怪しげな店で出会った2ヵ月の仔猫は運命のボス猫「レオ」

怪しげな店で出会った2ヵ月の仔猫は運命のボス猫「レオ」

今でこそ猫4匹の所帯ですが、そこには1匹1匹との特別な出会いがありました。今回はその中で長男、所謂ボス猫であるレオとの出会いから現在に至るまでを書かせて頂きます。

可愛い猫がいるってよ

かぶり物

あれは未だ私が京都に居た頃でした。

今でこそ静岡の実家暮らしですが、当時京都に住み家族と離れて暮らしていた私は、子供の頃から夢だったペットを飼いたいという欲求を抱えていました。

田舎暮らしにあたる実家では当時周りでペットを飼う人は少なく、『迷惑になるから』『どうせ世話をしないから』そして何より『私の祖母が猫をあまり好いていない中、父が生涯この1匹だけと約束をして飼った先住猫の約束が、その猫亡き今も未だ生きているから』という言い分がペットを飼ってもらえない理由となっていました。

だけど今は実家では無いのだからと思い切って知人に話をしたところ『駅の近くに〇〇ってお店があるんだけど、春先になると可愛い仔猫がいるってよ♪』と教えてくれたのです。

うちの子になる?

あくび中

季節のタイミングも良く、知人に案内されながら直ぐにその店に足を運びました。

ですが行ってみると、良く見るような綺麗な外装のペットショップとは違い、正直少し怪しげな雰囲気すら漂う店舗に吃驚した事を覚えています。

よくよく見ると、店内に壁付けされた広いサークル状のショーケースには数匹の仔猫の姿が…私は思い切って店内へ足を踏み入れました。

店の中はペット商品が並べられ、奥では男性の店主がワンちゃんのトリミング中、私を接客してくれたのはもう1人の女性でした。

仔猫3千円〜と値札が貼られた壁を見ながら一般のペットショップとの違いを聞いたところ、そのお店は『飼い主の病気や引っ越しなど、諸事情でペットを飼えなくなった方から依頼され、引き取る形で次の飼い主を見付けるための場所』なのだと説明されました。

そしていざ仔猫のいるショーケースの前に立つと…なんて可愛らしいっ!

生後2ヵ月くらいの仔猫が細い手足を伸ばして縮めてヨチヨチトコトコ、その姿に一瞬で愛しさを覚えました。

そしてそのまま暫く眺めていると、似た様な仔猫ではあっても性格の違いが見てとれる事に気が付くのです。

私が近寄ると少し身を引く子、最初は興味津々だったのに飽きて別の事に没頭しだす子、そもそも最初から我関せずで別の方をじっと見たまま動じない子…。

そんな風に見ている中で最初から最後まで私の前から離れようとしなかった子、それが後にボス猫となるレオとの出会いでした。

私の姿を見てショーケースに飛び付くも、見えない壁に阻まれる姿に自然と笑みが溢れます。指を伸ばして左右に動かすと、必死に小さくジャンプしながら着いてくる元気いっぱいでヤンチャな子。

ただこのひと時だけで、この子が運命の子なんだと確かに分かった気がしたのです。
そのままお店で餌やトイレを買い込み、幾つかの規約を聞き、住所や連絡先を同意書に記入して無事帰宅。

帰ってからはトイレを設置したり、部屋を探検させつつ名前を考えて頭を悩ませました。

結果、元気に逞しく育ってほしいと願いを込めて小さな頃から愛読していたジャングル大帝から貰い、レオと名付けたのです。

実家に帰る!婆ちゃんは許さない!?

ナス馬と猫

それから名前の通りスクスクと育ったレオ。

持ち込み主から血統書の預かりがないのでお店では一応の雑種扱いとなったのですが、掛かりつけとなった獣医さんには『左右対象の立派なキジトラ柄ですね〜混ざってる子はこんなに綺麗に出ないことが多いのに』とお褒めを頂くほど毛並みにも自信がありました。

若い頃は、脱走癖と太り易い体質からのぽっちゃり体型が頭を悩ませる要因ではありましたが、大きな怪我も病気も無く変わらず元気で過ごせていた事は喜ばしく思えます。

お昼寝中

しかしそんな中、今から4年前の事です。

突然どうしても実家に帰らなければならなくなりました。その時、既に愛猫は3匹に増えていましたが、勿論全員連れて行く以外の選択肢はありません。

京都まで迎えに来た親類には「何故猫なんか飼ってるんだ!」「婆さんが許すはずないからこのまま捨ててこい!」と心ない言葉を叩き付けられ少し気まずくなりつつも何とか猫を連れて実家に帰りました。

片親だった私にとって、物心ついた頃には既に母親代わりだった祖母は大変私を可愛がってくれてはいましたが、それでもケージを複数ぶら下げて帰郷した姿には流石に苦い顔をしていたのを覚えています。

上手くいかない様なら出て行こう…。

祖母だけでなく、祖母の気持ちを優先とした父を含め叔父叔母夫婦に至るまで、周囲の威圧感が私にそう決心させたのは当然の事でした。何をどれだけ言われても、猫と離れるという選択肢が私の頭に浮かぶ事は無かったのです。

しかし、ケージから出たレオはその一件を理解していると言うように1番に祖母の元へ…!

他の猫は怖気付きケージから出ない中、元々人懐っこいとは言え流石のボス猫っぷりでした。

年寄りは猫が好き、猫も年寄りが好き、とは聞きますが、今彼は御機嫌を窺うべき相手を知っているんだと、祖母の膝に擦り寄る姿から見て取れたのです。

今は幸せかい?

祖母と猫

その後数日の内に祖母とレオは急接近!

今では猫撫で声で4匹の名前を呼んだり、動物のTV番組を積極的に見たりと、孫の私より猫を可愛がる変貌振り。ホントに動物が嫌いだったの?と今なら笑い話になりそうな毎日。

お陰で父や叔父叔母夫婦も猫を大事にしてくれるようになりました。

腹出し寝

私はたまに、レオを含め愛猫の頭を撫でながら聞いてみる事があります。

『ねぇねぇ、今幸せ?』

勿論言葉は返ってきませんが、目を細め、喉を鳴らして手に頭を擦り寄せたり、だらし無く寝そべりながら申し訳程度に尻尾をパタンと揺らす度、

『幸せだよ』

そう言って貰えているようで、あの時感じた運命は間違ってなかったんだと、私も幸せを感じることが出来るのです。

まとめ

寝そべりながら振り向き

終わりを見せないペットブームからペットを迎える方が今も絶えない中、どうか皆さんお考え下さい。

今回私が話した様に、突然の生活の変化や或いは最初から無謀だと予測出来る環境でのペットのお迎えは、本来決してベストな判断とは言えません。

しかし、どうしてもと踏み切って1度迎え入れた命は例え人の形をしていなくとも、それはもうあなたの家族と同じなのです。

どんな理由があっても、傷付けたり手放してはいけません。

金銭面の余裕がある、スペースも十分確保出来る、それも勿論大切な事ですが、

『この先何があっても、私的な理由で自分はこの子を手放さない』

という誓いを持って命と向き合って下さい。

そして家族が居る場合、きちんと周りにも相談しましょう。

あなたが救える命であると共に、あなたを救ってくれる大切な命です。

嬉しい時も悲しい時もいつも側に居てくれる全てのペット達が幸せであるように、愛情を持って育ててあげて下さいね。

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