空気の淀んだゴミ山にいた小さな命
住宅街でまさか!?こんなゴミ山があるなんて!

市の中心から車で5分。地下鉄でも最短で1駅の距離にある下町の住宅街は、大きな医療施設も多く立ち並び、ファミリーや若者にも人気のエリア。
私がその街に越したのは1年と少し前のことでした。
下町情緒漂う街並みを楽しみながら散歩をしていると、少し先にゴミが溢れ出ている道を見つけました。
こんなところに大量のゴミが?!あまりにも周りの風景とミスマッチなので興味本位で見に行ってみると、そこは日が当たらず、じめっとした空気が淀んでいるゴミの山でした。
目をそらしたくなるようなゴミの山で何かが動いた!!

ゴミの山の中に、ゆっくりと動く何かが見えたのでねずみ?と思いましたが、それにしては動きが遅く形も違うような…?
よく見てみるとなんと、小さな小さな生後ひと月ほどの黒い子猫だったのです。
あたりを見まわしてみると、屋根から母らしき猫が見下ろしていました。母猫もまだ若く、体も小さかったです。
子猫があまりにも小さく痩せていることはすぐに分かったので、急いで近くのドラッグストアで缶詰などを買い、与えると夢中になって食べ始めました。
その様子を見て「このまま置いて帰れない!」と思った私。
子猫を手に取ると、そのまま大人しく手の中におさまったのです。
一部始終を見ていた母猫は威嚇もせず黙って見送っているようでした。
きっと、過酷な生活を送る中で育てきれないことをわかっていたのでは無いでしょうか。母猫に「赤ちゃんは大事に育てるからね。」そう伝えて自宅へ連れ帰りました。
何度洗えばきれいになるのか分からないほどの汚れ

小さな体、浮き出た背骨、明らかに痩せすぎだとわかる体には、まだらに柔らかい毛が生えていました。体を洗い流すお湯は真っ黒。
そして、どれだけいるのか分からないほどのノミ。
この子猫は、体に寄生したノミに血を吸われ貧血になり、栄養を失っていたのでしょう。
長い間、何度も何度も子猫を洗いました。
洗っている最中「こんなに汚い体でノミもたくさんいたことを見てしまって、これから可愛がってやれるのだろうか」と迷いがぐるぐると頭の中で繰り返し問うていたのは正直なところ。
しかし捕まえた自分の責任を放棄すればこの先、二度と子猫を見つけても手を差し伸べられないと思うと、しっかりしろ!と自分に言い聞かせるしかなかったのです。
威嚇の日々、ベッドの隙間に隠れて出てこない子猫

捕まえることは容易にできましたが、ベッドの下から出てきません。
ご飯を食べず、排泄もしない。根比べの日々が続きました。
数日後、先住猫に甘えている姿が見られた時には「やっと諦めたな」と一安心しました。
成長した子猫はとっても優しい男の子

子猫は先住猫と仲良く遊び、たくさんご飯を食べて順調に成長をしました。とっても大人しく、読んだらお返事もする賢い子。そして、間もなく出来た妹を優しく抱きしめて眠る優しい子です。
妹猫が乳離れ出来ず、彼の脇の下を吸っていましたが嫌がらず、一緒に眠ってあげていました。それは妹猫が1歳を過ぎた今も続いています。
子猫は立派な成猫になり、今では4匹の妹のお兄ちゃん。どの妹猫にも優しく、自分の懐に入って眠る子を抱きしめて眠っています。