保護猫茶トラ君との出会い
いざ、動物愛護センターへ!
もともと猫好きであり、保護猫を飼っていた私。愛猫が亡くなり、心の傷も癒えた頃、新しい猫ちゃんを家族に迎え入れようと思い立ちました。
そこで夫と向かったのは動物愛護センターです。
施設には新しい飼い主を待っている子猫、成猫が常にたくさんいます。
たくさんいすぎて、悩んでしまいます!
噛む=殺処分…?!
施設の方曰く、子猫の貰い手は比較的早く見つかるそう。
では成猫から選ぼう!と思ってもまだまだたくさんいます。
私と夫それぞれ1頭選んで、2頭お迎えする予定でした。そんな中出会ったのが、後に我が家の愛猫となる茶トラ君。
段ボールに体を押し込めて、じっと外をうかがっています。
「その子は多頭飼育崩壊のお家から保護された子です。他にも兄弟がいっぱいいます」
他の兄弟猫たちはみんな一緒にケージに入っているのに、その茶トラ君だけは一頭で別のケージに入っていました。
どうしてか聞いてみると、
「その子は保護する時にスタッフの手を噛んだのです。凶暴性がある猫は譲渡する相手を選んでいます」
たしかにケージをのぞくと、激しくシャーッと歯をむき出しにします。
おもちゃを見せると恐ろしい速度の猫パンチが。これでは貰い手はつかなそう。
そもそも人間に危害を加えそうな猫は譲渡先を探す以前の問題です。殺処分も検討されてしまいます。その茶トラ君も、殺処分候補に入っていました。
しかしここで何を思ったのか夫が突然、
「この子にしようかな」
と言うのです。
施設の方はもちろんおすすめしてきませんでした。
それでも私は夫の意見に賛同しました。動物の飼育に手慣れていない方には、この茶トラ君のお世話は厳しいでしょう。
ですが私は動物園やペットショップなどで勤務し、猫はもちろんいろんな動物を飼育している経験があったのです。
そして茶トラ君を幸せにしてやりたいという、夫の気持ちを尊重したかったのです。
そうして私と夫はその凶暴性があるといわれている茶トラ君を家族に迎え入れることにしました。
愛護センターに何度も通い、茶トラ君を迎え入れるための準備と計画をすすめてから…!
いざ、お迎え!
緊張しまくりの猫
足繁く通った愛護センターでは、茶トラ君にケージ越しにオヤツをあげていました。
それでもケージから出すには至らなかったです。
お迎え当日
脱走防止の為段ボール箱のままキャリーケースに詰め込みます。
家に着くと、あらかじめ買っておいたケージに段ボールごと入れられる茶トラ君。
気配を押し殺していました。
顔を見よう、触ってみよう、などと思い手を出すのは時期尚早です。関わりたい気持ちを我慢して私は秘密兵器を投入します。
茶トラ君と同時期に愛護センターで出会った、黒サビちゃんです!
この猫ちゃんは、極めて温厚であり生粋の平和主義者でありました。加えて人間が大好きで、順応性がとても高い子でした。
既に新しい家での生活に慣れていてくれた黒サビちゃんはのんびりしていて、張り詰めた茶トラ君のことをちっとも気にしていません。
茶トラ君は数日間じっと我々が生活する様子を眺めていました。
ついに出てきてくれた!
ある日茶トラ君がひきこもっていた空間から自ら出てきてくれました。
私や夫はあえて茶トラ君を無視します。黒サビちゃんだけが茶トラ君に近づきました。
茶トラ君は緊張しながら黒サビちゃんにシャーッと威嚇します。
しかし次の瞬間には、茶トラ君は落ち着こうと自分の身体を舐め、黒サビちゃんに挨拶をしました。
ぴんと尾をたて、黒サビちゃんに頬をすり寄せたのです。張り詰めていた空気がほどける音がしました。
それから数日後、茶トラ君は淡々とお世話だけをしてくる私や夫に、自ら寄ってきてくれたのです。
私たちは歓喜と興奮を抑え、静かに愛らしい茶トラ君を撫でることができたのでした。
保護猫との嬉しい出会い
茶トラ君も黒サビちゃんも多頭飼育崩壊で、愛護センターに保護されました。
満足な寝床やご飯が用意されていなかったと聞いています。
誰かに撫でてもらったり、遊んでもらった経験はもしかして無かったのかもしれません。暑すぎたり寒すぎたり、ひもじかったかもしれません。
そんな過去を持っている子たちが今ではおもちゃ目がけて全力で遊び、ご飯をくれと目一杯せがんで、撫でられるとゴロゴロ言って、すやすやとくっついて寝ています。
そんな姿を見て私も夫も幸せを分けてもらっています。
2頭の現在の様子
保護してから半年程経過した現在、茶トラ君はすっかり人間に慣れてお客様にもすり寄れるようになりました。
結局危ぶまれていた凶暴性は一度も見ることはなく、病院にも緊張しながらも通うことができました。
もちろん黒サビちゃんともすっかり仲良しです!
まとめ
茶トラ君と出会い、挑戦でもあったお迎えを諦めなくて良かったと思います。
実は黒サビちゃんとは、茶トラ君と出会う以前から出会っていていつかこの子と家族になりたいと思っていたのですが、まさかこんなにも茶トラ君のお迎えで助けてくれるとは思っていなかったです。
出会いというのは、本当に奇跡なのですね。
愛護センターなどには、まだまだ新しい家族を待っている猫ちゃんがいます。そこには厳しい、人間がもたらした現実があります。
私たち猫好きはそういった現実から目をそむけず、知っていかなければなりません。
そうして我が家の保護猫たちのように、一頭でも多く幸せな猫ちゃんが増えたらいいなと思います。