どういうこと!?
東京都練馬区で活動するNPO法人ねこけんさんが保護したのは、5匹の猫たち。なんと7年もの間、狭いケージにひとまとめに入れられ、その中で繁殖を繰り返すという壮絶な猫生を歩んできたのでした。
元はオス猫とメス猫がいたそうなのですが、不妊手術をしていなかったため繁殖し、子猫が誕生。猫は究極(ほぼ100%)に繁殖力が強いので、当たり前の話です。
なので猫を飼うときは絶対に、絶対に不妊手術をしなければいけないのです。
生まれた子猫は、オス猫が食べてしまったそう。多頭飼育崩壊などでよくあることです。交尾をしたいがために子猫を食べ、メス猫の繁殖を促す目的や、食べ物が足りないために食料として食べる場合があるのだとか。想像を絶する地獄絵図です。
オス猫が子猫を食べる現場を目撃した元飼い主さんによって、オス猫は捨てられてしまったそうです。確かに、そのような行動に出たオス猫を責めたくなる気持ちはわかりますが、何も捨てなくても…。
飼い猫にとって外の世界は、とても過酷な環境なのです。毎日、生きるか死ぬかのサバイバル。今日を生き延びられるかさえ、わかりません。
飼い猫の寿命が15年ほどなのに対し、野良猫の寿命がわずか5年ほどということからも、その過酷さがうかがい知れます。
地元のボランティアさんが猫たちの置かれた環境を知り、元飼い主さんを必死に説得しました。その努力の結果、猫たちの所有権を手放してもらえたそうです。大変だったことでしょう。
晴れて猫たちはねこけんさんに保護され、普通の暮らしを送れることになりました。
保護したものの…
ねこけんさんに保護された5匹の猫たちでしたが、わざわざメンバーさんが用意してくれた広い部屋にいるにも関わらず、ケージから一歩も出ようとしません。えっ?せっかく解放されたのに?
おそらく今までケージの中の世界しか知らないため、外に出たところでどうしてよいのかわからないようです。
猫はナワバリ意識があるといいます。7年の間、猫たちのナワバリはケージの中だけだったのでしょう。ナワバリ外に出ることは、猫たちにとっては怖いことなのです。
ねこけんの代表、溝上さんが1匹お膝に乗せて、「ケージの外に出ても安全にゃんだよ!」と伝えても微動だにしません。「猫は粘度の高い液体」というイグ・ノーベル賞を取った研究がありましたが、もしかしたらその結果を裏切り、完全なる固体になってしまったのかも?
しかし、ご飯を食べるときだけはケージの外に出て、大食いタレント顔負けの量を胃に詰め込むのだとか。もしかしたら、これまで満足にご飯を食べさせてもらっていなかったのでしょうか?だとしたら、お腹を空かせたオス猫に子猫が食べられてしまった理由もわかります。
食べた後、ケージの外でゆっくりしていけばいいのに、すぐにケージの中に戻ってしまいます。広いスペースで伸び伸び遊んだり毛づくろいしたり、窓の外を眺めるなどの楽しいことを、一切知らない猫たち。かわいそうですね…。
元飼い主さんが猫たちをケージ内に閉じ込めていたのは、部屋が汚れる、家が痛むという理由だったそうです。そんなの、ひどすぎませんか?ケージの中にいたら猫たちに触れることも、一緒に遊んであげることもできないじゃありませんか。
何のために飼っていたのか?本当にわかりません。ねこけんさんも「動物を2度と飼ってほしくない!」と怒りをあらわにします。
ケージから出ても
やっとケージから出てきたと思っても、シャーシャー(威嚇)の嵐だったり、ずっと忍者のごとく気配を消して隠れていたり。それでも、猫たちは日向ぼっこや人の手の温かさを徐々に知っていきました。
おもちゃで遊ぶのも楽しい!ということも覚えました。そんなとき、SHIさんという方のお宅に受け入れられたのです。
幸せを掴んだマーチ一家
7年間の地獄のようなケージ暮らしを経て、ようやく幸せを掴んだ猫たち。ママ猫は「マーチ」という猫でした。これから普通の猫らしく当たり前に広いお部屋で遊び、もふもふされ、お腹をおっ広げて寝る、という幸せが待っていると思ったのですが…。
マーチはなんと、「リンパ腫」という病気になってしまったのです。完治する可能性もゼロではないものの、3年間の闘病生活の末、虹の橋を渡りました。
しかし、マーチに約束したように4匹の娘猫たちは幸せになっています。マーチも一緒に病気と戦ってくれるSHIさんがいて、幸せだったことでしょう。いや、幸せだったに違いありません。
人間の勝手な都合で不幸せな暮らしを強いられてしまう猫たち。そこには何の因果があるのでしょうか?ねこけんさんやSHIさんの愛に包まれ旅立っていったマーチ。今もきっと、その愛のおかげで幸せです!
まとめ
人に飼われていたとはいえ、置かれる環境によって幸せにも不幸にもなってしまいます。猫はストレスに弱い生き物。7年間のケージ暮らしは、想像を絶する辛さだったに違いありません。
でも最後は幸せになったのです。本当によくがんばりました。筆者は思うのです。猫の幸せが飼い主さんの幸せでもあると。
きっと元飼い主さんは、猫が好きだったからこそ飼ったのでしょう。本当は、狭い場所に詰め込まれた猫たちを見て、心が痛んでいたはずです。そう信じたい。
多頭飼育崩壊を起こしてしまう飼い主さんも、猫好きだから家に迎えたに違いないのです。でもさまざまな事情で不妊手術ができず、崩壊させてしまった。劣悪な環境で暮らす猫たちを見て、気分がよいはずがありません。
下記の動画より猫たちの様子を見て、何かを感じていただけたら幸いです。概要欄にブログ記事も掲載されています。
※こちらの記事は情報掲載者より許可を得て掲載しております。
掲載者名:NPO法人ねこけん
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