雨の日に現れた消えそうな命
出会いは突然で5年の前の雨の日、田舎のトラックの往来も多い道路での事でした。真っ黒い塊が、コロンコロンと左端から道路に転がってきました。
たまたまその時、車線には私だけだったので、すぐ車から降りて近寄ると凄い声で「ギャー、ギャー」と鳴いて顔はパンパンに腫れ、両鼻からは血が出ていました。
急いで病院を探し診てもらうと、低体温症になっているのでこの子の生命力次第ですと告げられました。2週間ほど入院をした後、元気に回復しました。この子の生命力もありますが病院の先生や看護師さんのおかげと、本当に感謝しています。
里親に出す
我が家では3匹は無理だと考えていたため、里親さんを探す事に決めて退院から1ヵ月後にボランティアさんの開催している里親会に参加しました。
この子が一番小さくて可愛かったですね。プロフィールを書き、私は優しい里親さんが見つかる事を願っていました。何組もがこの子の前で立ち止まり、メモを見ると去って行きました。
そんな中、1組のご家族がこの子を気に入ったのか何度も見に来てくれました。実はこの子のプロフィールには、「この子は弱視でトイレもまだ上手くできません」と書いていました。
そのご家族は、前に飼っていた猫に似ていると気に入ってくれましたが、共働きで日中一匹で置いておくのは可哀そうと話していました。真剣に考えてくれている事が嬉しかったです。
誰かに貰われたくない!
里親会に参加して2時間程たった頃には私はソワソワし始め、この子が貰われてしまったらどうしようと不安になっていました。もうこれ以上ここには居れないと、気づけばこの子を連れて帰って来てしまいました。
あの日から、この子はラッキーと名付け、我が家の家族の一員です。
障害のある猫とどう暮らすか?
障害のある動物を飼うのが初めてだった私は、目が見えない、トイレを決まった所で出来ないという大きな問題をどう乗り越えればいいものかと悩みました。
目が見えない
まず目が見えない事への対処法としては、危ない物は片付け、ぶつかりそうな所にはケガをしないように配慮しました。
トイレが出来ない
問題はトイレでしたが、休日はラッキーを1日中観察して、トイレのタイミングが分かりました。この子はトイレに行きたくなると、その場をグルグル回るのです。
それを知ってから、グルグル回るとトイレシートの場所まで連れて行くという行動を根気強く3カ月以上続けました。その甲斐あって今では7割から8割は自分でシートの所まで行けるようになりました。
ここまで出来るようになるには大変で、1日にカーペットを2回洗濯する事は何度もありました。今でも時々ありますが、そこはラッキーにも私自身にもドンマイと言い聞かせています。
先住犬と仲良しになった猫ラッキー
我が家には先住犬と先住猫がいましたので、その子達がいた事はラッキーにとって良い環境でした。動物には社会化期という時期がありその時期に他の動物や人間に多く関わる事で、その子の性格に大きく影響するからです。
社会化期にしっかり他の動物と触れ合った子の性格は、穏やかでフレンドリーな子が多いのが特徴で、ラッキーも2匹のおかげで性格は人を怖がらず、のんびり屋でマイペースな性格です。
先住猫にもメリット
ラッキーが来てくれたことで、先住猫にとってもメリットがありました。先住猫は神経質で臆病でストレスを抱えやすく、私と先住犬以外には心を開きませんでした。
ラッキーに慣れるまでにも1年かかりましたが、今は良き相棒として受け入れたようで、グルーミングも欠かさずお互いにし合いっこしています。少し先住猫も神経質な性格が緩和されている気がします。ラッキーのマイペースな性格が役にたちました(笑)。
現在のラッキーの様子
ラッキーも5歳になり、お兄ちゃんになりました。貫禄はまだありませんが、顔つきが大人になりました。
普段から先住猫の後をストーカーのように付きまとっているので、たまには私も構ってほしいと抱きつくのですが「しょうがないなぁ」という感じで、2、3回ペロペロすると「もういいでしょ」と言わんばかりに逃げられます(笑)。
ただ、寝る時には私の傍で寝てくれるので、その時は至福の時です。
毎日、先住猫と行われるK1対決は傍で見ていて毎回笑えます。ラッキーは表情が豊かで、よくおしゃべりもします。鳴き方もいろいろあり悲しそうに鳴くんですが、それが何故か笑えます。
それは、この子のキャラのせいかもしれません。この子達がいてくれるおかげで、毎日幸せです。
まとめ
最初、愛犬と愛猫と私だけだった我が家に生後1ヵ月くらいのラッキーが来てから、いろんなハプニングもありましたが、今となっては楽しい思い出となりました。
先住猫も先住犬も保護した子達です。きっと出会うべき運命で私達は出会ったのだと信じています。ラッキーも含めて、保護する際にはいくつもの奇跡が重なり保護することができました。
世の中は動物にとって過酷なことが多いです。それに彼らの寿命はとても短いです。その短い人生を人の温もりに触れて、幸せに寿命を全うして欲しいと思います。これから少しでもいいので、彼らの事を気にかけていただけると嬉しいです。