TNRができない悲惨な状態の猫たち…最後に掴んだ幸せとは?

TNRができない悲惨な状態の猫たち…最後に掴んだ幸せとは?

大阪の保護猫シェルターhibinecoさんは、4匹の山に暮らす猫たちを保護しました。本当はTNRをするはずだったのに、思わずシェルターに連れて帰ってしまったのです。その理由とは?そして4匹の猫たちの運命とは?

山に住んでいた猫4匹保護される!

TNRする為に捕獲へ

時は2018年4月。あるボランティアさんの繋がりから、山にいる4匹のオス猫たちの保護に向かう大阪の保護猫シェルターhibinecoさんの姿がありました。餌やりさんからTNRしたいとの協力要請があったようです。

どうして猫たちが山にいるか不思議でしたが、事情があって餌やりさんが移動させたとのこと。

リソースできなかった猫たち

4匹を捕獲して無事去勢手術を終えました。そして餌やりさんが指定する場所に戻す予定だったのですが…。

あまりの猫たちの状態の悪さに、hibinecoさんは戻すことができませんでした。猫たちは疥癬とひどい風邪を患っていました。

疥癬とは、ヒゼンダニというダニによって引き起こされます。皮膚にトンネルを作ってしまう為、ものすごい痒みと皮膚炎が起こるのです。

そして餌やりさんがご飯をあげていたにも関わらず、猫たちは痩せていました。疥癬や風邪は薬で完治するので猫たちが外にいても治療は可能です。

でもhibinecoさんはそうする気には到底なれませんでした。4匹とも、シェルターにお持ち帰りです。

疥癬の治療

完全隔離

疥癬はとても感染力が強いため、猫たちは完全隔離。猫にはもちろん、人にも移ります。そのためhibinecoさんも猫たちの部屋に入る時は完全防備。ビニールカッパと足にもビニールを履き、使い捨て手袋をします。

他の部屋に繋がる隙間という隙間を目張りして、掃除機もその部屋専用のものだけを使うという徹底ぶりです。トイレは猫砂をビニール袋の中に入れて設置し、1回ごとに捨てます。

これだけでも大変そうなのですから、実際のお世話はもっと大変だったことでしょう。

たぬきから移った?

山に住んでいた時は、良くたぬきに餌を横取りされてしまっていたよう。猫とたぬきでは、残念ながら、たぬきが圧倒的に優勢なのです。

そして餌を猫から貰う代わりに、疥癬といういらないお礼をくれたようです。

順調に治る

猫たちは食欲はありました。疥癬にかかるとその症状のひどさから食欲不振になってしまう場合もあるのだとか。これにはhibinecoさんもホッと一安心です。

疥癬の猫にはこれまでも何度も接してきたことのあるhibinecoさんでしたが、一気に4匹は初めてだったのでさすがに緊張したそうです。確かに1匹と4匹では圧倒的にダニの数が違いますからね…。

4匹の名前決定!

ゲンちゃん

hibinecoさんは4匹にそれぞれ、名前を付けました。まっすぐなしっぽのキジトラ猫は「ゲンちゃん」です。

ジョウくん

茶トラは「ジョウくん」です。高齢な上、エイズ陽性でした。その為か目や口、鼻からいろんな液体が出やすく、いつもジョウくん自身も周りもドロドロです。

ゼンちゃん

鍵しっぽのキジトラは「ゼンちゃん」と名付けられました。

ジネンくん

白猫は「ジネンくん」です。被毛が真っ白な故に疥癬の治り具合が一番顕著にわかります。くすんでいた白がだんだん、純白に変わっていきます。疥癬が治る頃には美猫へと変身していました。

これから幸せが!と思った矢先

ゲンちゃんが…

ようやく疥癬が治り、これから幸せな生活が送れると思った矢先に、ゲンちゃんがウェットタイプのFIPを発症してしまいました。FIPとは猫伝染性腹膜炎とも呼ばれ、コロナウイルスが原因の感染症です。

多くの猫が感染していると言われていますが、通常は無症状です。ただそのウイルスが突然変異を起こし、FIPウイルスとなると発症してしまうのです。その致死率は、100%。

今は治療薬も出ていますが高額な上まだ認可はされていません。FIPの猫を何頭も見てきたhibinecoさん。その多くは発症から2週間前後で亡くなってしまいました。

どうしたらなるべく苦しまずに送り出せるかばかりを考えてしまうhibinecoさん。お腹にはどんどん腹水が溜まっていきます。そして発症から約2週間して、ゲンちゃんは亡くなりました。

保護したにも関わらず、3ヶ月くらいしか生かしてあげられなかったと悲しむhibinecoさん。でもきっとゲンちゃんは、hibinecoさんに感謝していたことでしょう。

今度はジネンくんが

ゲンちゃんが亡くなった翌月に、今度は白猫のジネンくんがドライタイプのFIPを発症してしまいました。

FIPには「ウェットタイプ」と「ドライタイプ」があります。ゲンちゃんが発症したのはウェットタイプで、多くの猫がこちらのタイプです。お腹や胸に水が溜まり、肺を圧迫して呼吸困難などの症状を起こします。

ジネンくんが発症したのはドライタイプ。ウェットタイプのように水は溜まりませんが目に炎症が起きたり、脳に炎症が起きたりして神経症状が起きることがあります。

当時hibinecoさんは動物病院でパートをされていた為、ジネンくんのケアにしっかりと携わることができたそうです。キツイ薬は使わず、ジネンくんは眠るように亡くなりました。FIPにかかった猫は苦しんで亡くなる場合が多いのです。そうならずに亡くなったことは、せめてもの幸いだったのかもしれません。

ジネンくんとも保護してから数ヶ月しか一緒に過ごせなかったことが心残りだとhibinecoさんは語ります。

残った2匹に里親さん現る

やっと幸せに!

残ったゼンちゃんとジョウくんには、優しい里親さんが現れました。自宅の一室を2匹の為に改装までして迎えてくれました。

エイズのジョウくんは常に自らの液体でドロドロな為、どんなに汚れても掃除ができるようにとの配慮からです。なんという深い愛でしょうか。

ジョウくんの真実

家猫生活がスタートしてから改めて、里親さんがジョウくんの健康診断をしてくれました。その結果、エイズだけでなく白血病キャリアでもあることがわかったのです。

ダブルキャリアという過酷な運命を背負ったジョウくん。でも里親さんからのたっぷりの愛情を受け、手厚いお世話をされながら2019年4月にその生涯を閉じました。

3匹の命を背負ったゼンちゃん

一方のゼンちゃんはどんどん丸くなっていき、他の3匹分を背負って生きるかのように元気に暮らしています。幸いにもジョウくんの白血病は移っていませんでした。

これからも下の子たちの面倒を見る良いお兄ちゃん猫として、幸せな暮らしがずっと続いていきます。

まとめ

過酷な山暮らしに、4匹の猫たちは憔悴しきっていました。去勢手術を受けそのままの厳しい暮らしを続けていく運命かと思いきや、愛が溢れるhibinecoさんに救われたのです。

確かに、保護されてから3匹の命はそう長く続かなかったかもしれません。でも短い間でも限りない愛情を受け、幸せを感じられたのではないでしょうか。

残ったゼンちゃんにはぜひ、長生きして貰いたいですね!

今もこうして外の世界には、過酷な環境でどうにか生きている猫たちがいます。動画を見て、良かったらチャンネル登録を!それが猫たちの応援に繋がります。ぜひチェックしてみてくださいね!

今を懸命に生きる猫たちに、ほんのちょっとの時間を分けてあげてください。

※こちらの記事は情報掲載者より許可を得て掲載しております。
 掲載者名:hibineco/保護猫シェルター

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