救出された猫ココとは
ココちゃんは排水溝から救出された猫
救出された猫ココちゃんとは2013年9月1日、大阪府吹田市の静かな住宅街で、あるご夫婦が救出した猫です。その日、夫婦が外から異変に気が付き様子を見にいくと、雨水を地下に流すための雨水溝と呼ばれる溝から子猫の鳴き声が聞こえてきました。
中を覗いてみると、直径15センチ程のパイプが横に伸びていて、子猫の鳴き声は、なんとそのパイプより更に奥から聞こえていたそうです。近くにマンホールがあったことから道路の下には配水管が通っていることがわかり、直径15センチ程のパイプの奥には、その配水管に続く竪穴があるはずだと考えたご夫婦は、子猫がその竪穴に落ちてしまったのではないかと推測したのです。
しかし、その場ではどうすることも出来ず、その日は救出できず推測で終わってしまいました。夜になっても聞こえてくる子猫の鳴き声で、心配で眠れずにいた奥様。それを見ているのが辛かったご主人。
猫の救出を決意
翌日9月2日になり、大雨で洪水になるというニュースを見て、ご夫婦は消防に子猫の救出の依頼をします。しかし、やはり竪穴に子猫が入ってしまっているのではないかとのことで、「子猫を救出するには道路を掘り返すしか方法はない」と言われてしまったのです。
8日前、ゲリラ豪雨で関西地方の各所に浸水被害が出ていたこともあり、今回の大雨でまた大きな被害が出るかもしれないと思うと、ご夫婦は消防隊員を引き止めることはできなかったそうです。
市役所や保健所も同じ状況だと思い、子猫の救出依頼の連絡は入れることが出来ませんでした。そして、同じようなケースで救助したことがないかインターネットで検索すると、約2mの深さの井戸に落ちた猫を結び目を作ったシーツで救出した事例を発見することができたのです。
猫を救出した方法
子猫の救出のため場所を測定した
翌日9月3日、ご夫婦は自分たちで子猫を救出する為、前日調べた方法で子猫の救出に取り掛かり行動を開始します。まずは救出する子猫がいる場所までロープを垂らして長さを測ろうとします。
そこで、重りを付けたロープをホースで押し込むことにしました。これなら自由に曲げられて、横に伸びるパイプにも、直角に曲がる部分にも対応できると考えたのです。
計測の結果、横に伸びるパイプを2メートル奥へ進むと、深さ1.3メートルの竪穴があることがわかりました。合計すると、子猫が落ちた場所まではおよそ3.3mだと分かったのです。
救出する子猫がつかめるロープを作る
2人はシーツを細かく割き、救出する子猫が爪を引っ掛けてよじ登れるよういくつもの結び目を作ったロープを作成しました。先には竪穴に落とすための重りと、餌となるソーセージを結び付けたのです。
その後ホースを使い、何とか細かく割いたシーツを押し込むことに成功しました。しかし、深夜になっても子猫の鳴き声は地下から聞こえてきます。奥様は気が気でなく、ほとんど眠れなかったと言います。
救出するためのロープの先にある餌が無くなる
翌朝3月4日、様子を見にいくものの、鳴き声はまだ地下から響いています。しかし、シーツの先端に結びつけたソーセージは無くなっていることがわかりました。それと共に奥様には、「この暗くて水浸しの中で子猫が大きくなって生き延びても・・・」と強い葛藤に襲われることになります。
なかなかうまく行かない子猫の救出活動
その後ご主人はネズミ捕りシートを地下におろし、子猫を張り付け救出することを思いつきました。しかし、万が一子猫を救出できずに子猫にネズミ捕りシートが張り付いたままになってしまえば、逆に子猫の体力を奪うことになるかもしれないと考え、別の方法を考えることにします。
救出する子猫の声が聞こえなくなる
さらに翌日の3月5日。まだ雨が降り続く中、ついに子猫の鳴き声は聞こえなくなってしまいました。「早くに子猫を救出してやりたい・・・。」そう思っているのになかなかうまく子猫を救出することが出来ずに、奥様は泣いて一晩を過ごします。
数日後また救出する子猫の声が聞こえる
子猫に気が付いてから6日目の、3月6日。子猫の声も全く聞こえず、ご夫婦がいつも通りの日常を取り戻そうとした時でした。ご主人が散発に出かけると、雨水溝からまた子猫の鳴き声が聞こえたのです。
過酷な状況の中、子猫は生きていたのです。そして急いで購入してきたソーセージとキャットフードをもう1度ロープでくくりつけます。何とか固定させようと、プラスチック製の小さなカゴ半分に切り、キャットフードがこぼれることのないように固定すると、静かに子猫の元へと降ろします。
新たな子猫の救出方法を思いつく!
そして子猫に気づいてから1週間・・・。キャットフードが無くなっていました。その後、ご主人は、突然子猫をペットボトルに入れて救出するためのアイディアをひらめきます。
そのためにはまず、ペットボトルが排水溝に入るかどうかを確認する必要がありました。そして子猫が入ってもうまく引き上げるかどうかの確認もする必要があったため、水を入れたペットボトルを子猫が入っていると見立て、排水溝に入れては引き上げるという作業を行います。
ペットボトルを使った子猫の救出
この作業は無事に成功したので、さっそく準備に取り掛かるご主人。ペットボトルの側面に3分の1程の穴をあけ、奥にソーセージを取り付けたものを作ります。
そして慎重にペットボトルを排水溝に入れて30分後。ペットボトルを慎重に引き上げてみると…子猫は入っていませんでした。しかし、ペットボトルに取り付けたソーセージは、半分かじりとられていることに気が付きます。
これで子猫がペットボトルに入ったことがわかったご主人は、昔釣りで使ったもんどりと呼ばれる仕掛けを思い出します。
子猫の救出用ペットボトル2号機の作成
このもんどりと呼ばれる仕掛けの特徴は、魚が1度入ると返しがじゃまになり、出られなくなるという所。これをペットボトルで応用しようと考えます。翌日9月7日、ご主人は作戦を決行します。
ご主人はもんどりの特徴である返しを作るため、まずはペットボトルの上部をカットし、それを逆向きにしてタコ糸で止めてみました。返しの部分には切込みを入れ、子猫が入りやすいように加工し、奥には餌を付けました。
ペットボトル2号機と名付けたこの仕掛けを、ゆっくりと入れてみると1時間後、ついにカサカサという音と共にロープが動きました。引き上げようとすると、ペットボトルの返しの部分が引っかかってしまい、引き上げに手こずってしまいました。
このことがあってか、引き上げた時にはタコ糸も外れ子猫は入っていませんでした。この時点で考えられる原因あいくつかありましたが、ご夫婦はもう1度同じ方法で子猫を救出しようと考えます。
子猫が空腹になった時間をめがけ、もう1度ペットボトル2号機を入れてみたものの、子猫が警戒してしまったのか、次には子猫が中の餌を食べることはありませんでした。
子猫を救出するペットボトル3号機の作成
それでも諦めることをしなかったご夫婦は、新たなペットボトル作戦に取り掛かることにします。ペットボトルを分解し組み立ててしまうと、強度が弱くなってしまうので、1番強度を保てるのは、ペットボトルの形をそのままにして使う事です。
そこで、口の部分を子猫が通れるくらいのギリギリの大きさに空け、細かく切り込みを入れて返しを付けました。そして子猫が入る時に安定するよう、中には重りを取り付けます。
そして、前回の恐怖心から子猫が置くまで入ってくれないことを想定し、入り口から順番に3カ所に餌を取り付けることにしたのです。しかし、1度恐怖心を味わった子猫はもしまた失敗してしまえば、もう2度と入ってくれなくなるかもしれない。
そう考えご主人は、子猫が奥まで入った時にわかる仕掛けを取り付けることにしました。釣り道具で魚が餌に食いついたタイミングが音で分かるあたり鈴という釣り具を使い、1番奥の餌に鈴を取り付けることにしました。
大きな音が鳴った瞬間こそが、子猫が1番奥の餌を食べているということになり、これでペットボトルを引き上げるタイミングを知ることができます。これがのちに、子猫を救出することが出来たペットボトル3号機になりました。
ペットボトル3号機でついに子猫の救出に成功
翌日、ついにご夫婦は作戦を決行したのです。鈴の音が大きく鳴るタイミングを逃すことが出来ないため、この日はご夫婦で音が鳴るまで見張ります。ついにその時がやってきました!
ご主人が大きな鈴の音が鳴ったタイミングでペットボトル3号機を引き上げると、なんと体重620gほどのメスの子猫がペットボトルに入っていたのです。
救出直後のココちゃんはコチラ ↓↓↓↓
救出した猫は家族の一員となる
すぐに救出した猫を家に連れて帰り、お風呂にいれて暖めたものの、ご主人は猫が苦手・・・。どうしようか悩んだご夫婦は救出した猫の里親探しをしてもらうことにしたのですが、いざ引き渡すとなれば寂しくなってしまったご主人。
そんなこんなでご夫婦に育てられることになったこの子猫は、9月9日に救出されたことから「ココ」という可愛らしい名前を付けてもらうことになったのです。
救出された猫ココの今
同じ場所からまた猫を救出!
無事にご夫婦に引き取られた救出猫のココちゃん。ココちゃんもご夫婦も幸せな毎日を送っていた翌年の2014年6月、また同じ場所から子猫の鳴き声が・・・。
ご夫婦はココちゃんを救出した時と同じ方法で子猫の救出を行います。そして無事に救出された子猫ちゃんですが、目撃談などから同じ母親から生まれたであろうことが判明。
その後ナナちゃんと名付けられ、現在はナナちゃんとココちゃん、2匹仲良くご夫婦の元で生活しているそうです。
まとめ
この子猫の救出劇は2017年11月16日に、テレビ番組・アンビリバボーで放送されました。ご主人の趣味である釣りが子猫の救出の大ヒントになり、無事に小さな命が1つ助かったのです。
現在はその後に救出されたナナちゃんと一緒に、仲良く生活をしているとのことなので、本当に安心しました。
ご夫婦が1週間以上も子猫の救出に全力で動いたおかげです。よかったですね、ココちゃん♡