猫の多頭飼い『適切な頭数』は何匹?

明らかなキャパオーバーから生じる多頭飼育崩壊の話題を耳にする度に、心が痛む猫飼いさんも多いことでしょう。そもそも猫は多頭飼いに向く動物なのでしょうか。
向き不向きでいうならば、不向きに近いでしょう。元々猫は単独で生活する生き物なので、ひとりで悠々自適な生活を送りたいと思っているはずです。
ただし、住み心地の良い環境や適切な頭数を超えない範囲であれば、共存も不可能ではありません。
その理想とされる『適切な頭数』は3匹です。
主な理由としては、「猫同士が適度な距離を取れること」「健康状態を把握しやすいこと」などが挙げられます。
もちろん多頭飼いに適した環境(例えばある程度の部屋数がある)が整っていればその限りではありません。3匹というのは、あくまでも飼育しやすい頭数の目安です。
猫同士が幸せになる『多頭飼い』のポイント5つ

ここからは、実際に多頭飼いをする際のポイントを5つ紹介いたします。
猫同士が平和に、そして幸せに過ごせる環境はどう整えてあげればいいのでしょうか。
1.『安全基地』があること

猫には縄張り意識があるため、多頭飼いにおいては各々の『安全基地』が必要になります。例えばタンスの上やベッドの下、キャットタワーの小部屋など。
それぞれがひとりになりたい時に邪魔されない環境を保証してあげましょう。そのためにも愛猫の性格を把握し、好みの場所を明け渡してあげることが重要なのです。
2.飼い主さんが干渉しすぎないこと

猫同士の関わり合いについては、極力干渉しすぎない方が良いでしょう。小競り合い程度の喧嘩であれば、見守る程度に留めておくことも大切です。
ただし常にいじめられてる猫がいるケースや、もの陰に隠れて出てこられない猫がいるケースは見逃せない事案です。この場合は明らかに相性が悪いと思われるので、生活拠点を分けてあげてください。
3.トイレの動線や数に配慮する

猫はデリケートな生き物なので、特にトイレには気を使ってあげてください。
まず個数としては、猫の頭数+1個は必ず用意してあげましょう。砂に関しては、好みが合えば統一で大丈夫です。
設置場所は「臭いがこもらない」「人目につかない」「室温の影響を受けない」ことを意識してください。猫は、極端に暑くても寒くてもトイレを我慢してしまいます。
また最も重要なポイントは、苦手な猫と鉢合わせにならない動線が取れていることです。トイレにたどり着くためのルートが複数あると行きやすくなります。
場合によっては柵を用いてスペースを分け、相性が悪い猫同士がトイレを共有しないように配慮してあげてください。
4. 食事の取り方でチーム分けをする

ある意味多頭飼いで最も大変なのが『食事』です。トイレ事情とは異なり、全ての猫に対して同じものを与えるわけにはいかないケースがほとんどだからです。
猫達が安心して食べられる環境を整え、皆が適切な栄養を取れるように配慮しなければなりません。そのために、次のようなことを意識して工夫してみてください。
- 食べるペースに合わせて食事部屋を分ける(仕切りで分ける方法でもOK)
- 同じように年齢ごとに分けることも重要
- 総合栄養食や療法食でもチーム分けをする
要は似た傾向の猫同士や、同じ系統のフードを食べる猫同士でチーム分けをするということです。
特に健康な猫が療法食を食べてしまうことは避けなければなりません。場合によってはケージがあると便利です。療法食を必要とする猫は、ケージ内で食べる習慣をつけると見守りやすくなります。
5.平等に愛情を注ぐ

猫にもそれぞれ個性や生まれ持った気質のようなものがあります。だからこそ猫同士は棲み分けが必要になる場合があるのですが、注ぐ愛情は平等でなければなりません。明らかなえこひいきは、言葉を交わさずとも伝わります。
飼い主さんにとって都合が良い猫(例えばおっとりしていて邪魔をしない猫)ばかりを優遇したり、逆にいたずらっ子を目の敵にするような態度は取らないように心がけてくださいね。
それぞれの良い面を褒め、分け隔てなくスキンシップを取るようにしてください。
まとめ

多頭飼いにおいて、猫達が幸せに過ごせるように配慮すべきポイントを5つ紹介いたしました。
これを実現するにあたって可能な範囲、適切な頭数を考慮すると、3匹が理想という理由が見えてくると思います。
「猫達が安心して過ごせること」「我慢や遠慮をすることなくのびのびできること」「体調不良にいち早く気づいてもらえること」がイエネコの理想の暮らしです。
これから多頭飼いを検討している方は、ご自身の経済状況はもちろんのこと、『猫の幸せ』を一番に考えてキャパオーバーしないように気をつけてください。