猫の飼育初心者だった飼い主さんが迎え入れたゆきちさんは、人を威嚇し、容赦のない猫パンチをくり出す元野良猫でした。
なかなか心を開いてくれることはないだろうと理解しつつ迎え入れた飼い主さんでしたが、家猫になってもらうための練習を進めるうちに、ゆきちさんの表情にも少しずつ変化が現れて…。
怒りんぼだった野良猫が人になつくまでを記録したこちらの投稿は、YouTubeで142万回以上再生され、550件を超えるコメントも寄せられています。
猫が人になつくまで…飼い主さんの優しさと根気強さに感動!
傷だらけで保護された野良猫の「ゆきち」さん。三毛の模様が可愛い女の子の猫ですが、迎え入れた当初は飼い主さんが「恐ろしい顔をした小さな虎」と表現するほど、怒りんぼな猫でした。
それもそのはず、ゆきちさんは1年4ヶ月を野良猫として生きてきたため、人に甘えたり、信頼するということや、お家の中は安全なのだということを知らない猫だったのです。
飼い主さんがケージに顔をのぞかせただけでも「シャーッ」と威嚇し、攻撃力の高い猫パンチを容赦なくくり出していました。
猫用の液状おやつは好きなようで食べてはくれますが、素手で与えるのも難しい状況です。
環境の変化に対して落ち着きを見せ始めたためケージから出すと、キャットタワーの隠れられるエリアに引きこもり、家庭内野良猫と化します。
飼い主さんとしては、「一生なつくこともなければ触ることもできないんじゃないか?」と思うこともあり、保護して迎え入れてからしばらくは、家族というよりは「家庭内野良猫とあくまで同居している」という感覚だったそう。
けれども、「家庭内野良猫になってしまったとしても、居心地良く快適に暮らしてくれたらそれでいい」と納得して迎え入れた一面もあったため、焦らずゆっくりとゆきちさんに向き合っていきました。
飼い主さんは、室内や人間の存在が少しでも居心地の良いものになるようにと、キャットタワーにひきこもってしまうゆきちさんにおやつやご飯を差し出す日々を続けます。
威嚇や攻撃をされても、安全対策に分厚い手袋をつけて、「手は怖いものじゃないよ」と伝えるためにご飯を少しずつ直接手からあげる日々。
ご飯の出し方が下手だったり、時間に遅れるとそれはそれでゆきちさんに怒られますが、飼育初心者であっても飼い主さんはめげずにご飯を通じたコミュニケーションを行いました。
手で体に触ることが難しいゆきちさんには、木のへらを使ってなでるスキンシップの練習も試していきます。
人慣れしていないゆきちさんの表情は不信感たっぷりですが、時には前足で木のへらをきゅっと握り返して反応を返してくれるという嬉しいこともありました。
こういった練習が功を奏したのか、やがてゆきちさんは飼い主さんがいる時でもキャットタワーから降りてきて、お皿からご飯を食べる姿も見せてくれるようになります。
そこで飼い主さんはもう1歩ゆきちさんと距離を縮めるために、大好きな液状おやつを使って、「おいしく楽しい人慣れの練習」をより近い距離で始めていきました。
おやつの効果は絶大のようで、飼い主さんにおねだりするように前足をかけて合図してみたり、木のへらにのせたおやつを立ち上がってゲットしてから可愛い姿勢で食べてみたりと、これまでにはないゆきちさんの姿を見せてくれます。
液状おやつとともに、ゆきちさんとの距離を縮めるのに活躍したのが、猫用のおもちゃです。
最初のうちはおもちゃを見せて動かしてみてもスルーされ、遊ぶ楽しみ・喜びを知らない様子でしたが、お家に迎え入れてから2ヶ月が経つ頃、初めて猫じゃらしに反応して遊び始めました。
そして、ゆきちさんとのコミュニケーションにこの「遊びの時間」が加わったことで、飼い主さんとの関係性にも転機が訪れるのです。
一緒におもちゃで遊んで、楽しむことを飼い主さんが教えてあげたからか、ゆきちさんの感情表現は豊かになり始めます。
そして、食後にくつろいでいる最中、お気に入りのおもちゃで軽くちょっかいをかけるように触れてみても、嫌がることも怒ることもなく、リラックスしていてくれました。
おもちゃでゆきちさんの体に触れるスキンシップを続けるうちに、いつしかゆきちさんの表情まで柔らかくなっていることに飼い主さんは気づきます。
そして意を決した飼い主さんは、いつものおもちゃでスキンシップしているどさくさに紛れて、初めて自分の手で直接ゆきちさんを触ることに成功します!
飼い主さんの手で直接触られても、ゆきちさんは体を伸び伸びとさせて、さほど嫌ではなさそうです。
それを見て、もう少し大胆に首の後ろやのど元など、より顔に近い位置をなでる練習もしていきますが、ゆきちさんの表情は穏やかで、むしろ体を預けてくれる様子さえありました。
一生触ることができないかもという覚悟もしていた飼い主さんにとっては、夢のような瞬間です。「猫ってあたたかい…」という感想には、切実な嬉しさが込められていました。
それからは毎日、ゆきちさんからなでられに来てくれるようになります。たまに猫パンチは飛び出すので、飼い主さんにとってはまだ恐る恐るな状況もありますが、「小さな虎」だったゆきちさんはもういません。
2ヶ月半が経って、ゆきちさんは「人が触れる猫」になり、家猫としての新たな1歩を踏み出したのでした。
慣れない環境でも頑張ったゆきちさんと、ずっと真摯に向き合い続けた飼い主さんには、『ゆきちちゃんが背中を向けるシーンがグッときました!』『人の優しさを知らなかったんでしょうね。主さんの愛が伝わって良かったです』など、感動したというコメントが多く寄せられています。
また、動画に出てきたゆきちさんをきっかけに、『全ての野良ちゃんが幸せになりますように』と、今も外で暮らす野良猫たちの幸せを願う声もたくさん集まりました。
野良猫が家猫になるには難しい壁もありますが、こんなふうに安心できる場所を用意して、ゆっくりと向き合ってあげれば、絆を深めることもできるのだとゆきちさんと飼い主さんは教えてくれています。
この後さらに飼い主さんに慣れていくゆきちさんの様子や、「ルル」ちゃんと「ハル」くんという同居猫も加わったゆきちさんの新たな日常は、他の投稿でもご覧いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。
ゆきちさん、飼い主さん、この度はご協力いただき誠にありがとうございました!