私を変えてくれた公園で出会った2匹の猫
明日も命が保証されているとは限らない
小さな頃は小児喘息を患っていたので大好きだった犬や猫を飼うことを諦めていました。
大人になり喘息の発作もすっかり出なくなった頃、野良猫に会いによく公園へ行っていました。ある日、とても人懐こいハチワレの猫と出会いました。

黒と白のハチワレの猫は服を羽織ったように見える柄だったので、そしてこの子が私に福をもたらすように、「フクちゃん」と名付けてすごく可愛がっていました。
私がやってくるとどこからともなく出てきてピッタリとついてきてとても懐いてくれました。そして公園へ通ううちに猫をお世話するボランティアさん達とも会話する事が増えてきて、フクちゃんの情報を教えてもらいました。
フクちゃんは生後半年~1年未満の若い猫だそう。とても人が大好きで声を掛けたら自ら寄ってくるくらい人懐こく、警戒心がないのでとても心配だということでした。
とても心配というのは、当時この公園では猫の虐待が相次いでいたのです。
ケガした子もいれば…亡くなった子もいました。それを聞いて私はフクちゃんを保護しようと思いました。

ただ、猫を保護して一緒に暮らすという事は命を預かるという重大な出来事です。
猫と暮らしたこともありません。いつかは一緒に…と思っていたので数年前から猫について勉強はしていましたので知識だけはありました。
決心した2日後、またフクちゃんに会いに公園へ。会った後、キャリーバッグを買って再び保護しに公園へ戻る予定でした。
…が、いくら呼んでも出てきません。
少し離れた場所も調べましたがいませんでした。
夕方、顔見知りのボランティアさんに会いました。そこで聞いたのは信じたくない内容でした。
フクちゃんは雨の日、虐待にあって吐血で亡くなりました。おそらく腹部を蹴られたのでしょう、という事でした…。
公園へ行かなかったその2日間の間にフクちゃんが…遺体は別のボランティアさんが埋葬してくれたそうです。
私は自分を責めました。なぜすぐ保護しなかったんだろう。どれだけ泣いて呼んでも、もうフクちゃんは出てきてくれることはありませんでした。
フクちゃんを失い、私は次に保護しないといけない子が目の前に現れたときには、絶対に保護しようと固く決心しました。
数日後に現れた真っ白な仔猫

フクちゃんが亡くなってから数日後、フクちゃんがいたエリアでお参りをし帰ろうとした時でした。緑の茂みの間に真っ白な塊が視界に入ったのです。しゃがみこんで見てみると白い仔猫でした。
私が1歩近づけば仔猫は少し逃げる、警戒心の強い子でした。
ただ人間だけならともかく、他の成猫が気にかけて近づいても全身毛が逆立つくらい威嚇していました。1匹で生きるのは厳しそうだと感じこの子を保護することを決めました。
そうと決めたらすぐに家へ帰りバスケットを持ってまた再び公園に。
缶詰とお水で引き寄せます。しかし警戒心が強いのでこの日は結局保護できませんでした。

翌日、午前中と夕方に公園へ。
相変わらずの警戒心です。お昼まで粘りましたがダメでした。夕方、とりあえずバスケットを開けて私は少し離れた場所で見守ってみることにしました。
すると!興味深々の仔猫はバスケットの中に入り、その振動で開いていた蓋が閉まったのです。
すぐに鍵をかけて近所の動物病院で健康チェックをしてもらいました。
とても嬉しくて、でも猫を迎えるのが初めてだったので不安でドキドキしたのを覚えています。
慣れるまでの威嚇と飼い主のアレルギー

慣れるまでは挨拶変わりのシャー!
お迎えして3日目までは挨拶のごとく威嚇をしてきました。
撫でたり抱っこしてしまえばグルグルと喉を鳴らしてくれていたのですが、情緒不安定という感じでした。いきなり違う場所に連れてこられて心細い思いをしてるかなと思うと胸が痛みました。

飼い主自身の恐れていたことが…
冒頭に書いた通り、私は小児喘息を過去に患っておりました。お迎えして2日目に早くもアレルギーっぽい症状と少しの息苦しさが現れました。
アレルギーの検査をしてみると猫アレルギーの結果が!でも2週間も経つと症状は軽減されて、今では舐められた手で顔を触ったりしなければ大丈夫になりました。
お出かけは激減・家族揃っての旅行は皆無に
仔猫を保護してから、可愛すぎてお出かけが激減しました。そして旅行も家族揃っては行かなくなりました。
わが家の場合は飼い主夫婦が旅行に出かける時は、母が家にいるなどしています。
1日くらいたっぷりのごはんとお水、トイレを清潔にしておけば大丈夫!とよく聞きますが、わが家は無理でした。
多頭飼いなら寂しくないので大丈夫かなと思うのですが…お迎えしてから10年、これはずっと変わっていません。
愛猫を迎えて良かったことは…

4日目で行動に変化が
お迎えして4日目の朝、いつもなら近づかず威嚇でしたが朝起きると近寄ってきてゴロゴロ。家族が来たら足元にスリスリしていました。
初日から3日間までとは、明らかに行動に変化が見られました。
「この家は安心で誰も嫌がることはしない」「お腹が空けばごはんとお水をくれて食べ物に困ることもない」「たくさん遊んでくれて眠る時は撫でてくれる」
そんな事を感じてくれていたのでしょうか。本当に保護して良かったと思いました。
私達家族に笑顔と会話が大幅に増えました

当時はまだ子供がいなかったので大人3人家族でした。
家族仲は良かったですが、大人だけではやはり静かです。ですがこの子を保護してからというもの、仔猫中心の話題で会話がさらに増え笑顔が多くなりました。
この子がいてくれるだけで毎日とても幸せだと家族全員感じています。
ブログやSNSで猫友さんが出来た
ブログやSNSで愛猫の写真を投稿している内に猫友さんが出来ました。
実際に会ったことはありませんが、コメントの文章のを通してお人柄がわかります。時には贈り物をしたりお手紙を書いたりも。
長い付き合いの猫友さんは10年にもなります。保護していなければご縁がなかったので愛猫にとても感謝しています。
10歳になった愛猫の現在は…

スクスクと育ち、時は経ち…小さかった愛猫は5キロに。年齢は10歳になりました。
シニア期に入りましたが食欲もあり元気です。仔猫の時ほどは遊ばなくなりましたが、その分甘えっ子になりました。
年に1度健康診断を受けていましたが、8歳の時に腎臓の数値が少し良くなくて、今は1日に2度、薬を服用しています。
毎月の検診でも数値は安定しています。見た目は元気そうでも実際は病気予備軍になっているかもしれませんので、いつもと違うかなと感じたらすぐに診てもらっています。
まとめ

私が慎重な性格の故、即行動に移さなかったから大好きなフクちゃんを救えませんでした。
それは10年経った今でも忘れることはなく、きっと一生忘れられない出来事です。
でもフクちゃんを保護していたら今の愛猫は保護していなかったかもしれません。
何人もの方から
「それが運命だったのかもしれない。あなたは悪くないよ。」「自分を責めないで」と暖かい声をかけていただきました。
それでも私はフクちゃんへの「ごめんね」の気持ちでいっぱいです。
フクちゃんの分まで愛猫を幸せにすると誓いました。愛猫が最期に『ここのお家の子で良かった』と思ってくれるように、これからもたくさんの愛情を注いでいきたいと思います。
まだ10歳!もっともっと元気で長生きしてもらいますよ~!!
虐待ではなくてもお外の猫ちゃん達は冬は寒い・夏は猛暑・雨の日は冷たい…そんな厳しい環境の中で暮らしています。それでも野良猫ちゃん達は真っすぐ前を向いて生きています。
どうかお外で懸命に生きている子達が1匹でも多く、温かいお家に迎えられますように。お腹を満たし心の底から安心して眠れる場所が出来ますように、と祈っています。