【私と愛猫との出会い〜shinoさんの体験談〜】
茶助との出会い
2012年11月、大学の文化祭で猫の譲渡会がありました。
そこで寄り添うようにくっついて離れない2匹の猫が、ゲージの隅に怯えるようにこちらを見ていました。まだ3ヵ月の子猫で、姉弟でした。譲渡会のスタッフさんによると、公園で段ボールに入れて捨てられていたところを保護されたとのことで、人間に対して強い恐怖心を抱いている様子でした。
我が家ではすでに2匹の猫がいて、3匹目を迎えたいとスタッフさんに伝えたところ、その2匹の猫はどうかと言われました。というのも、ずっと姉弟でいたので、人間は嫌いだが猫のことは好きらしく、先住猫たちと仲良くなれれば幸せになれるからとのことでした。
ただ、経済的に2匹一緒に引き取るのが難しかったため、結局弟の猫を引き取ることにしました。これが茶助との出会いです。姉弟を離れさせるのはつらかったですが、姉猫もその後新しい里親さんが見つかり幸せに暮らしているそうです。
茶助が我が家にやってきた!
譲渡会から2、3週間たった頃、保護団体の方が茶助を連れて我が家にやってきました。最初は先住猫との相性チェックも兼ねて試験期間とし、その後何も問題がなければ無事家族として迎え入れるという流れでした。
さっそく用意した専用ゲージに茶助を入れて様子をみていました。茶助は耳を横にぱたんとたたみ、体を小さくしてじっとこちらを観察していました。
ゲージ越しに先住猫の虎徹(マンチカン・シルバータビー・去勢雄・当時2歳)とずんだ(マンチカン・茶白・去勢雄・当時2歳)も茶助を観察していて、時々虎徹と茶助は鼻をくっつけて挨拶していました。この日茶助は人間が触れることは許しませんでしたが、先住猫たちには少しずつ心を開いてくれました。
ゲージの外へ!ドキドキの第一歩!
茶助が我が家にきて2週間ほど経ち、ご飯も順調に食べてくれるようになりました。この頃になると、人間がゲージを開けても威嚇することはなくなり、指をくんくんと嗅いだりする仕草も見せてくました。
先住猫の「虎徹」とはゲージ越しで遊んでいたりしていたので、ゲージの扉を開けることに。しばらくは茶助も外に出ず、虎徹とも一定の距離があったのですが、ついに茶助がゲージの外に出ることに成功したのです。
すると虎徹がすぐに茶助のにおいを嗅ぎにやってきました。
その後は、虎徹の後を茶助が追いかける形で仲良く遊んでいて、虎徹も新しい弟分ができて嬉しそうな様子でした。こうして茶助のドキドキの第一歩は大成功に終わりました。
仲良くなりたい茶助、逃げ回るずんだ
ドキドキの第一歩からしばらくして、茶助も家の中で過ごすのが慣れてきた頃です。茶助はもう1匹の先住猫「ずんだ」に興味津々に。
積極的にずんだにちょっかいを出しに行きますが、ずんだはシャーと言いながら逃げ回るばかり。しまいにはお気に入りのドームを茶助にとられてしまい…。ずんだは追い出すこともできずに、ただ隣で茶助がどいてくれるのを待っていることしかできませんでした。
ずんだは茶助を受け入れられなかったようです。
ずんだと和解!大の仲良しに!そして…
茶助とずんだの関係は中々築けず、完全別居スタイルにするか、里親を諦めるかと考えていた頃。ついにずんだが、いつもの茶助のちょっかいを受け入れたのです。半分しつこいからしょうがないか…という感じもありましたが、それは2匹の溝が埋まり始めた最初の一歩でした。
それからずんだと茶助の関係が最高潮になるまで時間はかかりませんでした。茶助は朝ゲージを出ると真っ先にずんだの元へ走っていき、ずんだも茶助を待っていたかのように、お互いの毛づくろいを始めるのでした。
茶助とずんだは常に一緒。夜、それぞれのゲージに帰る時も、茶助がずんだのそばを離れないので、とうとう茶助も先住猫たちの3階建てゲージで過ごすようになりました。
その後も茶助は順調に先住猫たちと良好な関係を築き、同時に人間にも心を開いてくれるようになりました。それからすぐに、茶助は正式に我が家の家族の一員になり、はれて保護猫から家猫へとなったのです。
茶助の今
2022年1月現在。茶助が我が家に来て9年と少し。子猫だった茶助もおじさん猫に。5年ほど前に尿路結石を患い入院しましたが、その後は大きな病気もなく今も元気に過ごしています。
相変わらずあまり人間は好きではないようで、膝の上に乗ってきたりはしません。ですが、虎徹とずんだとはいまだに大の仲良し。
虎徹とはいつも家の中を走り回っています。ずんだは数年前から糖尿病になり、昔のように元気に遊べなくなりましたが、やはりずんだの横には茶助が寄り添っています。
こうして保護猫だった茶助も無事に家猫として我が家の家族の一員として過ごし、また、我が家の3匹の元気な姿を見守り続けることに毎日とても幸せを感じています。
まとめ
我が家の愛猫・茶助のエピソードはいかがでしたでしょうか。茶助が我が家にやってきてから正式に家族になるまで、毎日ドキドキと不安がありました。
先住猫とうまくやっていけるだろうか、人間に恐怖心を抱く保護猫と仲良くやっていけるだろうかと。茶助を引き取るにあたって相談した人の中でも、保護猫=人間になつかない、可愛くないという考えを持つ人もいました。
しかし十人十色という言葉があるように、猫も十猫十色。保護猫だからこうということは決してなく、保護猫でもペットショップ出身の猫でも人間が嫌いな子はいるし、逆に大好きな子もいます。大切なのは焦らずに猫のペースに合わせて、上手に距離を合わせていくことだと思います。
すると時間とともに人間でも、猫同士でも気づいたら距離が縮まっていきます。もしもこれから保護猫を引き取ろうかなと思っている方がいましたら、ぜひ茶助のエピソードを参考にしていただければと思います。
最後に、保護猫は暗い過去を持つ子も多く、最初は性格が気難しいという子が多いと思います。我が家の茶助も最初は威嚇ばかりでした…。そして保護猫を引き取るということは、その子と家族になり、同時に幸せにする責務も発生します。保護猫だからと軽い気持ちで引き取ることは決してないよう、ご家族などと十分話し合って決めてくださいね。
ここまでお読みになっていただきありがとうございました!