哀愁のれっちくん

「なぁおおおおーん、なぁおおおおーん、なぁおおおおーん」
朝方の2~4時になると、いかにも悲しげな声で呼びかけ続ける『れっちくん』。
無二の親友、シャムネコ『ぶうまくん』をガンで亡くしてからというもの、ずっと探し続けている模様。その時間帯が彼らにとってのプレイタイムだったのでしょう。
しかし、ぶうまは二度と戻ってくることはないのです。酷く心が痛みましたが、流石にこれが2週間毎晩続くと、飼い主であるりんごも寝不足が続き、途方に暮れ始めました。悲しみのため、れっちが身体を壊す可能性もあるので心配です。
オトモダチ計画
「れっちに必要なのは、新たな『オトモダチ』だッ!」
そう閃いた(?)りんごは、早速ネットで保護猫情報を収集。
りんごの住まう南カリフォルニアで保護猫を管理しているのは、郡や市運営の動物管理センターか、地域に点在する動物保護団体です。郡の動物管理センターで保護されている犬や猫は、一定の期限を過ぎても里親が見つからない場合、殺処分されてしまうので、毎回保護猫サーチする際は、郡の施設を最優先しています。(ちなみに、れっちを含む歴代のりんご家の猫たちは、全員管理センター出身。)

(画像はイメージです)
以前なら実際に動物管理センターへ出向き、保護されている動物と会ったり、触れ合ったりすることができたのですが、現在はコロナ禍のため、ウェブサイトで動物の写真と、記載されている簡単な個体情報のみをベースに、電話で予約する制度へと変わっていました。
一匹について予約受付は3人までで、先着順にアポを設定し、自分より先にアポのある人がキャンセルしたり、現れなかったりした場合、次の人にチャンスが回ってくるという仕組みです。
新型コロナ自宅待機で、孤独な時間を持て余した里親志願者たちからの電話が殺到しているらしく、なかなか繋がらない上、30分待ちの後に繋がったとしても、お目当てのにゃんこは全て予約一杯という状況。
どうするべきか、カスタマーサービスをしているボランティアさんに尋ねてみると、「毎晩6時ごろにアップされる保護されたばかりの動物の写真をチェックし、翌朝一番に電話をかけ、とにかく予約するべし!」との親切なアドバイスを頂いたので、その通り実行してみたところ、めでたく生後2ヵ月のロシアンブルーの仔猫(メス)の第一里親候補者の座をゲット!

(画像はイメージです)
しかし、よく見てみると、そのロサンゼルス郡の動物管理センターはりんご家から車で約2時間以上も離れている砂漠地帯に……。だがしかし、悲嘆に暮れるれっちのため、りんごは一肌も二肌も脱ぐ決意をしたのでした。
ドキドキの対面日
仔猫メシ、専用トイレ、爪とぎボックス、今回は久々の女の子ということで、ピンクのキャリーバッグなどを事前に買い求め、準備は万端。
コロナ禍のため、以前のようなロスアンゼルス、ダウンタウン付近の凄まじい交通渋滞はなく、約1時間45分ほどで動物管理センターへ到着しました。
砂漠のド真ん中にポツンとある建物は、色とりどりの動物のメルヘンチックなイメージで可愛らしくデコされ、なかなかキュート。周囲を見てもゴミ一つなく、清潔なうえ、駐車場でりんごの姿を見かけた所長さんは親切丁寧に対応してくれました。こういう場所なら、保護動物も大切に扱っているのではないか、と好印象。

必要書類を全部書き終えたりんごの前に、優し気な金髪の女職員さんが運んできたのは、ちびっちゃいブルーグレーの仔猫。思わず歓声(奇声?)をあげ、抱き上げたりんごを全く怖がることもなく、だっこちゃん人形の如くしがみついてきます。
正直、1枚の写真を見ただけで、事前に仔猫の性格を知るすべがなかったことが不安でした。しかし、初対面のりんごの顔を凝視しながら大きくゴロゴロと喉を鳴らす人懐っこい態度を見て、ひとまず安心。
マイクロチップ、初回の予防接種、去勢手術など、一通りのケアはすでに済んでいる、と渡された書類には記されています。その他、獣医さん初回診察クーポン券なども頂きました。
そのロシアンブルーの仔猫は、『さあしゃ』と名付けました。
オトモダチ計画大成功!

その日以来、れっちの早朝泣きはピッタリ止みました。
おっとりとした、やさしい気性のれっちは、あっという間に仔猫を受け入れました。一日中、ぐうたら寝てばかりいた彼ですが、今は日中の活動時間が長くなっています。
仔犬のころから猫に囲まれて生活している、もふもふわんこの『るー』の方は、シープドッグとしての性に目覚めたらしく、心配げに仔猫のあとをついてまわり、一緒に遊んだり、さあしゃが悪いことをしようとすると鼻で軽くつついたり、ウウーッ(=ダメっすよ!)と威嚇したりして、優秀な保父さんの如く子守りをしてくれます。
保護猫さあしゃとの毎日
ロシアンブルーの際立った賢さは、様々な日米のペットサイトでレポートされていましたが、実際に一緒に暮らしてみてかなり驚かされました。
先代の仔猫たちは、りんごや他の動物との絆を築くのにある程度時間がかかりましたが、さあしゃは家に来た当日から、りんごの後をついてまわり、翌日には名前を呼ぶと返事をしましたし、他の部屋にいても、疾走してやってきました。
キャリーバッグは内側からチャックを押し上げて開けて、勝手に出てくるわ、ペットゲートはよじ登り、押し倒す。(故に、こちらも簡単に開けられないように一工夫する術を考えさせられました。)
りんごや、巨大なわんこが、彼女を誤って踏んでしまわないように鈴つき首輪を付けると、セーフティバックルを絶妙な具合に噛んで、何度も自分で取り外してしまいます。現在生後3ヵ月で、これだけの能力を発揮しているのですから、末恐ろしいことです。

性格も豪胆で、地震雷火事わんこ、怖いモノは何一つなし。怖がるどころか、横たわったわんこの頭によじ登り、ポニーテールをカジカジと齧っている姿も見かけました。とりあえず、りんご家ではコロナ自宅待機中でも退屈している者はおりません。
今はあまりにもさあしゃがワイルドすぎるため、れっちは少々敬遠気味ですが、ある程度成長し、落ち着きが出て来たらもっと仲良くなれるはず。
大きくなるにつれ瞳のエメラルド色が深まり、月光のように淡く輝く白銀の毛が、ほっそりとしたしなやかな黒真珠色の身体を縁取り、いかにもエキゾチックな美女になりつつある、さあしゃ。一日も早くおしとやかな淑女になって欲しいものです。
まとめ
『オトモダチ計画』大成功!砂漠の動物管理センターに埋もれていた、ちびっちゃいお宝――《一粒の黒真珠》――さあしゃのおはなしでした。皆さまの近くの動物保護施設でも、素敵なお宝にゃんこが、あなたに見つけてもらうのを待っているのかもしれません…。