愛犬と散歩をしていた飼い主さんが出会ったのは、まだ幼さの残る1匹の黒猫でした。野良猫らしい警戒心を見せることもなく、愛犬にも飼い主さんにも人懐っこくすり寄って甘える子猫を、飼い主さんはお世話することに決めます。
実は、飼い主さんがこの子猫を保護すると決めた背景には、過去のとある後悔も関わっていました。
飼い主さんによる子猫を保護した直後の適切な対応ぶりを映したこちらの投稿は、YouTubeで286万回以上再生され、900件以上のコメントが寄せられています。
できるかぎりのことを子猫に…飼い主さんの素敵な優しさ
甲斐犬の「ハチ」ちゃんと、茶トラの元野良猫「光太(こうた)」くんと暮らしていた飼い主さんは、ハチちゃんと散歩していたある夜に、1匹の黒猫と出会います。
まだ幼さの残る小柄な体つきからは子猫であることが見てとれ、直前まで降っていた雨の影響か、体はびしょ濡れの状態な上、痩せているようでした。
愛犬のハチちゃんは子猫に興味津々でしたが、子猫は駆け寄るハチちゃんに驚いたようで、威嚇体勢を崩しません。
ハチちゃんが引っかかれる危険もあったため、この夜は近づきすぎずに見ているうちに、野良の子猫はそのまま逃げ去って行きました。
翌朝になり、飼い主さんは昨夜出会った子猫のことが気になりながらも、ハチちゃんといつもの散歩に出かけます。
学校のプールの前を通りかかると、なんとフェンスの内側に昨日出会った子にそっくりの1匹の黒い子猫がちょこんと座っているではありませんか!
子猫に気づいたハチちゃんもしっぽをフリフリしながら気になっているようで、飼い主さんと一緒に観察していると、子猫はすぐにフェンス越しに近寄ってきました。
ニャーと鳴きながらしっぽをピンと立てて、フェンス越しにすり寄ってくる人懐っこさには、飼い主さんもびっくりしてしまいます。
昨夜は暗い中で子猫を見たため、同じ猫であるかどうかの確証は得られないものの、これまでに真っ黒の子猫を周辺で見かけることはなかったことから、同じ子猫ではないかと予想をつけました。
子猫をよく見ると、目やにがたくさん出て、くしゃみもしており、体調は良くなさそうです。それでも、フェンス越しに差し出した飼い主さんの手に必死で甘える子猫の姿がありました。
フェンスで囲われた学校のプールには、パッと見る限り出入口が見つかりません。フェンスを越えて飼い主さんの方に来たがっている子猫がどこから入ったのか、飼い主さんには見当もつかず…。
フェンス越しに子猫を触りながらうろうろと出入口を探していると、偶然にも隣の郵便局へ行くためにやって来た男性が、子猫を出すのを手伝ってくれました。
無事にプールの敷地から出られた子猫を見て、飼い主さんは保護するかどうかを悩みます。なぜなら、お家には猫白血病キャリア(陽性)で下半身不随の先住猫・光太くんがいたからです。
しかし、歩き出しても飼い主さんとハチちゃんを懸命に追いかけ、ついて来る子猫を見て、一旦この子を保護することに決めました。
帰宅後は、野良の子猫がどんな病気を持っているのかわからないことから、ハチちゃんや光太くんと隔離するため、まずはお風呂場に子猫を避難させます。
子猫の大きな鳴き声が聞こえるお風呂場の前で光太くんはそわそわと気にしていましたが、今は我慢の時間です。
お風呂場でふやかしたドライフードを子猫に与えてみると、お腹が空いていたのかすぐに食べ始めてくれました。
子猫をお風呂場に待機させている間、飼い主さんは子猫の居場所作りもスタートします。
ハチちゃんや光太くんとは別のお部屋を用意するため、寝室を子猫専用の部屋にすることに決め、念のため掃除機がけと消毒液による拭き取りも行いました。ゲージもハチちゃんが幼い頃に使っていたものを出し、感染対策として寝室専用のスリッパも用意します。
実はこの日は、朝から光太くんが血尿をし、汚れた布団を丸洗いするなどバタバタとしていたため、子猫の保護も含めるととても慌ただしい1日となりました。
一通りの準備を終え、飼い主さんは次のステップとして、ノミがついている子猫のお風呂を決行。
この時、飼い主さんが子猫を洗いながら思い出したのは、かつて保護できなかったある黒猫のこと。
光太くんを保護するより前に出会ったその黒猫も、ハチちゃんと散歩していた時に出会い、今日保護した子猫よりもさらに半分くらいの大きさで、弱っているようでした。
その時も飼い主さんはどうすべきかものすごく悩みましたが、心の中で謝りながらもすぐに保護することはできず、翌朝気になって再び見に行った時には子猫の姿はありませんでした。
「きっと優しい人に保護された」と信じるようにしたものの、ずっと心に後悔として引っかかっていた飼い主さんは、今回出会ったこの黒猫を保護することに決めたのです。
シャンプーとドライヤーを終えてからはお買い物へ。
先ほど居場所作りはしたものの、子猫に必要なアイテムがお家にはまだ不足していました。ついついハチちゃんや光太くんのおやつも買ってしまうのはご愛嬌です。
また、ハチちゃんと光太くんの部屋と、子猫の部屋を行き来する時には、光太くんの猫白血病、子猫の猫風邪やノミの感染対策のため、手洗いをその都度行ったり、衣服の消毒や着替えなどにも気をつけていました。
動物病院へ行く前後も子猫の警戒心はゼロ。飼い主さんがそばにいると、スリスリと体を寄せて甘えてきたり、膝に乗ってきてくれます。
動物病院では、生後5~6ヶ月程度の女の子であることを教えてもらったり、猫風邪の治療薬やノミ・お腹の寄生虫の駆虫薬などを処方してもらいました。
ノミの影響は湿疹という形でも子猫に現れていて、健康状態が万全になるまでには少し時間がかかりそうです。
また、隔離しているハチちゃんや光太くんと触れ合っていると、分離不安気味に寂しがるのも気になるところ。
猫白血病のキャリアである光太くんと隔離するために、子猫が一生を別々の部屋で暮らして寂しい時間が増えるよりは…と、里親を探すことも決めました。
人懐っこく甘えんぼうなこの子猫なら、きっと良いお迎え先が見つかるはず!と、飼い主さんも希望を持ちます。
1匹の黒い子猫との出会いを記録したこの投稿には、『対応が徹底している上に完っ璧…この主様素敵すぎる』『全ての猫を助けてあげたい、理想ですよね。でも現実は…あなたのされた事は素晴らしいと思います、感謝です』と感動した人たちからのコメントがたくさん寄せられました。
その後、この子猫には里親さん候補が見つかったものの、光太くんと同じく白血病のキャリア(陽性)であることが発覚。
同時期に里親さん宅の先住猫が病気になってしまったこともあり、この黒い子猫は「美夜(みよ)」ちゃんと名付けられ、飼い主さんがこのまま迎え入れることになりました。
はからずしも、光太くんと同じ猫白血病であったため、光太くんやハチちゃんと同じリビングで生活できることになった美夜ちゃん。「もしかしたら光太の妹になるためにハチについて来たのかも…」とも飼い主さんは思い、今では家族として暮らしています。
美夜ちゃん、ハチちゃん、光太くんの現在は、他の投稿でもご覧いただけます。ぜひその後をチェックしてみてくださいね。
美夜ちゃん、ハチちゃん、光太くん、飼い主さん、この度はご協力いただき誠にありがとうございました!