。

猫の尾椎にはしっぽを動かす4つの筋肉、またしっぽを素早い動きがとれる8つの筋肉から成り立っています。

猫のしっぽには体温の保温効果やマーキング、体のバランスを保つ、感情表現と様々な役割を持っています。

また猫のしっぽ全体に通っている尾骨神経には骨盤神経や下腹神経、陰部神経などの重要な神経と骨盤に近い部分に繋がっています。

交通事故やドアにしっぽを挟んだり踏まれたりすることによる骨折や、しっぽを強く引っ張ってしまうことで尾骨神経と繋がっている他の神経にも悪影響をあたえてしまい、歩行障害や・排泄障害、下半身の麻痺などを起こしてしまいます。

猫のしっぽは非常にデリケートで重要な部位でもあるため、外に出さず室内飼いにしたり、ドアストッパーをつけたり、移動する際は足元に目を向けるなど、注意することが大切です。