鹿児島の離島・喜界島で、猫の保護活動をしている保護主さんの元へやって来た2匹の子猫。実の母猫がいなくなるも、まだまだ母親の愛情とお世話を必要としていた幼い子猫たちに手をさしのべてくれたのは、3匹の子猫の子育てをしている元野良の母猫でした。
YouTubeで102万回以上再生され、400件以上ものコメントが寄せられた、ある母猫のあふれんばかりの愛情をご覧ください。
あなたたちも私の子!母猫の偉大な愛情
鹿児島県にある離島・喜界島。保護猫の譲渡やTNR活動(野良猫の避妊・去勢手術活動)を続ける保護主さんの元で、妊娠した状態で保護され、後に出産した元野良猫の「さくら」ちゃんが、この日も母親として3匹の子猫たちのお世話を懸命に行っています。
喜界島には動物病院がありません。2ヶ月に1回の訪問診療でしか獣医療を受けられない中で、命がけの出産をするリスクや堕胎すべきかどうか、生まれた子猫たちの譲渡先などを考える必要もあり、さくらちゃんの出産は保護主さんも悩んだ末での出来事でした。
出産を終えたさくらちゃんは、「わらび」ちゃん、「ぼたん」ちゃん、「なずな」ちゃんの3匹の子猫たちを愛情たっぷりに見守り、寝不足になりながらも母猫として立派に育ててくれています。
保護主さんも、他の保護猫たちのお世話を続けつつ、さくらちゃんの子猫たちがすくすくと育つ様子を微笑ましく思いながらサポートしていました。
そんな中、保護主さんの元へ、新たにポインテッド柄とサビ柄の2匹の子猫がやって来ます。
園芸用ポットのトレーに挟まり、身動きが取れなくなっていた生後約1ヶ月ほどの子猫たちを発見したのは保護主さんではありませんでしたが、自分たちでできることはやった上で何とか助けられないかと依頼をしてくれた人の思いをくみ取り、お世話することになりました。
喜界島で不幸な野良猫を減らそうと、保護猫・TNR活動を続けている保護主さんでしたが、この2匹の子猫たちが見つかったエリアでは、まだまだ野良猫たちがあふれているそう。
後に判明したことですが、この子猫たちの母猫は発見者さんのお家の床下で亡くなっていたため、子猫たちの元へ帰ることができず、2匹だけで発見されて保護されたという経緯があります。
この子猫たちは猫風邪の症状もあったことから一時的に隔離されていましたが、治ってからは保護主さんと一緒にさくらちゃんたちもいるシェルターにやって来ていました。
すると、子育て中のさくらちゃんが2匹の子猫たちを見て、心配するかのように鳴き続けたのです。
2匹の子猫たちは人間が母親代わりとなってお世話していこうと考えていた保護主さんでしたが、そんなさくらちゃんの様子を見て「もしかして・・・」と、まずはサビ柄の子猫をさくらちゃんの近くに運んでみることにしました。
保護主さんの胸をよぎるのは、不安と淡い期待。優しいさくらちゃんとは言え、血のつながらない子猫たちにどんな反応を示すか分かりません。
けれども、母猫とお別れしなければならなかった子猫たちにとって、さくらちゃんが母親となって愛情をくれるのであれば、願ってもないことです。
保護主さんがサビ柄の子猫を運ぶやいなや、さくらちゃんはなんの迷いもなく見ず知らずの子猫を優しくなめて、毛づくろいを始めてくれました!
それを見て、保護主さんがもう1匹のポインテッド柄の子猫も近くに運ぶと、サビ柄の子猫と同じように、すぐにお世話を始めるさくらちゃん。
自分が産んだ3匹の子猫との違いはないと言うかのように、まったく同じように触れ合ってくれています。
さくらちゃんの周りにいる子猫が3匹から5匹へと増えたその様子は、さらににぎやかさを増したようでした。
さくらちゃんが3匹の子猫の子育てだけでも大変であることは、保護主さんもよくわかっています。
しかし、新たな2匹の子猫を自然と受け入れてくれたさくらちゃんのその愛情深さに、保護主さんも感謝の気持ちがあふれました。
また、母猫を亡くした子猫たちにとって安心できる相手がすぐにできたことにも、「良かったあ・・・」とほっとした思いにかられます。
さくらちゃんは、新しく我が子とした2匹の子猫のお尻を丁寧になめてから、お乳も与え始めました。
この2匹の子猫たちは人工哺乳を行っていたのですが、哺乳瓶を嫌がってしまい、保護主さんがシリンジでの哺乳を懸命に行っていたところでした。
しかし、さくらちゃんのおっぱいは自ら吸い付いて、よく飲んでくれています。その姿を見て、保護主さんは「まだまだママが恋しいよね」と痛感し、胸を締め付けられる思いがしました。
人間がある程度母猫の代わりをすることはできても、2匹の子猫たち以外にも保護猫を抱える保護主さんは、子猫たちだけにずっとはりついて、本当の母猫とまったく同じようにお世話をし続けることはできません。
子猫たちが人間を100%「母猫だ」と思い、甘える相手とするには、なかなか難しいものがあったのです。
人工のミルクで育てても、子猫の体はきっとすくすくと育ってくれたでしょうが、この時期に母猫がいるかどうかは、子猫たちの心の成長にとって大事なポイントでもあります。
また、野良猫として生きていたなら、この子たちの母猫のようにどこかで命を落としてしまう危険もたくさんあり、現にあのまま保護されずに子猫たちだけとなっていたなら、過酷な生涯を送ることになっていたでしょう。
この子たちはたまたま保護主さんの元にやって来ることができ、さくらちゃんに会えたおかげで、雨風にさらされずにお腹を満たせる環境や甘える相手を、幸運にも手に入れることができました。
5匹の子猫たちは、ごろんと寝転がったさくらちゃんのそばで、お乳をもらったり、きょうだいでのんびりとくつろいだりと、思い思いに過ごしています。
保護主さんたちの手が届かないところを、さくらちゃんが母猫としての愛情で補ってくれたのです。
ポインテッド柄の子猫は、キレイな目の色と同じネモフィラの花からイメージして「ネモ」ちゃん、サビ柄の子猫は、黄色い毛の部分がミモザの小花のように散らばる姿から「ミモ」ちゃんと仮名が付けられました。
母猫となってくれたさくらちゃんと同じ、「春の花」にちなんだ名前です。
子猫たちを受け入れてくれたさくらちゃんの愛情深い姿を映したこちらの投稿には、『人間でも真似が出来ない偉大な存在』『大きさが実子と全然違って、違和感もあるかもしれないのに、それでも、うちの子ね。と受け入れたさくらちゃんの優しさに感動しかない』『さくら母さんの愛情深さに頭が下がります』といった称賛の声が多く寄せられています。
2匹の子猫たちが保護された詳しい経緯や、さくらちゃんファミリーのその後、喜界島の野良猫・保護猫たちを巡る現在の様子は、他の投稿でもご覧いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。
さくらちゃん、わらびちゃん、ぼたんちゃん、なずなちゃん、ネモちゃん、ミモちゃん、保護主さん、この度はご協力いただき誠にありがとうございました!