不育症により流産を2回も経験し、悲しい気持ちが消えぬまま始まった田舎暮らし。移住してからも再び我が子を流産し、辛い気持ちの中で出会った1匹の子猫が、夫婦に癒しをもたらしてくれます。
YouTubeチャンネル『田舎夫婦のノンフィクション〜不育症との戦い〜』に投稿されたこちらの投稿は、YouTubeで132万回以上再生され、580件以上のコメントも寄せられました!
あなたは赤ちゃんの生まれ変わり?子猫との偶然の出会い
2020年の1月に結婚してから、1年の間に2回の流産を経験し、働く気力を失うほどの悲しみを抱え、長く暮らした横浜から岡山の田舎へと引っ越したわかなさんご夫婦。移住してから訪れた3度目の妊娠の喜びも瞬く間に過ぎ去り、またもや流産を経験します。
わかなさん夫婦の悲しみの元となっていたのは「不育症」。初期流産を2回以上する、中期以降に流産や死産となる、新生児が1週間以内に天にかえるなど、結果的に子どもを持てない状態のことを指し、妊娠そのものに至らない「不妊症」とはまた別の問題です。
2021年の9月6日のこと、10日前に3回目の流産に伴う手術を終えたばかりだったわかなさんは、「外に出なきゃ」と久々に散歩をした帰り道、どこからともなく聞こえる子猫の鳴き声を耳にします。
住居は賃貸でペット不可でしたが、「小さな命をただ救いたい」という一心で、見たら飼いたくなるからと渋る旦那さんを説得し、わかなさん夫婦は子猫を探し始めました。すると…。
道路の端の草むらに隠れるようにして鳴く、黒い子猫が1匹。わかなさん夫婦はお互いに猫を飼った経験がないため、この保護方法で合っているのかと戸惑いながら、手を差し伸べます。
実は、わかなさんは昔のトラウマによって猫が触れず、苦手です。しかし、その子猫の懸命な鳴き声が、まるで自分が聞くことができなかった産声にも思えて、涙が止まらなくなりました。
周囲に母猫やきょうだい猫の姿はありません。子猫はケガもなく、元気な様子で草むらから出て歩き始めるも、目の前は車が通る道路で、轢かれてしまう危険もあります。
ひとまず子猫は旦那さんが抱っこし、その場でこれからのことを悩み始めました。この時は移住してからまだ2ヶ月半で、猫に関する相談ができるご近所さんの情報も知りません。
ひとりぼっちで寂しげに鳴いていた子猫ですが、旦那さんの腕の中で落ち着いた様子。
ひとまずご近所さんに事情を説明し、猫を飼育しているお家の情報や、引き取りが可能かどうか聞いてみたものの、さすがにいきなりのことですぐには見つかりませんでした。
ご近所さんからは保護センターの情報など、いくつかのアドバイスをもらい、まずは2人で暮らす自宅へ。子猫は先ほどまで抱っこしてくれた旦那さんのことを「守ってくれる存在」だとわかっているからか、室内でも大きくは離れないようにしながら探検しています。
鳴き方も少し和らぎ、疲れからか子猫は旦那さんの腕の中で、うとうとと眠り始めました。よく見ると、旦那さんの腕は子猫の小さな爪によって、傷がたくさんできています。
初日の夜は、旦那さんのフリース生地の服と湯たんぽで暖かい場所を作り、子猫に眠ってもらいました。
翌朝、わかなさんは子猫の保護を依頼するため、保護センターに電話をかけてみますが、「自然界のことですから、元の場所に戻してあげてください」と言われてしまいます。
すべての子猫を引き受けることはできない保護センターの事情を理解しつつも、今のわかなさんにはとてもできないことでした。
2日目のこの時点で旦那さんはこの子猫を飼いたいと感じていたそうですが、猫が怖いわかなさんは育てる自信がなく、里親を探したいと悩みます。
可愛いはずの子猫が無邪気に体をのぼってきても、この時のわかなさんにとっては、どうしてあげればいいかわからずパニックでした。しかし、どうやら子猫はわかなさんの膝の上が気に入った様子。
わかなさんの足の上でくつろぎ、子猫は自分のしっぽや旦那さんの手にじゃれています。子猫のしっぽを見てみると、「幸運を運ぶ」とも言われている鍵しっぽでした。
触れ合い方がよくわからずとも、見れば見るほど子猫は可愛く、わかなさんにも愛情が湧いてきます。けれどもその一方で、「我が子を産んだら育てる自信はあるのに、子猫のことはどうして育てる自信がないのか…」という葛藤も抱えました。
そのため、やはり里親を探すという方針を定め、子猫のご飯の買い出しや、動物病院での診察を済ませます。
体重測定やノミダニの駆除、寄生虫検査、爪切りなどを終え、帰宅してからはさっそくご飯の時間です。
子猫はミルクやご飯のおいしさからか、震えながらも勢いよく食べています。そのせいか、お皿の周りや子猫の顔には、飛び散ったミルクの跡が。
猫と接した経験の少なさから、食事中に震えていることを2人で心配しましたが、食べ終わるとすぐに治まり、一安心です。
ご飯を食べてお腹いっぱいになった子猫は、旦那さんの腕の中で毛づくろい中。
すっかり甘えんぼう全開で、人懐っこい様子に、見守るわかなさんにも笑みがこぼれます。
保護3日目となり、子猫への愛おしさが増していく中、わかなさんは子猫を保護する直前に見た、不思議な雲の形を思い出しました。
まるでコウノトリの翼にも似た青空に広がる白い雲と、それにつながる夕日が赤ちゃんに見えて、赤ちゃんが「また戻ってくるよ」とメッセージを送っているように感じ、10分以上も見つめていたそうです。
そんな風に思っていた直後に出会ったこの小さな黒猫には、「生まれ変わりなの?」と思わず聞いてしまいたくなるほどの想いが湧き出てきました。
3日目からわかなさんも子猫に触れるようになり、子猫への愛情は増していきます。子猫に話しかける時には、自分たちのことを自然と「パパ」「ママ」とも呼ぶように。
子猫が初めて自分たちをパパとママにしてくれたという想いもあり、わかなさんもついにこの子と暮らしていきたいと強く感じ始めました。
しかし、さっそく大家さんに交渉しましたが、1週間きちんと悩んでくれたものの、やはりペットは不可。しばらくの預かり先として、お互いの実家の両親にも相談しましたが、どちらも難しい状況です。
子猫と暮らせない悲しさで涙しながらも、それならば「本当に大切にしてくれる人」を探さなければと、わかなさん夫婦は里親探しを始めることになりました。
その後、引っ越すことも検討していた最中、同じ町内の移住者コミュニティに里親募集を投稿したことがきっかけで、2匹の子猫を飼育していて、共通の知り合いもいる里親さんと巡り会うことができました。
その里親さんのお宅は、わかなさん夫婦の家からは車で20分の距離。「クッキー」ちゃんと名付けられて幸せに暮らす子猫に、「いつでも会いに来て!」と言ってくれたそうです。実際に、毎月のように遊びに行く1番の友人となりました。
またさらに嬉しいことに、2022年の3月、わかなさんは妊娠5ヶ月目に突入。予定日も子猫を保護した9月6日という不思議な縁のもと、8月27日に無事に出産を迎えます。(実は3人目の赤ちゃんとお別れしたのは、1年前の8月27日だったそう)
奇跡的な縁をたくさん紡ぎながら、今では息子さんも一緒に、クッキーちゃんに会いに行っているそうです!
こちらの投稿には、『この猫ちゃんが幸せを運んで来てくれたのですね』『3つも偶然が重なるなんてこれは幸せの証だと思う』『この子猫を保護して下さったご夫婦の暖かい様子にも胸が熱くなりました』『怖くて触れないのに保護して下さり、その優しさに唯々感謝』など、感動した人からのコメントがたくさん寄せられています。
クッキーちゃんが里親さんの元へ旅立つまでの経緯や、わかなさんご夫婦の暮らしも含めた最新の様子は、他の投稿からご覧いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。
子猫ちゃん、わかなさんご夫婦、この度はご協力いただき誠にありがとうございました!