猫の夏場の留守番について|どんなことに注意すべき?起こりうるトラブルまで【現役獣医が解説】

猫の夏場の留守番について|どんなことに注意すべき?起こりうるトラブルまで【現役獣医が解説】

長期休みに入り、飼い主さんも連休や夏休みで旅行や楽しいイベントを計画する機会も増えるでしょう。同時に猫の留守番の機会が増えることになりますが、餌と水さえ置いておけば数日はお留守番が可能という話も聞こえてきます。猫ちゃんの夏場のお留守番は、実際どんなことに注意すべきなのでしょうか。

お留守番が必要…何が必要?

窓の外を眺める猫

猫ちゃんのお留守番ですが、生命活動に必要なものと言えばごはんとお水というイメージを持ちがちです。しかし気を付けたいことは他にもたくさんあります。どんなことが必要となるのでしょうか。

ごはんや水を与える

生活をするために最低限必要なものと言えるのがごはんと水です。しかし、ただ与えれば良いわけではありません。夏場の給餌や給水は特に注意が必要です。

室温が上がり、細菌が繁殖しやすい状況になることや、フードに含まれる脂質が長時間空気に触れてしまうと酸化をするため、フードの質が劣化してしまうことなど、猫ちゃんの体に害を与える危険性のある状況が作られやすくなります。

きちんと環境や品質管理をしたうえで、オートフィーダーなどのご飯を放置しづらい方法で適切に給餌や給水を行う必要があります。

トイレなどの衛生管理

猫ちゃんはトイレをきちんと意識できる子が多いため、粗相によるトラブルは起きにくいですが、細菌の繁殖しやすくなる夏場は特にトイレなどの衛生管理が大切です。

猫ちゃんも安心して快適に過ごせる環境を作ってあげる必要があります。できればこまめに排せつ物を除去してあげる必要があり、長期の留守番で放置してしまうと猫ちゃんのいる空間が悪臭で満ちることで不快に感じることやストレスに感じる場合があります。

猫ちゃんはこだわりが強い生き物であり、きれい好きな子も多いです。快適に過ごせるよう、どうしても留守番をさせるのであればシステムトイレなど自動で清潔にできるような配慮をしてあげましょう。

猫ちゃんの健康管理

長期の留守番になると猫ちゃんの健康管理もとても大切になります。

猫ちゃんは、小さな変化にも気づきやすく、ストレスなどがきっかけで体調不良にもなり得る生き物です。飼い主さんたちの不在に気付き、留守番途中で体調不良に陥る危険性もあります。

また、ご飯が食べられないことで、肝臓に負担がかかり、悪化すると死に直結してしまう危険性もあるというのが猫ちゃんの体の特徴です。

留守番中に元気にしているかどうか、きちんとご飯が食べられているかどうかということを確認してあげることがとても大切です。

カメラなどでも様子の確認は可能ですが、きちんと残さず食べられているか、どこまで元気かということを完全に把握することは難しいでしょう。特に中高齢に差し掛かった猫ちゃんなどは、体の機能の低下なども起こっている可能性が高いです。できれば誰かにきちんと様子を確認してもらうことをおすすめします。

お留守番トラブル…猫だけではなぜダメ?

ぐったりする猫

最低限のお世話であれば、お水やごはんを残すことや最新の家電などを駆使することで何とかなりそうな気もします。しかし、実はそれだけでは埋められない落とし穴がある場合もあります。どんなことを想定しなければならないのでしょうか?

不適切な給水や給餌

お水やごはんを毎日良い状態で与えられることはとても大切です。

自動給水器やオートフィーダーなど、便利なアイテムも多く市販されていますが、どんなトラブルがあるかわかりません。

猫ちゃんが使い慣れていないことで、警戒してお水もごはんも摂取しなくなってしまうことや、給水器やオートフィーダーの不具合などで毎日適切な給水や給餌がされない場合、健康を害してしまう危険性があります。

適切に給水や給餌ができているかという確認が1日1回確認できるだけでも、大きな安心感が得られます。お留守番が長期になればなるほど、万が一給水や給餌でトラブルが起こった場合の猫ちゃんへのダメージは大きくなるため注意が必要です。

猫の健康管理不足

猫ちゃんはご飯を食べない状態でいることで、肝臓の細胞が脂肪へと置き換わり、致命的なダメージになってしまうことのある生き物です。そのため、毎日きちんとごはんを食べているかということを確認することはとても大切です。

また、加齢とともに腎機能が低下することで、腎不全に陥りやすい生き物でもあります。そのため、年齢や持病によってはきちんとお水が飲めているか、排尿ができているかということを観察することは必要不可欠と言えるでしょう。

長期のお留守番になればなるほど、これらのチェックはきちんとこまめに行う必要性があります。

猫ちゃんだけのお留守番では、こまめなチェックを行うことが難しく、帰宅したら体調が悪くなっているということも考えられます。

急な停電などによる暑さトラブル

夏場の室温の上昇による熱中症なども、お留守番で注意すべきトラブルです。

エアコンをつけて準備万端!と思っていても、思わぬ落とし穴も考えられます。

夏は落雷などの気象災害によるトラブルも起こりやすく、他にも地震や台風などで停電が急に起こる危険性もあり、その際にすぐに駆け付けられる距離でなかった場合、エアコンがつかない状態で暑い部屋の中で猫ちゃんが飼い主さんの帰りを待つことになることも想定しなければなりません。

お家を空ける期間が長くなればなるほど、万が一このようなトラブルが起こった場合に致命的になってしまう危険性があります。

お留守番が必要になったらどうしたらいい?

撫でられる猫

様々な危険と隣り合わせのお留守番ですが、一番安心なことは誰か信頼できる人に猫ちゃんのお留守番中のお世話をお願いすることです。

しかし、いざというときにどんな人を頼ったらいいのかわからないという飼い主さんも多いのではないでしょうか。

親戚や知り合いなど猫ちゃんをよく知る人にお願いする

一番猫ちゃんも飼い主さんも安心できるのは、よく猫ちゃんと会っているご家族や親せきの方でしょう。

猫ちゃんは個体差はありますが、比較的警戒心の強い生き物です。普段会ったことのない人や猫ちゃんの日常との違和感を感じると、警戒心を感じたり、大きなストレスとなってしまうことがあります。

猫ちゃんのお世話や、猫ちゃんのことをよく知るご家族や親せき、知り合いの人などの場合、猫ちゃんも飼い主さんも大きなストレスや不安もなくお任せできる可能性が高いです。

しかし、あくまでもプロの方ではありません。何か問題があった際にトラブルに発展してしまう危険性も併せ持っています。

ペットホテル

猫ちゃんを預けるということになって真っ先に思いつくのがペットホテルという飼い主さんも多いのではないでしょうか。ペットショップやトリミングサロン、動物病院でホテルを併設しているところなど様々です。

それぞれに特徴があり、ペットショップやトリミングサロンであれば、特に猫ちゃんのお世話に慣れているスタッフさんも多く、安心できることが長所と言えます。

猫ちゃんの出身のペットショップなどは、小さいころから猫ちゃんのことをよく知るスタッフさんなどがいる可能性もあり、猫ちゃんも存在を認識していると緊張せずにお泊りができる可能性があります。

動物病院であれば、健康面で観察してもらえることもあり、安心感が感じられることが長所と言えるでしょう。特に持病がある子や高齢の子にはおすすめです。

ペットホテルの場合の短所として、慣れていない場所の場合、警戒心や緊張によりご飯を食べないことや排泄を我慢することが体調を崩してしまうことにつながり、精神的な負荷からのトラブルが考えられる点と言えるでしょう。

ペットシッター

鍵などを渡して猫ちゃんのお世話をしてもらうのがペットシッターさんです。猫ちゃんのお世話のプロの方であるため、お世話に関しては安心できることが特徴的です。

ただし、お家というプライベートなエリアに立ち入るため、猫ちゃんがペットシッターさんに警戒心を感じた場合にお家もリラックスできない場所になり得るということや、留守中にお家の中のことをお願いすることになるため、信頼できる方でないとトラブルに発展することもあります。

まとめ

茣蓙の上で寝る猫

猫ちゃんの性格や生き物としての特徴を考慮すると、いつもの環境でお留守番させることが良いのではと迷う気持ちもあるでしょう。しかし、夏場の留守番や長期間の留守番は危険がたくさんです。猫ちゃんの健康を守るためにも、どんな方法が最善か、よく考えて選択しましょう。

お留守番の機会は突然やってくるかもしれません。いざというときにどうするかということを普段から考えておくことをおすすめします。

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