猫を去勢させる理想的な時期
生後 | 6か月後以降 |
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体重 | 2kg以上 |
猫の去勢時期は生後6か月後以降,体重2kg以上になってから検討するのが望ましいと言われていますが,猫の体格によってはもっと早い時期に猫の去勢を行う病院もあります。月齢や体格によっては,手術は難しい場合もありますので獣医さんとよく相談することが大切です。
猫の去勢の時期は子猫のうちがベストです。猫の去勢手術を行う時期として理想的なのは,初めての発情期が来る前に済ませてしまうことです。
一度発情してしまうと問題行動を抑え辛くなる
発情期を迎えることなく去勢をする理由はマーキングや発情による問題行動は,一度経験してしまうと去勢後も引き続き行うことが多いからです。雄猫の発情が一度でも起こってしまってから猫を去勢してしまうと,せっかく去勢しても発情による行動を抑えることが難しく,発情期特有の行動が残ることがあります。オス猫は発情することにより,メス猫に会いに家から出て行こうとします。
メス猫の発情期に合せて雄猫も発情する
猫の去勢時期はできるだけ子猫のうちに済ませてしまうことが理想的ですが,それはどうしてなのでしょうか。オス猫はメス猫が発情すると,そのフェロモンによって誘発されて発情します。メス猫の発情期は2月から4月の間と6月から8月の間に起こりやすいので,オスの猫もその期間に発情しやすくなります。
雄猫に去勢をするメリット
性格が穏やかになる
性格が穏やかになるなどの変化も見られます。オス猫にしてみても発情期に家に閉じ込められてメス猫と会うことができないのは,とてもストレスになります。猫の去勢時期が早いのは可哀想(かわいそう)とついつい思いがちですが,長い目で見ると猫の去勢時期は早いに越したことがありません。飼い主さんはもちろん,猫にとっても去勢時期は早めの計画を立てましょう。
マーキングをしなくなる
オスの猫は去勢することで,いろいろなところに臭いのきついオシッコをスプレーのようにかけて縄張りを示すマーキングを抑制させる効果があります。
家出をしなくなる
さらに,メス猫を求めて家出してしまう心配もなくなります。
病気のリスクを減らす
また,猫の去勢時期が遅くなるとその分去勢によって防ぐことができたであろう病気にかかるリスクが高くなります。
猫を去勢しないデメリット
- 大きな声で鳴く
- 攻撃的になる
- おしっこを家の中で吹きかける(スプレー行動)
また,家から出ることができないと家の外にいる猫と鳴き声でコンタクトを取るので,発情期独特の大きな声で鳴くようになります。 攻撃的になり,おしっこを家の中で吹きかけるスプレー行為をするのも特徴です。できればこれらの行為は勘弁してもらいたいところですよね。
ケガ・病気になりやすい
攻撃的になることでは,発情期に他のオス猫と喧嘩(けんか)になりやすく,ケガなどから病気のウィルスをもらってくることもあります。
前立腺肥大
猫の去勢時期を早くすることは,発情による問題行動を抑えることだけでなくオス猫が罹(かか)りやすい病気の予防をすることにもつながります。オス猫の罹(かか)りやすい病気として「前立腺肥大」が挙げられます。これは尿道から大腸菌やブドウ球菌などの細菌が前立腺に入り込むことで起こる病気です。
吐いたり熱が出たり,食欲がなくなってしまったり,お腹(なか)の下の方が痛くなってしまうので,ぐったりとしてしまいます。前立腺に膿(うみ)がたまり命にも関わる病気にもなります。去勢をしていないオスの老猫が一番罹(かか)りやすい病気であると言われていて,予防するためには猫の去勢時期を早めにすることが効果的です。
精巣腫瘍
また,猫の去勢時期を早くしておくことで精巣腫瘍の予防をすることもできます。精巣腫瘍とは精巣にできてしまったガンで,もしもこの病気になってしまったら手術や化学療法などで治療をしていかなくてはなりません。猫の去勢では精巣自体を取り出しているので,この病気になる心配がありません。
子猫に去勢のための手術をするのは可哀想(かわいそう)と思うのなら,猫の命に関わる病気の予防をするために早い時期に去勢をすると考えてみてはいかがでしょうか。
猫の去勢手術の費用
猫の去勢手術では時期を関係なくおよそ1万円から2万円の間くらいが相場です。ほかに鎮痛剤や抗生剤などの処方があり費用が別途かかります。
ただし,動物病院では,他の病院と相談して手術代を含む治療費などの値段を決めることが法律違反となるため,病院によって費用に多少の差が出ることがあります。
猫の去勢の費用は手術を行う時期に関係ありません。子猫のうちは費用が安くなるとか,太っている猫だから費用が多くかかるという訳ではないのです。
猫の去勢手術は日帰り可能
去勢手術は,一般的にメスの避妊手術よりは安く設定されています。これはオスの場合,全身麻酔をした後,周辺の毛を剃(そ)り,睾丸(こうがん)の摘出を行いますが,開腹手術ではないため,手術時間が短く手技もそこまで難易度が高いものではないからです。
そのため,術後1日は入院をすすめる病院はありますが,麻酔が覚めたら帰宅できる場合も多いようです。
去勢手術をさせた後のケア
また,病院では必ず手術前の検査を徹底的に行い,傷口を舐(な)めることができなくするようにエリザベスカラーを処方したり,膿(う)んでこないように抗生剤が処方されたりします。手術前に検査も行わず術後のケアも何もなし…というのは通常考えられません。
安ければ良いという考えで手術を受ける方もいますが,多少費用が掛かっても安全に手術を行ってもらいたいですよね。自治体によって補助をしてくれる地域もありますので,そこからまず調べてみて,病院に費用の確認をしてみてはいかがでしょうか。
猫の去勢時期と費用は関連がありませんが,信用できる病院でなるべく早いうちに手術してもらってくださいね。
まとめ
猫の去勢とは,オス猫の睾丸(こうがん)を切り精巣を取ってしまうことで妊娠させる機能をなくしてしまうことです。猫を飼うからには去勢手術をすることは,望んでいない妊娠を避けること以外にも怖い病気から守ってあげることができます。
猫の去勢をするならば時期は早ければ早いほど良いです。生後6か月から猫は去勢ができますが,場合によってはもう少し早い時期でも手術をしてもらえるようです。
猫の去勢する時期が遅くなることで,結局室内だけで飼育されている猫にも飼い主さんにもストレスが生じることになります。猫の去勢は早ければ高いという時期的な費用の差もありませんので,いつかは去勢をしなきゃ…と考えているのであれば一度かかりつけの獣医師に相談してみましょう。