たった1匹で保護主さんのお家を訪れ、助けを求めるかのように鳴いて、自分の存在をアピールしてきた野良の子猫。多くの猫たちの保護活動を続けてきた保護主さんは、自らお家にやって来てくれたのなら!と保護を試みました。
不安げな様子を見せつつも、幸せになるための1歩を踏み出そうとする子猫を映したこちらの投稿動画は、YouTubeで126万回以上再生され、450件を超えるコメントも寄せられています。
入園希望です!幸せになるために勇気を出して訪れた子猫
1匹の野良の子猫を保護することになる2日前のこと、夫婦で猫たちの保護活動を続けていた「にこママ」さんは、「にこパパ」さんの車の下から、かすかな子猫の鳴き声とくしゃみをする音を聞き取りました。
にこママさんとにこパパさんが猫たちを保護している自宅兼「にこねこ保育園」の周りの道路は交通量が多く、子猫が生き抜くには危険も潜むエリアです。
そのため、事故で子猫の身に危険が及ぶ前に保護しようと、車の近くに猫用の捕獲器を設置してみたものの、子猫は姿を現さず、にこママさんは頭を悩ませていました。
ところが、そんなにこママさんの思いが通じたのか、それから2日後、子猫は自らにこねこ保育園に入園を希望してやって来てくれたのです!
鳴き声を発して居場所を教えてくれている子猫を見つけようと、にこママさんが猫の鳴き真似をしてみると、なぜか返事をしてくれる子猫。そうして、にこママさんが鳴く子猫を見つけたのは、お家の倉庫の入り口前でした。
すぐにでも保護してあげたいにこママさんでしたが、自らやって来たとは言え、子猫もいきなり人の近くまで行くのは不安なようで、にこママさんが直接抱っこして捕獲することは安全面の確保という点からも難しそうです。
そこで、にこママさんは子猫が敷地内をウロウロとしている間に、強い味方であるにこパパさんを招集。子猫に気づかれないよう反対側の入り口から倉庫へ入り、内部に捕獲器を設置して誘導することにしました。
倉庫の扉を開けたまま、にこママさんが猫の鳴き真似を続けていると、子猫はなぜか返事をしながら、倉庫の中に入って来てくれます。
捕獲器の中には液状おやつのちゅーると焼きささみのおいしいおやつを入れていたため、お腹が空いているらしい子猫はクンクンと匂いを嗅ぎながら、捕獲器の周りをウロウロとしています。
しかし、野良猫の警戒心からか、どうやら猫風邪によって鼻がグズグズしている影響もあるからか、子猫は捕獲器の入り口になかなかたどり着いてくれません。
けれども、猫の保護のベテランでもあるにこママさんは焦らず、子猫を驚かせたり、怖がらせることがないよう、「ニャン…ニャン…」と猫の鳴き真似を続けて子猫と会話しながら、優しく声をかけて待ち続けます。
そして、早く捕獲したい気持ちをぐっと堪えて見守るにこママさんの前で、ついに子猫が捕獲器の奥に誘導するために置いていた液状おやつを食べ始めてくれました!
保護さえさせてくれれば、にこママさんとにこパパさんが子猫のケアをした上で、幸せに暮らせるお家を探してくれます。捕獲器の奥へ誘導するおやつの道筋は、まさに「幸せへのちゅーるロード」でした。
粘り強く待ち続けたおかげで、子猫は無事に捕獲器の奥まで入り、にこねこ保育園への入園を果たします。
保護直後はドキドキしていたのか、パニックが落ち着くまでソフトケージに入っていた子猫でしたが、「大丈夫、大丈夫…」というにこママさんの優しい声に応えるかのように、自分でご飯も食べてくれました。
一晩経って翌日に行った動物病院では、子猫は落ち着いた様子で、診察を受けてくれています。
診察で体を見てみると、体の汚れや痩せた体型が目立つことから、このオスの子猫が1匹で外を長くさ迷っていたであろうことがよくわかりました。
子猫の耳をキレイにして、健康診断を進める獣医さんからは、「賢いね。ちゃんと引き取ってくれる人がわかってたんだね」「誰かに聞いたんでしょうね。こちらですよ―って」という言葉も。
にこママさんたちがきちんと猫たちのケアをして送り出してくれることをわかっているからこその会話でした。
ウイルス検査や、腎臓の数値などの血液検査結果も問題なし。にこママさんは一安心してお家に帰り、にこパパさんと子猫の汚れた体を洗ってあげることにしました。
子猫は最初の方こそ逃げたそうな様子を見せていましたが、次第に落ち着き、パニックになって暴れることもなく、きちんと体を洗わせてくれました。
お風呂上りに濡れた体をタオルで包んであげると、静かに抱っこされています。
見守っていたにこパパさんからは、「オッチャンみたいな顔しとるなー(笑)」とクスッと笑われてしまいましたが、白黒の被毛の色と、鼻と口の間のちょびヒゲ模様が可愛いと、「ちょび」ちゃんと名前を付けてもらいました。
ちょびちゃんは、泥や目やになどの汚れも落ち、濡れた毛を乾かしてふわふわの毛を取り戻したことで、子猫らしい見た目が復活。
保護した直後とは大違いのちょびちゃんの顔つきに、にこママさんもにこパパさんも「可愛いね~!」「お外で頑張ってたもんね、ひとりで」とにっこりです。
入園を希望してきた日の不安げな様子とはうってかわり、ちょびちゃんは遊びに夢中。屋外で暮らす野良猫であれば、こんなにも無邪気に遊びを楽しむ子猫時代は送れなかったかもしれません。
にこねこ保育園の先輩猫である「うに」ちゃんが見守るそばで、自分より大きな猫が近くにいても遠慮なしにレーザーポインターの光を楽しそうに追いかけ、走り回っています。
猫風邪のこともあって、今はまだ他の保護子猫たちとは隔離が必要ですが、早く一緒に遊べるようになればいいな…と、にこママさんとにこパパさんは優しく見守ってあげました。
ちょびちゃんが保護されてから、にこねこ保育園でリラックスして遊べるようになるまでを映したこちらの投稿には、『ご入園おめでとうございますと言うフレーズが大好きです。辛い境遇から、これから明るい未来の扉が開いていくようで』『こんなちっこいのに1人で面接から入園手続き済ませててえらいなぁ。幸せになろうね』など、ちょびちゃんの幸せを願うコメントがあふれています。
ちょびちゃんの保護をきっかけに、自宅の周囲で子猫が生まれていることも把握したにこママさんは、不幸な野良猫が1匹でも減るように、TNR活動(野良猫を捕獲して避妊・去勢手術を施し、地域に戻す活動)も進めていく必要があると実感したそうです。
野良猫が過酷な環境下で、老いるまで平穏に生きていくことは難しいもの。
1匹でも多くの野良猫たちが、暑さや寒さ、ケガや感染症のリスクにさらされずに、愛してくれる家族の元で幸せに暮らせるようになればと願ってやみません。
ちょびちゃんのその後の様子や、にこねこ保育園で保護されたちょびちゃん以外の猫たちの姿は、他の投稿でもご覧いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。
ちょびちゃん、にこママさん、にこパパさん、この度はご協力いただき誠にありがとうございました!
にこねこ【保護猫の保育園】
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