猫の去勢後の食事選びのポイント
- 猫の肥満を予防できる食事
- 猫の下部尿路疾患の予防ができる食事
- 肉や魚などのたんぱく質が豊富な食事
- 猫の便秘を予防できる食事
去勢後の肥満を防止できる食事か
去勢後、猫は性ホルモンの関係により代謝が落ち、食欲が増すため太りやすくなります。ほとんどの猫が避妊・去勢後、体重が増加する傾向があります。猫は体重が増え、肥満体型になると関節や心臓に負担がかかったり、糖尿病や尿石症などの下部尿路疾患を引き起こしやすくなります。
そのため猫の避妊・去勢後は太らせないように食事管理に注意する必要があります。カロリーや脂肪分を控えている食事をあたえるようにしましょう。ただし、あたえる量が多いと結局はカロリーオーバーとなり太ってしまうため、1日の食事量にも気をつけましょう。
下部尿路疾患に配慮している食事
年齢が若い去勢後のオス猫は、尿石症を発症しやすくオシッコが出にくくなってしまいます。尿石症によりオシッコが全く出なくなってしまうと、腎臓に大きなダメージをあたえてしまい急性腎不全、あるいは末期状態の尿毒症となり最悪の場合は命を落としてしまうからです。
尿石症は食事に含まれているミネラル成分のカルシウムやリン、マグネシウムの含有量やそのバランスが悪いことが原因で発症するといわれています。
そのため去勢後の猫には、下部尿路疾患をケアできる食事を選ぶのがおすすめ。理想的な配合バランスはカルシウム:リン:マグネシウム=1:0.8:0.08といわれています。量やバランスよく入っている食事をあたえましょう。
またあまり水分をとらない猫は、尿石症や膀胱炎にかかりやすい傾向があります。特に気温が低くなる冬場は、飲水量が低下しやすくオシッコが濃縮してしまって泌尿器疾患になりやすいといわれています。去勢後の猫は特に、ドライフードをお湯でふやかしたり、ウェットフードをあたえるなど、水分を多くとるようにすることも大事です。
肉や魚がメイン
去勢後の猫は太りやすくなることからカロリーや脂質を控えた食事が好ましいですが、猫は肉食動物なのでタンパク質が豊富に入っている食事を選ぶことも大切です。
特に去勢後の猫には動物性タンパク質が多い、肉や魚をメインにしている食事が好ましいです。
フードに記載されている原材料は使用量が多い順番になっているため、1番最初がチキンやサーモンなど肉・魚になっているか確認しましょう。(食物アレルギーがある場合は獣医師に相談してフードを選ぶようにしてください)
食物繊維の不溶性・水溶性バランス
体質や骨格にもよりますが、猫は去勢後でなくとも便秘になりやすい動物です。そのため人の便秘症と同様に、猫も食物繊維が豊富に入っている食事が良いといわれています。
ただしセルロースなど水に溶けない不溶性食物繊維を多く取りすぎてしまうと、返って便秘を悪化させてしまう恐れがあります。そのため餌に含まれている不溶性食物繊維の量に気をつけ、水溶性食物繊維とのバランス量が良い食事をあたえることです。
猫の去勢後におすすめな食事3選
ロイヤルカナン メールケア
去勢後~7才頃までの猫用のフードです。去勢後の猫は太りやすく、下部尿路疾患になりにくくするため炭水化物と脂肪分の含有量を調節しており、体重増加にも配慮しています。また低カロリーを重視してしまうことで筋肉量が減ることを防ぐため高タンパクになっています。
尿石症になりやすい去勢後の猫のために、ストラバイト結石およびシュウ酸カルシウム結石を考慮。他にも不溶性食物繊維であるセルロースや、水溶性食物繊維のサイリウムが入っており便秘および下痢に対しても配慮しています。
カナガン
猫は食事にこだわりが強く、味や食感、風味などで食いつきが悪くなったり、フードに飽きやすいです。そのような去勢後の猫でも食べてくれるように、こだわってつくられています。
カナガンの大きな特徴としては、新鮮で高品質なものを原材料として使っていること。去勢後の猫も含め全ての年齢ステージの猫でも対応しています。
グレインフリーで香料や着色料などの添加物も使っていないため安心してあたえることができ、獣医師からも高い評価をもらっているフードです。
他にも高タンパク質な乾燥チキンを使っていたり、消化が良いサツマイモや結石予防に効果があるクランベリーなど安心・安全面とともに猫の健康をしっかりサポートしてくれます。
ニュートロ 避妊・去勢猫用 アダルト 白身魚
代謝が落ちて消費カロリーが低くなり太りやすくなってしまう避妊・去勢後の猫のため、カロリーや脂質を控えめに調節しています。また第一主原料に白身魚を使用することで、高タンパクなだけでなく味に好みがある去勢後の猫も食べてくれるように美味しさを追求してつくられています。他にもミネラルバランスを調整していたり、バランスよい食物繊維により腸内環境を整えてくれるように配慮されています。
猫の去勢後の食事の与え方
食事回数を増やす
元々猫はネズミや小鳥などの小動物を捕食する狩猟動物なため、少しずつ食べる少量頻回給餌です。そのため基本的には食べる量を自身で調節することができるといわれていますが、中にはフードをある分だけ一気に食べてしまう子もいます。
更に去勢後は代謝が落ちるだけではなく、ホルモンバランスの変化から食欲増進する傾向があります。そのため1日1回だけだと空腹時間が長くなり食欲を増してしまうため1日の食事量を複数回に分ける方法もよいでしょう。1日2回や3回にしたり、食欲旺盛な子は1日4回などと食事回数を増やすことで、去勢後の過度な食欲を抑えることができます。
1日の食事量を決め、守ること
去勢後の猫は代謝が落ちてしまうため、手術を受ける前と同じ食事量だとしても、消費カロリーより摂取カロリーの方が上回ってしまい体重が増加します。そのため1日にあたえる食事量を決め、その量を守ることが大切です。
フードに体重あたりの1日の給与量が記載されているので、その猫の標準体重および理想体重から食事量を決めます。ただしこれはあくまでも目安であり、年齢とともに寝る時間が増えるなどして消費カロリーが下がり、体重は増えやすくなります。そのため猫の生活スタイルをふまえて食事量を調節することが大切です。
そして多くの飼い主がやりがちなのが、目分量であたえてしまうことです。ほんの数グラムかもしれませんが、人よりもはるかに体が小さい猫にとっては量が多くすぐにカロリーオーバーとなるため、必ずグラム数を測ってからあたえることが重要です。
猫の食事の切り替えに時間をかける
去勢後に一気にフードを変えてしまうと消化不良となり、下痢や軟便、吐くなどの症状が起こりやすいです。また猫自身も今まで食べていたフードではないために食いつきが悪くなってしまいがちです。特に避妊・去勢後のフードは子猫用フードとは違って、カロリーや脂肪分などが調整されているため、味や満腹感が物足りなく感じてしまいがちです。
今まであたえていたフードと一緒に混ぜてあたえ、徐々に新しい去勢後用フードの割合を増やしながら慣れさせていき、およそ1~2週間ぐらい時間をかけて切り替えていきましょう。
まとめ
去勢手術を受けることは、望まない妊娠を防ぐだけではなく、生殖器系の病気の予防や尿スプレーによるマーキング行為の抑制などいくつもメリットがありますが、去勢後は性ホルモンの関係により太りやすくなります。
実際に去勢後の猫のほとんどが体重が増え、肥満傾向です。肥満体型になってしまうと糖尿病や尿石症などの様々な病気のリスクを高めてしまうため、去勢後は猫の体重が増えないように食事管理する必要があります。
そのためカロリーや脂肪分が調節されていたり、去勢後の猫がかかりやすい泌尿器系疾患に対してミネラルバランスを調整している食事を選ぶことです。猫は肉食動物なため豊富なタンパク質が入っていたり、便秘・下痢に対して不溶性・水溶性食物繊維がバランスよく調整されていることも大事です。最近では多くのメーカーが年齢や体質別にフードを販売しているため「避妊・去勢後用」のフードを選ぶとよいでしょう。
子猫用フードから避妊・去勢後用のフードに切り替える時に一気に全部変えてしまうと消化不良を起こしたり、猫自身もいつも食べているフードではないため警戒しストレスとなってしまいます。今まで食べていたフードと一緒に混ぜてあたえ、猫の状態や様子をみながら時間をかけてゆっくり新しい去勢後用のフードに切り替えていくことが大切です。