猫も『おなら』をする?

皆様は愛猫の『おなら』に直面したことがあるでしょうか。長年猫と暮らしている筆者は、まだ実際に遭遇したことがありません。
中には、猫がおならをすること自体が初耳という方もいらっしゃるのではないでしょうか。結論から言うと、猫も時々おならをすることがあります。
そのほとんどは生理現象によるものです。その正体は、食事によって体内に取り込まれた食物が腸内で発酵される際に生じたガスです。
音声としては、『プスッ』や『プシュッ』と空気が抜けるような音であることが一般的なようです。
ただし、猫は純粋な肉食動物であるがゆえに、食事の内容によっては驚くような悪臭を放つのだそう。これ自体も自然発生的なものなので、基本的には問題ありません。
『おなら』に現れる健康サイン4つ

猫がおならをするタイミングに関しては、特に決まりがありません。寝ている最中に『プスッ』と音を立てることもあれば、歩きながら"すかしっぺ"をすることもあります。
そんな猫のおならですが、時々病気が潜んでいることがあります。ここからは、単なる生理現象とは異なるおならに現れる健康サインを4つ紹介いたします。
1.ストレス

猫は繊細な生き物なので、思いもよらぬ日常の変化がストレスにつながることがあります。その過程でダメージを受けやすいのが腸です。
腸内で善玉菌と悪玉菌のバランスが乱れ、悪玉菌が優勢になると軟便や下痢、血便などの症状を呈します。そして、便とともにおならが出ることも珍しくありません。
軟便や下痢便もさることながら、この場合のおならは強烈な臭いを発することが多いです。「いつものおならと違う」「便の状態が異なる」と感じたら、かかりつけの動物病院に相談してください。
2.慢性下痢

腸炎が慢性化した結果、頻繁に下痢が出る状態を『慢性下痢』といいます。この慢性下痢においても、頻繁におならが出るケースが珍しくありません。
場合によっては嘔吐の症状が現れることがあります。愛猫の下痢が慢性化した原因を把握し、その時々における適切な対処法を獣医さんから教わっておくことが大切です。
気になる様子が見られたら、すぐに報告することも重要です。おならはその指標の1つにもなるでしょう。些細な臭いの変化にも目をつぶらずに、詳細をお話ください。
3.腸閉塞

腸閉塞とは誤飲や腫瘍などがきっかけとなり、消化管の運動が完全にストップしてしまう恐ろしい病です。放置すると命にに関わります。
そんな腸閉塞においては激しい嘔吐が目立つ他、お腹の張りなどがみられることがあります。ひどくなると腸管を圧迫し、血流が途絶え、やがては腸が破れてしまったり、壊死してしまうことがあります。。
当然ガスも滞留することになるため、ここでもおならがでることがあります。生理現象における臭さの比ではない悪臭が感じ取れるでしょう。
「突然ぽっこりお腹になった」「異様に臭いおならが出ている」「頻繁かつ激しい嘔吐がある」などの症状が見られたら診察を受けてください。
4. 膵外分泌不全症

おならから感じ取れる不調は、胃腸のみに留まりません。消化酵素を分泌して消化や吸収を助ける『膵臓』にトラブルが発生した場合にも、体はSOSを発信してきます。
膵外分泌不全症は消化不良を引き起こし、細菌の過剰な増殖を招く病です。体重減少や下痢、おならなどの症状が出ます。
「愛猫が急に痩せた」「お腹の調子が悪い」「おならが目立つようになった」などの現象が現れた場合は、早めに診察を受けてください。
まとめ

『おなら』はちょっぴり恥ずかしい、些細で身近な生理現象です。猫の場合は羞恥心はないと思いますが、飼い主さんはびっくりすることもあるでしょう。
生理現象におけるおならに関しては「一度にガツガツ食べさせない」「ストレスを予防する」「ごはんを変える」などの対処によって軽減させることが可能です。しかし、おならは無くすことができないため、特に問題がないものは穏やかな気持ちで受け入れてあげましょう。
ただ、今回紹介したような病気が疑わしいケースでは、"たかがおなら"と軽視せずに診察を受けるようにしてください。
猫は言葉を駆使して体調不良を訴えることができません。おならもSOSの信号として、愛猫の健康を守るためのツールとして役立ててみてください。